1998年8月発売
フェルナーは20代半ばのウィーンのピアニスト。先回シューマンとロイプケを聴いたばかりだが、特に高音での輝かしい響き、リズムに対する感性の鋭さが印象に残る。「楽興の時」は適度な即興性を感じて面白く聴ける。「ソナタ」はメリハリがきいている。
ニールセンとシベリウスは同年(1865年)生まれ。共に北欧の交響曲作家として名を成した。デンマークの自然や人間的気質が目一杯つまったこの第一番は、ニールセン音楽の入門としては最適。ブラームスをちょっと柔らかくしたようで聴きやすい。
北欧4ヵ国の弦楽器のための作品を集めたCD。バルトークの影響がうかがえる(3)や、ショスタコーヴィチの死を契機に書かれた(4)など、北欧の現代音楽の一端をも垣間見させる好企画だ。フィンランドの学生による団体が、作曲家の意図を従順に形にしている。
77年から78年にかけて録音され、すでに名盤としての評価を得ているアルバン・ベルクSQによる“ハイドン・セット”。未だに色あせることのないこの名演が、3枚組3千円ちょっとで手に入るというのは嬉しいかぎりだ。当時の彼らの演奏は、今から比べればやや真面目すぎるかもしれないが、モーツァルトの作曲技法の見事さがより浮き彫りにされるという点で良い方に作用している。
CF曲に加え、シュガーベイブ時代を思い出させる(4)(8)、メリサ・マンチェスターとのデュエット(10)など、ベスト・セレクション的な内容をすでに有するゴージャスなアルバム。音が流れると空気清浄・視界良好にさせるクリアで立体感のある録音技術にも◎。★
理解しようとして観念的になりすぎた詞よりも、シンプルな感情を投げ出す詞の方がこの人には合ってる、と思うのだけど。今回は前者の歌が多いので、サウンドとは逆に少々重い聴後感が残る。奥田民生が参加した(5)(6)には新鮮な風が吹いているのだけど。
マット・ビアンコのスパニッシュ趣味が全開したアルバム『ワールド・ゴー・ラウンド』だが、とどめとばかりにリリースされたのがこのスパニッシュ・ヴァージョン。スペイン語は5曲のみだが、いずれもなんの違和感もないラテン・ポップに仕上がっている。
メンバー5人のソロを各1曲ずつ収録している。アナログ世代には懐かしいサイズのジャケットで写真集付きときている。中居クンはバラティ路線のお経からラップ展開をするメディア落ちで聴かせ、(1)は“たくや”、(2)は“しんご”の作詞でイメージ通り。