1998年9月発売
表題は新ウィーン楽派の作曲家名にしてSomeoneでもある人についての言葉遊び的な詩によるもの。池辺は谷川俊太郎ワールドに深く分け入って刺激的な音を生み出している。惜しむらくは言葉のはっきり聴き取れない歌唱か。リコーダー伴奏は雰囲気ばっちり。
大御所・畑中良輔氏が“世界に冠たる”と書いているが、日本はいい意味でも悪い意味でも合唱の非常に盛んな国。若い作曲家たちの活動の場としては、貴重でもある。合唱コンクールでもお馴染みの高嶋の作品は、現代性と大衆性を併せ持った佳品ぞろいだ。
日本的な情緒をテーマにしながら、安易に日本的な旋律に依存せずに、格調高く豊かな広がりの持つ世界を構築する高田三郎の女声合唱組曲を収録。いずれも作曲者自身が指揮を取り、作品の意図が明確に反映されている。各合唱団の真摯な姿勢も印象的だ。
東京レディース・シンガーズの委嘱によって作曲されたという(1)(2)。そして三絃のための作品を合唱曲に改めたという(3)。3曲ともかなり前衛的だ。しなやかで透明感のある女声が醸し出す不思議な空気。新実徳英の宇宙をこの優れた演奏か現出させている。
合唱の場合、プロよりもアマチュアの方が上をいくことがあるが、これはその好例。女声合唱ゆえに、このひたむきさと透明さは大きな武器であり、いわゆる無垢の美しさを堪能できる。ことに「四つの小品」は名曲の名演。ちょっと意外なお薦め盤である。★
原曲の姿を出来るだけ生かす手法によっているが林氏によれば、これは「敬愛する諸先輩たちに、いくらかの批判をこめつつ捧げるオマージュ」だそうで、これは何よりも歌の本質に一家言持つ氏の自信の表白だろう。一聴、自然で気持ちの良い編曲だ。
福島雄次郎が77年鹿児島に移住してから、南の島などに出掛けて民謡やわらべうたを採取。それらに触発されるように作った歌の数々だ。無伴奏の女声コーラスで歌われる歌は南の島の自然や島影を想像させる。鹿児島女子高等学校音楽部らが健闘して歌う。
間宮芳生のソウル・ミュージックとも言える「合唱のためのコンポジション第1番」は初演以来40年たった今も刺激的だ。アマチュア合唱団の意欲をかきたてる作品だが演奏は難しい。東京混成合唱団の歌唱は理想的なお手本であり、しかも音楽の愉悦がある。
70年代末から90年代初頭までの作品集。しかも、現代詩人たちの詩をテキストにしていて、音楽も多彩でなかなか刺激的なものだ。演奏はライヴだが比較的完成度は高い。さらにめりはりを求めたいところもあるが、この難曲をかなりうたいこなしている。
天台声明をベースに作曲した黛敏郎の(1)、折口信夫の「死者の書」から作曲された野田暉行による(4)など現代合唱の話題作を収めている。録音は約20年前だが、死と生命の深い部分を見つめる眼差しは現代に生きる私たちへのメッセージにも聴こえる。
合唱曲のいわばスタンダード・ナンバーを集めたアルバム。滝廉太郎から池辺晋一郎まで日本中のママさんコーラス御用達の名品がズラリと並ぶ。ただし「羊」や「川」、「犀川」などのマニアックな曲もさりげなくおさめられているので要注意。
日本合唱界の第一人者である関屋普、栗山文昭、辻正行がそれぞれ、数ある混声合唱愛唱曲のなかから、これから歌いつがれていくであろう親しみやすい名曲を選んだもの。いずれも優れたアンサンブルと美しいハーモニーで、のびやかに歌い出されている。
札幌出身の20代後半デュオ、SUPER SOUL SONICSのデビュー・アルバム。ミスチルとかいろんな先達の影が見え隠れする今時のボーイズ・ロックだ。ボーイズと呼ぶには二人ともオトナの歳だが、何か印象が幼いのだ。頑張れ男の子! って感じ。
あまりにもオアシスでシャーラタンズなので、みんな様子見してるみたいだけど、バンドの実力はかなりのレベル。メロディのセンス、甘いのに男らしいヴォーカルなど、聴きどころはある。ギター・バンド冬の時代なだけに、長い目で見よう。