2010年1月発売
毎度自在の音楽的スケール感を出している女性歌手の4枚目のアルバムは、ウーゴ・ファトルーソ(p)とヤヒロトモヒロ(打楽器)の名コンビをサポートにおいたシンプルな設定にて。中南米楽曲を中心に取り上げつつ、綺麗な放物線を描くと言いたくなる歌を思うまま開いている。
タイトル曲は女性シンガーのsayaが参加、若き日の卒業式で抱いた志がいまに甦る佳作。カレッジ・ポップスの雄らしく、シンプルな楽曲・サウンドで親しみやすさは健在。クセのなさが逆に、その存在を際立たせ、長く記憶に残るバンドにしているのかもしれない。「小さな日記」を聴くと、あらためてそう感じる。
リーダー第2作目にして、初のニューヨーク録音。ナット・リーヴス、ジョー・ファンズワースという、現代NYのストレートアヘッド・ジャズを牽引する精鋭たちとのコラボレーション。スタンダード・ソングを華やかでくつろいだ雰囲気に綴る、癒しのある穏やかなピアノ・ジャズ。
発売元
日本コロムビア株式会社ラジオ番組『ラジオ深夜便』の、人生に影響を与えた音楽を紹介する人気コーナーから誕生した企画アルバム。紹介された楽曲をコレクトしたシリーズ第3弾で、監修、選曲、ナレーションを五木寛之が担当している。
古来より大和朝廷が節目節目に執り行なう儀式の時に演奏される代表的な雅楽、歌舞を収録した貴重な音源集(92年録音)。新嘗祭、大嘗祭などで演奏、歌われるものなどが中心で、いずれも厳かな響きが特徴。どうしてこういう形態になったのか、考えながら聴くのも一興。★
宮崎出身の3ピース・バンドによるメジャー・ファースト・アルバム。メロコア、ギター・ロックを軸にした生々しいサウンドに乗るのは、生きることへの葛藤、音楽への期待と不安、自分自身を受け入れる覚悟などをテーマにした歌。田淵ひさ子がゲストギタリストとして参加。
北海道網走市出身で、トラック運転手や漁師も経験したという異色の歌手のセカンド・シングル。「呼人駅」は叙情派の曲、「北帰郷」は爽やかで明るい曲調のナンバーで、ともに五木ひろしや山本譲二を思わせるような情感あふれる歌が持ち味となっている。その魂のこもった歌声はリスナーの心をふるわせる。
出会いと別れを演出する場として駅は歌の題材によく取り上げられる。田川寿美のシングルも、両曲とも駅を舞台にした別れを歌った哀感あふれるもの。雪景色を背景に「北の港駅」から「哀しみにさようなら」へと、一人の女が主人公の一続きのドラマを観るような物語を、ていねいに歌いこんだ上質の演歌だ。
発売元
日本コロムビア株式会社ハンガリーのヴァイオリニスト、シゲティ(1892〜1973)がヴァンガードに残した録音を集めた11枚組。もちろんすべて1940〜1950年代のモノ録音。バッハの「無伴奏」、ベートーヴェンのソナタ全曲に、モーツァルトのソナタ集、バルトーク(自作自演アリ)と共演したリサイタルのライヴなど、じつに盛り沢山の内容。また他のピアニストも、アラウやセルなどという豪華版。そうした巨匠たちの理知的でシャープなピアノに対して、シゲティは微塵も臆せず、ストイックで求心的な音楽を熱くひたむきに奏し続ける。
制作・出演
FukushiTainaka / HideoIchikiawa / HideoYamaki / TomioInoue / ジム・ロトンディ / パット・ビアンキ / ランディ・ジョンストン / 矢野沙織発売元
日本コロムビア株式会社名門サヴォイ・レーベルからの9作目が本作品。「ザ・キッカー」でのパーカーを思わせるようなスピード感あふれるプレイが彼女の真骨頂だ。アルトを駆使し随所にバップ・フレーズをちりばめる。馴染みの曲ばかり、聴き込んでその実力、魅力を十分納得。ラストのオリジナルも素晴らしい。ぜひ手元に置きたい一枚。★