1998年9月発売
幾何学的なアプローチで一つのドラミング・フォームを築いたローチの、より直情的、野生的なドラムが聴きもの。既知のスタイルはバップ的対応の産物ということだろう。そのローチらの奔放な演奏に乗ったホワイト以下22名によるゴスペルは感動的。
不思議にも今とほとんど変わらぬ歌声で、一声であのキャラクター人形のような笑顔が……。出色はヒット曲(3)(6)としっとりと歌われる(8)。ちなみに『真夏の夜のジャズ』が撮られたのが同年。レイの映像も当然あるはずで、そちらの発掘にも期待したいところ。
クール・ジャズの最高峰として知られるレニー・トリスターノ。55年録音のこの作品は、彼の魅力を最大限に生かすとともに、クール・ジャズの歴史的名盤としても名高い作品。初回限定盤。
デビュー・アルバムからのカット。周囲の喧燥をよそにクールな姿が極めてこのバンドの有り様を体現していたMクリップも印象的だったが、本作に収められたライヴ曲(2)〜(4)もまさにロックの原点を見るかのよう。“骨太”って彼らのためにある言葉では。
コブハム、73年の出世作の日本初CD化。怒濤の超絶技巧ドラミングと、ロックを巧みに取り入れたサウンドが、当時は大きな話題を呼んだ。最近ではけっこうサンプリングのネタにも使われているようで、今になって再評価されている傑作アルバムである。★
90年代に入ってからはもっぱらジャズ・シンガーとしての活動がメインの彼女だが、ワールドワイド・デビューとなったこのアルバムはR&B、ソウル・テイスト色の強い仕上がりとなっている。スケールの大きいパンチの利いた歌声に圧倒される!
ジャズ、R&B、フュージョンの歌姫と知られるディー・ディーが、なんとも甘口のディスコ系フィリー・ソウルにトライした80年作。このチャカポコしたドラムの音、快活なストリングス、時代やなー。もっとも彼女の声自体は実に可愛らしいカンジで悪くない。
このアルバムはフュージョン・ベースのプログレッシヴ・ロック!? といったらわかりやすいのだろうか。もともとリターン・トゥ・フォーエヴァー時代の『浪漫の騎士』にもそんなカラーがあったわけで、コンセプト・アルバム系統が好きな人にはおすすめの一枚。
チャカ・カーンに曲を提供するなど、ソングライターとしても知られるラリー・ジョン・マクナリーが、アトコ・レーベルに残した唯一の作品。名曲と名高い「モータウン・ソング」を収録。
ニッティ・グリッティ・ダート・バンドがヒットさせ、他にもニーナ・シモンからボブ・ディランなどに歌い継がれてきた表題作を含むデビュー作の、初CD化であり、日本初公開でもある。人生の哀歓を滲ませる表題作はいまなお、聴き手を涙ぐませる。
米ミシガン出身のキッド・ロックことボブ・リッチーの4作目で、ブルースからカントリー、へヴィメタルまで、旺盛な雑食性を感じさせるミクスチャー・ロックに乗せて、全編ラップが暴れ回る、と言った感じだ。下品なまでの雑食性が、かえって楽しい。
音響への興味にとどまることなく、内的な表現へと向かう求心的な意欲、伝統をふまえながら、それを超えようとするぶつかり合いの緊迫感。39年静岡県生まれ。現在大阪音楽大学教授で関西を代表する作曲家として活躍する鈴木英明の今を示す作品集だ。