1997年6月21日発売
痛めた右手の治療を続けつつ指揮活動と左手ピアノの作品の「弾き振り」で活躍しているフライシャーが、右手の故障が起こる前に録音したこの演奏は、豪快でエネルギッシュであると同時に、セルの格調高い指揮を得て、ゆるぎない構築性もが光る快演である。
ズーカーマンの若き日の演奏が集められている。一番大胆なのはラロで、ここで彼は思い切りタメを作り、自在に歌いまくっている。ブルッフはもう少しなだらかさに重点が置かれているが、最も切れ味の鋭さをうかがわせるのは最後のヴュータンである。
演奏活動を再開した海野の80年の録音で、バロックのポピュラーなヴァイオリン名曲を収めた1枚。音色はたいへんのびやかで潤いがあり美しい。表情も実に折り目が正しく、不自然さは全くない。
日本でもその薫陶を受けた演奏家は多いピュイグ=ロジェ。これは72歳の時に日本で行なった録音で、彼女の愛するドビュッシーとフォーレの曲を演奏したもの。1曲1曲に細やかな愛情の感じられる、まさに珠玉の作品集が、廉価盤でCD化された。
アルバム原タイトル「ポートレイト・オブ・ジョン・ウィリアムス」の名の通り、彼の愛奏曲集といった感じのアルバム。そのため、有名な「アルハンブラ」や日本古謡「さくら」の他に、ビートルズ・ナンバーなども入っている。やや雑多だが気軽に楽しめる。
リードは現代吹奏楽には欠くことのできない作曲家。現代的なサウンドと親しみやすい音楽が彼の大きな魅力だ。もちろん教育的配慮というか、演奏のしやすさも考えられているところもリードの人気の理由だ。演奏に多少のバラツキがあるが、楽しく聴ける。
いわゆる“大作”ではない噺の圓生の魅力をたっぷり味わえる。(1)の両国の見せ物について語る枕がまず聴きもの。口上の巧みさだけでもゼニが取れる。蘊蓄を傾けるにはこうありたい。噺の本題は付け足しのようなものと言っても怒られはしないだろう。
(1)は圓生でなければ聴き通せないような渋い噺だ。(2)は何度か聴いたことがあるが、老若2人の侍と町人たちの緩急が見事。(3)はいくつかの小咄とマクラ集を聴く噺だね。(4)のサスペンスフルな盛り上げ方などもさすが。地味めな噺のなかに圓生の真骨頂がある。
百席篇だけでCD45枚、人情噺集成篇まで加えると58枚にもおよぶという六代目圓生の芸の幅の広さには今もって驚かされる。収録は「仮名手本忠臣蔵」の「九段目(途中まで)」と、もうひとつはサゲが汚いと放送などでは敬遠されたという「汲みたて」。
LP90枚組で発表された六代目圓生の大全集のCD再発シリーズ。収められている「紺屋高尾」は昭和50年4月8日の、「後家殺し」は昭和52年の録音だ。レコード用の録音は本人も納得している出来の貴重な芸の記録。古典落語ファンの基本アイテムだ。
例の名調子が満載。古典1題と劇作家宇野信夫が戦後六代目菊五郎のために書き下ろした世話物芝居「初ごよみ」を、人情噺に翻案した「心のともしび」を収録している。後者は録音も凝っていて噺と祭り囃子を別録りし、ミキシングに6時間も費やしたとか。