1993年6月発売
海がここに来るまで海がここに来るまで
気負いのない、だけど、歳月や年齢が行間に刻み込まれた歌声が気持ちよく響く。風のころからAORへのアプローチに際立った個性を発揮していた人だけに、時代の要求とも言える新作だったといえる。音信が途絶えていた旧友から久々に手紙でももらったような気分だった。
明日のために明日のために
自己のレーベル“NEWS”からアルファへ移っての松山千春の第1作目がこれ。いい声しているのだが、聞くたびに感じるヴォーカリストとしての幅の狭さがやはりここでも。タイトル曲を聞いていると、松山自身への応援歌のように思える。
風の歌がきこえる風の歌がきこえる
心機一転、アルファに移籍後のアルバム。リズムを主体としたサウンド優先のアーティストが多かったこの時期のミュージック・シーンで、千春の曲は大らかさゆえにかえってオーソドックスに感じられた。が、時代に左右されない伸びやかな声こそが彼の魅力だ。
あなたが僕を捜す時あなたが僕を捜す時
さまざまに試行錯誤しながらオリジナルとして14枚目のアルバムを5月10日にリリースした千春。意表をつくジャケットも含めて千春が千春であって他の誰でもない、というふっ切れた自信が曲の全体に感じられる。千春を見守ってきたファンには納得の一作。