1999年8月27日発売
金子由香利のCDはフィリップスから2枚、ビクターからは銀巴里ライヴの1枚が発売されているが、今月はCBS・ソニーからトリオ・レコード原盤の2枚が登場した。73年、74年の録音で、彼女の記念すべきデビュー・アルバムとセカンド・アルバムのCD盤で、ファンには待望のものだ。彼女のレパートリーは、今ではフランスでもほとんど歌われないものだが、彼女にとっては永年大切にしてきたものだけあって、すっかり彼女のためのオリジナルであるかのように自分のものとなっている。酒の楽しみや愛のよろこびよりも悲しい恋と人生のたそがれを独得のセリフと歌唱でじっくりと歌い込んで、聴かせる。若い人にも耳を傾けてもらいたいものだ。
フランスのオリジナルとはまったく別の魅力を持つにいたった日本の“シャンソン”。その最高の歌い手のひとりだったのが金子由香利だ。その歌のBGに添えられたさまざまなパリの街角の“音”は、なお一層、彼女の歌心を引き立てるエッセンスの役目を果たす。
生粋のビバッパーとして活躍中のビショップが、タイトル通りチャーリー・パーカーを偲んで彼の愛奏曲を吹き込んだ作品。歯切れのいいタッチと強力なスウィング感は健在で、このピアニストがいまもビバップの伝統を守っていることに拍手を贈りたくなる。
クーベリックは第1、第2ヴァイオリンを両翼に分散する配置を好んでいたが、幻想ではこれが実に効果的で作曲者の意図をうまく引き出している。スケールは大きく、余裕のある響きで誇張のない良心的解釈。テンポにも余裕があり熱狂的な演奏ではないが、聴後の充実感は抜群。
70年代のジャズ・シーンを担った大物ジャズメンが98年のニューヨークで一堂に会し、ライヴを敢行。ブレッカー、リーブマンのスリルあるSAXも聴き応え十分だが、なんといっても神様マルティーノのギターがライヴ録音でたくさん聴けるのがうれしい。
ビゼーやファリャのオーケストラ曲のピアノ版、そしてハルフテルらのピアノ曲など、スペインに対する熊本の熱き思いを込めたアルバム。なんだけど、恐縮ですがその“思い”以前に、まずちゃんと弾いて、ちゃんと音楽を聴かせてほしいのであります。
中原淳一のたおやかな挿し絵にあらわれた日本のイメージを美輪明宏が歌うという企画アルバム。「赤とんぼ」や「宵待草」といった旧き良き日本の叙情……。うつくしい詩&うつくしいメロディの記念、その雰囲気に一時触れることのできる一枚でもある。