1995年5月発売
ブルー・ヴァレンタインブルー・ヴァレンタイン
最近では、俳優として映画界でも癖の強い個性を発揮しているトム・ウェイツが、78年に発表した作品のCD化。ミュージカル『ウエスト・サイド物語』からのバラードで始まり、例によって、潰したような歌声で、独特のセンチメンタリズムを放っていく。
クロージング・タイムクロージング・タイム
ジェリー・イエスターのプロデュースによる73年のデビュー盤。イーグルスでもおなじみの名曲(1)をはじめ、やや過剰に感傷的な歌をオーヴァーアクト気味に演じる若きウェイツの処女作。いま聴くと、老成した演技の中に潜む若者らしい甘さがチャーミングだ。
ハート・アタック・アンド・ヴァハート・アタック・アンド・ヴァ
80年発表の7作目のアルバムで、いつものしゃがれた歌声がリラックスした雰囲気をかもし出していた。ハモンド・オルガンとエレクトリック・ギターを軸にしたシンプルなバンド・サウンドとライヴ感覚のアルバム構成とがその感を一段と強くしている。
「浄夜」シェーンベルク「浄夜」シェーンベルク
バレンボイムとシカゴ響の組み合わせの、ベストと思わせるほどに精緻な演奏は、作曲者の目論んだ色彩感をも濃厚に漂わせる。そして続くピアノ作品でバレンボイムのシェーンベルクとの同質性に気づかされる。「音の重さ」として説明付けられている特色が物語を成す。
True BlueTrue Blue
ドラマ、CMで活躍中のがもん君のデビュー・アルバム。ボウイに触発されてバンドを始めたという20歳だ。何物にも染まっていない素直な歌が好感を与える反面、方向性も見えにくい。これからどんどん曲を書いたり自慢のドラムを披露したりしてほしい。