1997年2月5日発売
4歳からピアノを始め、大学2年の時(90年)にアルバム・デビューした望月衛介の4th。生楽器であるピアノと自らがこなす打ち込みがうまく融合し、心地よいサウンドを作り出している。寝る前に少しだけ酒を飲みながら聴くと、最高にハマりそう。
6枚目のアルバムになるが、この人の骨っぽさを感じさせる元気のよさは相変わらず気持ちいい。シャキッとした音の作り方で、彼女の魅力が十分に発揮されていて、グイグイ押してくるわりには疲れないから中高年にもお勧め。それにしても声がよく出てるわ。
毎年2月に行なわれる二月堂の修二会で唱えられる声明を録音したものだが、これは96年8月にサントリーホールで公演(?)したときの模様。したがって、かえって声明の音楽的面白さ(リズム、音の跳躍、ダイナミズムなど)がよく捉えられていて興味深い。
2枚組で30曲収録のベスト盤シリーズの春日八郎編。40年あまり前の日本のふるさと歌謡は思いのほか新鮮に響く。[1]-(9)のブギウギ、[2]-(11)のラテン風味といった戦後歌謡の曲想の妙はもちろんのことだが、[1]-(12)や[2]-(5)のような、じんわりしみる歌詞がいいのだ。
まくらの噺がナントも面白い小三治。勘当された若旦那が銭湯に奉公するのだが、番台で夢心地の一人芝居をするあたりが爆笑ものの「湯屋番」。釣りブームの昨今、「野晒し」の主人公のような野郎が釣り場に現れたらどんな珍事に展開するかと想像させる。
言葉と言葉の間の絶妙な空白の一瞬が、この人の持ち味。そこに何とも言えないおかしさが生まれる。また、絶妙のタイミングで入る捨て台詞風のクスグリがこの噺のもつ突き抜けた明るさを一層引き立て、佐平次をはじめとする登場人物を生き生きさせる。
8代目可楽といえばこの2席。渋い語り口は通好みという面につながり、今一つ地味な印象だが、好きな人にはたまらない。どちらも酔っ払いの主人公の、支離滅裂のおかしさの裏に人間の哀感を漂わせ、笑わせるだけでなく、人生というものを感じさせる。