2005年2月23日発売
ラフマニノフの作品はチャイコフスキーの死を、ショスタコーヴィチの作品は親友の死を悼んで書かれたもの。深い悲しみと激しい慟哭をマッシヴかつ濃密に表現し、真摯さが聴き手の胸に熱く迫る。バランス的にはマフチンがほかのニ人に若干迫力負けか。
目玉のはずの二重協奏曲(ウィルビーの補完による)では、ホープが首尾一貫しないために中途半端に終わっている印象。むしろピアノ協奏曲の方がソリストとノリントン率いる伴奏との取り合わせの妙を味わえる。ナウアーの繊細でソフトな音色が絶品だ。
大野和士が手兵ベルギー王立歌劇場管を振った新録音。いまヨーロッパで最も注目される作曲家三人の作品を取り上げている。大野らしい真摯な取り組みに感動させられる。同世代の音楽に愛着と共感を持つことのすばらしさ。じっと聴き入ってしまった。
遍く周りの音を養土とするトゥールの旺盛な雑種性と、シベリウスの懐郷、ラフマニノフの懐旧を同居させ、自らの感性の出自を音の形として手繰り寄せようという、“中央”に依拠せぬ場所で才気を発揮する俊英ならではの、ユニークにして清新な選曲のアルバム。
“革命的”ともいえるマシュー・ボーンの「白鳥の湖」の音楽の種明かしである。大胆な曲順の変更や入れ替えがいたるところにあり、その“特異さ”にあらためて驚かされる。しかし演奏は意外に精確で流麗。独創的な振り付けを支える謎解きがここにある。
ファンタスティック・プラスチック・マシーンによるミックスCDの第5弾。バンキー&ジェイクにはじまりサー・アリズ・ガールズで終了する20曲は、新旧和洋織り混ぜた選曲で、ダンス・フロアよりもルーム・ミュージックに最適のスムーズさが魅力。
FPMのリミックス・ワークス集。YMOからシック、ジェイムス・ブラウン、キリンジまで多彩な楽曲を、サンバやボサ・ノヴァ、ディスコなどのビートでつなげている。どんな曲でも彼ならではのエレガントでスウィートな音世界に染め上げてしまう手腕は、やはりさすが。