2006年9月発売
秋篠宮紀子さまのご懐妊を祝って発売された、胎教CD。母体および赤ちゃんにも効果のある楽曲を厳選した、クラシック名曲集。もちろん生まれた後の育児にも効果があり、母子ともに心安らかになれる。
最初の曲が始まってすぐにその強烈な躍動感にまず驚く。ユニークな「ユモレスク」、思い切り甘えたようなドルドラの「思い出」、中間部が面白いブラームスのハンガリー舞曲、濃厚なサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」などなど、天満の個性が満開である。
スウィトナー、懐かしい名前だ。旧東ドイツのゆっくりした時間の流れに培われた、素朴で暖かく、純白なモーツァルト。斬新さに欠けると言われるかもしれないが、歴史の流れから言えば、この演奏の方が古楽器よりもモーツァルト時代の様式に近いのではないか。
スウィトナーが残したモーツァルトの、最良の録音のひとつ。刺激的であることが優れた演奏と思われている風潮の対極にある演奏で、古典的な均整美や滑らかな響き、穏やかなテンポ感などが織り成す、香り豊かなモーツァルト。
ベルリン響の首席指揮者時代の最後期の録音。シベリウスの“渋い”演奏として、典型的なひとつ。堅実で堂々とした中にも、洗練された響きが聴ける魅力的な演奏。シベリウスの代表的な録音として価値あるものだ。
この録音は貴重だ。マーラー的とされるボヘミア色やドロドロした感傷性などを取り払って、いわゆるドイツ的絶対音楽へのアプローチで表現されている。カチッとした構築性、曖昧さのない旋律の扱いや整頓された響きに、スウィトナーの美質を見いだせる。
“階級闘争の勝利”というこの曲の表層的な主題を、堂々たる威容で提示するザンデルリンク。作曲家が楽譜に隠した批判的メッセージに無頓着なのは、ムラヴィンスキーから薫陶を受けた東独の巨匠としては致し方ない。骨太ながら細部に目の行き届いた演奏である。
制作・出演
アルフレード・トルスクドルフ / オトマール・スウィトナー / カール・シュッテ / ギュンター・シャフラッシュ / シュターツカペレ・ドレスデン / モーツァルト / ユッタ・ツォフ / ヨハネス・ワルター発売元
キングレコード株式会社ある意味懐かしさを感じさせる演奏解釈とそのサウンドの蘇りであり、録音芸術の観点からは大歓迎の企画。当時の東独が置かれていた経済的・政治的状況までもが仔細に聴き取れる不思議さは秀逸であり、現状のCDフォーマットの懐の深さも実感される。