2005年1月21日発売
アン・ピープルズと言えば『アイ・キャント・スタンド・ザ・レイン』と言う方が多いが、その前作である本作も実は名盤の名にふさわしい傑作である。多少ブルージィではあるが、ハイ・サウンドの充実期に作られただけあって重厚な音が魅力の通算3枚目。
“トランス・レイヴ”の最速シリーズの第4弾。全曲日本初CD化というのが嬉しい。ミックスはジャンルをクロスオーヴァーしたスタイルがクラバーに支持されている、DJ UTOが担当。
叙情的な作風によって知られる作曲家吉松隆の「プレイアデス舞曲集」を軸に、プーランクやラモーの小品を新進気鋭のピアニスト松本和将が演奏した珠玉の曲集。澄み切った空気を感じさせるクリスタルな音色は、疲れた心を癒す薫風のように心地よく清々しい。
すべてにわたってかっちりと弾かれることが、こんなに清々しかったかとあらためて思わせてくれる。それでいて彼女の音楽はとても自由で温かい。どんな時でも崩れぬ美音も特筆もの。M.ザンデルリンク&ベルリン室内管の強力なバックアップがあってこそ、だけど。
指揮のロタは、まだ日本ではあまり知名度がないが、これからが期待できそう。多少のツメの甘さはあるけれど、ゴチャゴチャになりやすいスコアをかなり明快・克明に鳴らしている。揺れ動くフレーズへの柔軟な対処も巧い。オケも熱のこもった演奏ぶり。
PONTA BOXなどで知られる人気ピアニストがスタンダードに初挑戦。楽曲のスピリットを軸に据えつつ、みずみずしい感受性で、心の琴線に触れる情景を繊細なタッチで描き出す。トリオとは思えぬスケール感の中に浮かび上がるピアノの音色の美しさは絶品。
デュナーミクや表情の変化により鋭利な切れ味や大仰な演出を聴かせてくれる奏者はいる。またたとえばルガンスキーのような“凄み”を持つ演奏を好むリスナーも多いだろう。しかし、アシュケナージの肩をいからせない柔らかな歌に漂うデリカシーもまた同様に魅力的だ。
制作・出演
エリザベス・ケニー / カンディダ・トンプソン / ジャニーヌ・ヤンセン / ジュリアン・ラクリン / ステイシー・ワットン / ヘンク・ルービング / マールテン・ヤンセン / ヤン・ヤンセン / ヴィヴァルディ刺激的な「四季」が登場。弦、チェンバロとオルガン、テオルボが各1名で計7名。何よりテオルボの起用が大ヒット。このリズムのゴキゲンな推進力は今までにないもの。そしてやりたい放題のヤンセンのヴァイオリンも、この編成だからこその決まり具合。