音楽むすび | 2010年10月発売

2010年10月発売

LIES, LIES.LIES, LIES.

2010年、ドリが日本を色ドリます。赤ドリ、青ドリに続く今作は、紫ドリ。ホンネなんていらない。あなたの嘘に騙されたい。 テレビ朝日 木曜ドラマ 「ナサケの女〜国税局査察官〜」 主題歌 主演:米倉涼子 10月21日スタート 毎週木曜日21:00 【CD】 M1. LIES, LIES. M2:LIES, LIES. - PIANO VERSION - feat. 大谷幸 M3:LIES, LIES. - GUITAR VERSION - feat. JUON from FUZZY CONTROL 【LISE, LISE. ライナーノーツ】 ホンネなんていらない。あなたの嘘に騙されたい。 初めて「LIES, LIES.」を聴いたとき、何か眩しい閃光で体を貫かれたようなショックを受けた。今作を色にたとえるなら“紫”。それも夜色の濃紺を まとった深い紫だ。赤ドリ「ねぇ」/青ドリ「生きてゆくのです?」同様、ドラマチックな展開に心を揺さぶられることは間違いないのだが、今作は とてもグラマラスで艶やか。 「LIES, LIES.」に描かれるのは、恋愛のダーク・サイド。『tell me more LIES, LIES〜来るはずない未来さえ語って〜』のフレーズに表れているように、 たとえ嘘であったとしても、今この瞬間だけを満たしてくれればそれでいいと、強く愛を求めてくる。そこに在るのはしたたかな女性像。が、しかしーー。 先述した“紫”には“菖蒲色”という種類がある。菖蒲(ショウブ。またはアヤメ)は可憐な紫色をした、どこか儚さを持った花なのだが、「あきらめ」 「忍耐」「あなたを信じます」という花言葉を持っている。「LIES, LIES.」に描かれる詩世界は、まさしくそんな要素を背負っているのではないだろうか。 “あなた”との愛に対し、ある意味あきらめの気持ちが存在しつつも、あいまいな2人のバランスに堪え、どんな形であれ“あなた”を心のどこかで 信じ抜きたい……そんな不安定で切ない想いが綴られている気がしてならない。そんな痛々しさが、したたかさと同時に伝わってくるのは、「オオカミ少年」 と「花泥棒」、「PURE」と「EVIL」、「TRUTH」と「HURTS」など、相対するキーワードを吉田美和が巧みに操っているから。アグレッシヴさに繊細さを 掛け合わせた、そのギャップがいかにも女らしくてドキッとさせられるし、女心の脆さに胸を締め付けられる感覚にもなる。吉田美和の艶やかで、冷静 かつ瞬間的に感情的な声で歌い上げられれば、なおさらだ。 そんな彼女の歌を運ぶサウンドは実に緊張感にあふれている。4分打ちのデジタリックなダンス・ビートの中、JUON(FUZZY CONTROL)の熱を帯びた ギター・カッティングが印象的。そして、もっとも感情の起伏が激しいサビでループするコード展開や、ゆったりとしたグルーヴの間を力強くドライヴする ヴォーカルラインにゾクゾクと心揺さぶられてしまう。まさに気分を“HIGH”にさせてくれるスリリングなサウンドだ。 「LIES, LIES.」は、長年のドリファンにとってはデビュー曲「あなたに会いたくて」(1stアルバム『DREAMS COME TRUE』 収録)「LAT.43°N 〜forty-three degrees north latitude〜」「LOVE GOES ON・・・」(ともに2ndアルバム『LOVE GOES ON・・・』収録)など、初期のDREAMS COME TRUEを 彷彿とさせるかもしれない。そして若い世代にとって、この詩世界とコード感はとても刺激的に響くことは間違いない。音色、サウンド・アプローチ、 歌詩、歌声……すべてが合わさり、化学反応を起こしたときに感じられる衝撃と感動を、とにかく真正面から受け取ってほしい。長年に渡ってJ-POPの 頂点に立ち、今もなお心を大きく揺り動かしてくれるこのパワー。そこに未だ私たちはドリの凄さを痛感し、敬愛することをやめられないのである。 文:恒川めぐみ

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