1997年11月発売
最新作を除く3枚。『ラーニング…』以降メンバー交替をくり返してきているが、クリッシー・ハインドさえいればこのバンドは成立するし、ギター中心のR&Rサウンドを聞ける。独特の調子を持つ感情を抑えたヴォーカルや、ギターを持ってマイクに向かう忽然とした姿に、成熟した女の底の深さを感じるし、可愛らしさもあるんだよね。ギターとロックが最高に似合うカッコいい人だ。
75年のマイケル・フランクスのデビュー盤。デビュー当時はこの軽いタッチの声をもった才能豊かなシンガー・ソングライターのシティ感覚は新鮮に写ったが、今でもスンナリ入ってくる。それもそのはず、バックにクルセイダーズの面々他がキラリと光る演奏を。
70年代後半、シティー・ボーイ&ガールにとってそれほど重くはなく、かと云ってポップ過ぎない、クロウトが気楽に演っているといった感じ…ソフト&メロウ、シティ・ミュージックが人気を集めた。その旗手となったのがマイケルだ。とても上手いとは言えないがじっくり聴かせるには最適なヴォーカル、しかも自作で、バックは一流フュージョン。「アントニオの歌」で知られる『スリーピング…』(76年)はクルセイダーズ系、『パッション…』(83年)はNYフュージョン総動員の実にオトナの洒落たサウンドだった。
ドゥビー・ブラザーズから離れたマイケル・マクドナルドのチャレンジ盤。バックを務めるミュージシャンとエンジニアがすべて超一流。クレジットを見たらあっと驚くに違いない。これからの彼の活躍が楽しみ。
「もう誰も愛さない」の挿入歌となったタイトル曲がいきなり脚光浴びたもんで、これを収録した86年の本作含めて4枚どどんとCD化。トレンディ・ドラマの力おそるべしですねー。可憐ながら力強い歌声はここでも健在だが、わりと凡庸な作品だったわね。
南アフリカで行なわれた文化交流活動の中から生まれた企画。かたやイギリスのルネサンス音楽グループ、こなたアフリカの聖歌隊。発声も原語もまったく違うのに両者は溶け合い、聴いたことのない広大な世界を作り上げた。変化に富んだ楽しい選曲もいい。★
映画『南極のスコット』の音楽をもとに作曲された南極交響曲は、まさに映画音楽そのもの。田園交響曲も含め、我々の“わかりやすさ”にぴたりとはまって誰もが疑問なく鑑賞できる。“純音楽”と“映画音楽”の形態学を研究してみるのも一興かも。