1997年3月発売
クナイフェルは旧ソ連反体制作曲家の大物のひとり。ケージ、フェルドマンなどの影響もあり、長めでゆっくりで静かな音楽を書きたがる。当CDの曲は、合唱の柔和な祈りの歌とチェロのかそけき独奏が交錯しつつ、しみじみ1時間続く。まあ、癒し系の音楽。
今のところ唯一の全曲録音とはいえ、とっても地味でシブイ音楽。メンコンのような甘美さやポピュラリティはないが、音楽的には質がすこぶる高い。これが小学校6年生の書いたものとは……。音色(オリジナル楽器)はもとより、演奏自体もハイ・レベル。
朝鮮半島や中国大陸の歌い手には、強じんな声帯の持ち主が多いが、反面、独特な発声の癖のようなものがある。ところがスミにはそんな癖がまったくない。世界の主要歌劇場から引く手あまたの理由である。それにしても透明で軽やかな歌声である。5月の「魔笛」が楽しみ。
フィンランドのチェリスト、アルト・ノラス79年の録音。これも、優れた演奏家ってたくさんいるんだなあ、と再認識する1枚。力の入った演奏をしているが、それがうっとうしくならず、音楽の造形をしっかり聴かせるバランスが見事。伴奏者も巧い。
70年代アトランティック音源から、スウィートなバラードばかりを集めたオムニバスのグループ編。サブ・タイトル通り、甘くて酸っぱい名唱が揃っています。甘いだけじゃなく、その中にドロドロした熱気がトグロを巻いている感じが今の凡百のソウルとは違う。
アトランティック所属のソロ・シンガーによる70年代のソウル・バラード集。ディスコ・ブーム華やかかりしこの時代は、グループとは対照的に、ソロ・シンガーには厳しい時代であったが、着実に自分のソウル・スタイルを守り続けた者たちの心意気を感じる。
リー・リトナーのジェントル・ソウツで人気も知名度もアップしたパトリースの78年作品。フリー・ソウル・ファンに人気のエレクトラ在籍時の第1弾で、この時から自身の可憐なヴォーカルも大々的にフィーチャー、より軽やかで繊細な音楽性へ移行した。
日本におけるいわゆる“フリー・ソウル”のムーヴメントの流れのなかで注目されるようになったキーボード奏者、パトリースの79年発表の通算5作目。洗練されたR&B系、フュージョン的サウンドで、リズムも踊りやすく、ディスコを中心にヒットした。
70年代中期のジャズ/フュージョン界に登場、ブラコン化していった女性キーボード/ヴォーカルの6作目。80年代初頭らしいディスコ風味も含んだファンキー・サウンドで、70年代的バラッドも収録。サポートは西海岸敏腕ミュージシャンたち。80年作品。
サンプリングやカヴァーの定番としていまも人気の「フォーゲット・ミー・ノッツ」で知られるパトリース・ラッシェンの代表作とされる通算4枚目(82年)のアルバム。「フォーゲット〜」をはじめ、スローな(8)など彼女の魅力が華開いたヒット曲がここにある。
84年に発表された通算7枚目のアルバム。一般にはクラブ・クラシックス2曲を含む前作に人気が集まっているようだが、強力なリード・トラックこそ不在ながら出来としては前作にひけをとらない好盤だ。脆弱なヴォーカルも親しみやすく感じられるから不思議。