音楽むすび | 1991年7月発売

夏向きのラヴ・ソングを集めたベスト・アルバム。海からの風と陽光、クルマを運転するスピード感とが混在する優しい夏を演出していく。夏というよりも、その優しさは晩夏の光景を想像させるもの哀しさが漂う。きっと夏の終わりと共に別れが待っている。

ジャズ畑出身の北川純子、譜久里ゆかりの二人からなるヴォーカル・デュオのデビュー・アルバム。ボサノヴァをベースにしたオシャレでモダンな歌ものポップスだ。ほとんどの曲の作曲とアレンジを、北川純子が担当している。

シュール&リアリズムを貫く、いつもの存在感と歌詞展開。実力派ながら何十年もシモキタの本多劇場あたりで下積みを重ねるド・マイナー新劇役者のような「在り方」が変わらずうれしい。今回も全曲に筋少ロックの神髄がたっぷり。音のグレードに注目だ。

1年半ぶりの新作はEW&F、クール&ザ・ギャング、アベレージ・ホワイト・バンド、バディ・マイルスらのヒット・ソングに挑戦。最近再び勢力を盛り返しつつあるフュージョン・シーンを予感させる。ファンキーとR&Bのフレイバーが見事に彩られている。

LAフュージョン・シーンというよりも、もうアメリカを代表するサックス奏者となったトム・スコットの最新作。自身のプロデュースのわりに極端な偏重傾向もなく、厚くタイトなサウンドを作り上げている点が見事。“市場対策”も完璧と言っていい。