2012年5月発売
ムソルグスキーのピアノ曲をラヴェルが卓越した管弦楽技法を駆使して色彩豊かに編曲した《展覧会の絵》は、現在では原曲以上にポピュラーになっています。また従来の音楽語法を覆して原始的なサウンドにより異教徒の祭祀を描いたストラヴィンスキーの《春の祭典》は、20世紀のオーケストラ曲として幅広い支持を受けています。カラヤンが1960年代中葉にベルリン・フィルハーモニーを率いて録音した、緊張感に満ちた演奏を収録しています。?
スペイン舞曲のリズムによる旋律のみを楽器を代えて繰り返し、漸強しつつ圧倒的なクライマックスに至る《ボレロ》。ギリシャ神話の牧歌的な物語による、夢想的に描かれたバレエ《ダフニスとクロエ》。夜明けから刻々と変わる海の一日を描写した《海》。マラルメの象徴詩をもとに作曲された《牧神の午後への前奏曲》。ラヴェルとドビュッシーの名管弦楽曲を、カラヤンとベルリン・フィルハーモニーによる色彩感溢れる演奏でご堪能ください。?
20世紀イタリアの器楽ルネサンスを代表する作曲家レスピーギの代表作として知られる交響詩《ローマ三部作》は、「噴水」「松」「祭り」といったローマの風物を題材に、大規模な管弦楽法を駆使して書き上げた壮麗な交響詩です。小澤征爾が指揮するボストン交響楽団の演奏で収録。彼がオーケストラから絢爛たる響きを完璧なまでに引き出しているこのアルバムは、オーケストラ演奏の粋を聴くことのできる一枚といえるでしょう。
『千夜一夜物語』に題材を得て、エキゾティックな旋律や壮麗なオーケストレーションによって絢爛豪華な一編の音楽絵巻に仕上げられた《シェエラザード》。スペインの民謡や舞曲を巧みに採り入れて、色彩的な管弦楽法で書かれた《スペイン奇想曲》。リムスキー=コルサコフのオーケストラの名作2曲を収録したこのアルバムは、小澤征爾が指揮するボストン交響楽団とN.ヤルヴィ指揮のエーテボリ交響楽団の輝かしい演奏で収録しています。
16歳で第1作を発表して以来、21年間で38ものオペラ作品を残した18・19世紀イタリア・オペラの作曲家ロッシーニ。このアルバムには21歳で作曲した《アルジェのイタリア女》や彼の名を不動のものにした《セビリャの理髪師》をはじめ、代表作として知られる6曲の歌劇の序曲を収録しています。ロッシーニを最も重要なレパートリーのひとつとするアバドと、彼の手兵だったロンドン交響楽団による颯爽とした演奏で心ゆくまでお楽しみください。
自作の童話の登場人物と楽器を結びつけ、小管弦楽のために書かれた《ピーターと狼》はプロコフィエフの代表作です。また様々な動物を音楽で描いた組曲《動物の謝肉祭》は、サン=サーンスの作品のなかで最もポピュラーな名曲です。子供ための音楽入門用として書かれたオーケストラの名作2曲を、ベームの的確な解釈とウィーン・フィルハーモニーによる伸びやかな演奏で収録、ナレーターにはイギリスの名物女優が起用されています。
スメタナの代表作である連作交響詩《わが祖国》は、チェコの自然や歴史を描いた全6曲から成る曲集です。特に第2曲の《モルダウ》は彼の作品のなかでも最も人気のある傑作で、単独でも演奏されます。チェコ出身の名指揮者クーベリックはこの作品を最も得意としており、5種類の全曲盤を遺しました。そのなかでも名盤とされているのがボストン交響楽団を指揮したこのディスクで、彼の祖国に対する熱い思いが溢れ出る演奏を繰り広げています。
R.シュトラウスにとって最後の交響詩となった《英雄の生涯》は自己の業績を振り返る自伝的色彩の濃い曲で、既作品が次々に引用されて登場します。また《ティル・オイレンシュピーゲル》は14世紀の北ドイツに生きた伝説の人物ティルの様々ないたずらを素材にした作品です。前者はカラヤンがドイツ・グラモフォンにステレオ録音を開始した最初期の演奏で、ドイツ・ロマン派最後の巨匠の豊饒で表現的な音楽を完璧に再現しています。
眩いまでに斬新な極彩色の響きや独特のリズム語法が特徴的な、原始主義の出発点となった《火の鳥》。謝肉祭の市場の芝居小屋を舞台に、人形を主人公にして展開される《ペトルーシュカ》。アバドとロンドン交響楽団の演奏で、20世紀を代表する作曲家ストラヴィンスキーのバレエ2曲をカップリングした一枚です。アバドは透徹した視点でそれぞれの作品を分析し、作品の持つ色彩感やリズムを明快に表現した自在な演奏を聴かせています。
ナポレオンのロシア侵攻と寒さや飢えによる敗退の史実を忠実に描写した、フランス国歌やロシア民謡を用いた祝祭的な《1812年》、イタリアで受けた感銘を音で綴った《イタリア奇想曲》、悲恋を描いたシェイクスピアの名作戯曲を巧みに音楽化した《ロメオとジュリエット》などを収録した、チャイコフスキー管弦楽曲集です。バレンボイムはシカゴ交響楽団の機能を最大限に発揮させ、スケール豊かでダイナミックな演奏を繰り広げています。
呪われた船長が救済されるまでを描いた《オランダ人》、清新な覇気に満ちた《タンホイザー》、中世の聖杯騎士伝説を題材にした《ローエングリン》、騎士トリスタンと王女イゾルデの悲恋を描いた《トリスタン》。職匠芸術家たちの生活を活力溢れた音楽で描いた《マイスタージンガー》、荘厳な楽想が繰り広げられる《パルジファル》。ベームとウィーン・フィルハーモニーによる壮大で重厚な演奏で聴くワーグナー・アルバムです。
17世紀から18世紀中葉までに栄えたバロック音楽の数多くの名曲のなかから、ドイツ、イタリア、イギリスの作曲家の作品を厳選し、指揮者を置かないオーケストラとして知られるオルフェウス室内管弦楽団が演奏したバロック名曲集です。シンプルな構造でありながら、なにか郷愁を呼び覚ますようなこれらの作品は、現代人に最も必要とされる音楽なのかもしれません。聴く者に安らぎのひと時と癒しを与えてくれるアルバムです。
最も名高いウィンナ・ワルツのひとつで、オーストリアの「第2の国歌」とも称される《美しく青きドナウ》。タイトル通り堂々とした曲想の《皇帝円舞曲》。賑やかなポルカ・シュネル《雷鳴と電光》。名作を数多く作曲し「ワルツ王」と呼ばれるJ.シュトラウス2世のワルツ・ポルカ集です。ウィーンの伝統と風土が生み出し育んだ作品を、ベームとウィーン・フィルハーモニーの名コンビによる本場の香りを伝えてくれる演奏で収録しています。
大バッハがブランデンブルク辺境伯に献呈したためにこの通称で呼ばれるようになった《ブランデンブルク協奏曲》は、バロックの協奏曲の音楽様式を総決算すると同時に、次に続く古典派を予告するような独創性をも備えた作品です。20世紀後半のバッハ演奏に一時代を画したリヒターの指揮による、様々な楽器のための協奏曲が即興を交えながら展開されてゆくこの演奏に接するたびに、音楽を聴く喜びを改めて感ぜずにはいられません。
高貴でありながら雄大な作風を示し、このジャンルの最高傑作とされるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、独創性も存分に発揮された傑作として広く親しまれています。モーツァルトが青年期に書いた名作のひとつとして知られる、洗練度と深みを増したスケールの大きな第5番は、終楽章のリズムから《トルコ風》の愛称で親しまれています。ウィーンのヴァイオリニスト、シュナイダーハンの格調高い気品溢れる演奏でお楽しみください。
従来のピアノ協奏曲とは一線を画した「ピアノ付き交響曲」といった趣の、気宇広大ともいえるスケールのブラームスの第1番。抑制された沈鬱感が横溢する晦渋さを湛えたこの作品で、今は亡き名ピアニストのギレリスと名指揮者ヨッフムががっぷりと四つに組んだ演奏を展開しています。ギレリスの協奏曲録音のなかで最も重要な位置を占める名盤の誉れ高い録音であり、ヨッフムとベルリン・フィルハーモニーの純ドイツ的な響きも聴きものです。
制作・出演
アマデウス弦楽四重奏団 / ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 / オイゲン・ヨッフム / カール・ライスター / ジークムント・ニッセル / ナタン・ミルシテイン / ノーバート・ブレイニン / ピーター・シドロフ / ブラームスブラームスの他の協奏曲と同様、技巧的に至難で内容的に渋いにもかかわらず精神的に極めて充実した雄渾な作品として知られる、ロマン派屈指のヴァイオリン協奏曲。楽器特有の音色を巧みに生かして、作曲家晩年の独特の寂寥感を見事に表出したクラリネット五重奏曲。完璧な技巧と磨き抜かれた音色を存分に発揮したミルシテインと、音楽性溢れる感性豊かなライスターの独奏による、至上の演奏で収めた珠玉のブラームス・アルバムです。
祖国ポーランドを離れる直前に作曲し、告別演奏会で自ら演奏した第1番。それより1年前の作品で、第2楽章が初恋の人への思慕から作曲されたと伝えられる第2番。古典的な形式によりながらも瑞々しいロマンティシズムに溢れ民俗的なリズムも織り込まれた、ポーランド時代に作曲された若き日のショパンの協奏曲をカップリングした一枚です。ショパンを得意とするヴァーシャーリが、繊細優美で詩的ともいえる演奏を繰り広げています。
伸びやかでノスタルジックな旋律美とソロの華麗なパッセージが魅力的な、ドヴォルザークのチェロ協奏曲。この作品に内在する郷愁や憧憬を雄大なスケールで、しかも詩情豊かに表現した、フランスの名チェロ奏者フルニエの演奏で収めた一枚です。この曲の決定盤として広く親しまれているアルバムで、バックを務めるセルとベルリン・フィルハーモニーの万全のサポートぶりも見事の一語に尽きます。ハイドンのチェロ協奏曲第2番を併録。