2012年5月発売
従来のピアノ協奏曲とは一線を画した「ピアノ付き交響曲」といった趣の、気宇広大ともいえるスケールのブラームスの第1番。抑制された沈鬱感が横溢する晦渋さを湛えたこの作品で、今は亡き名ピアニストのギレリスと名指揮者ヨッフムががっぷりと四つに組んだ演奏を展開しています。ギレリスの協奏曲録音のなかで最も重要な位置を占める名盤の誉れ高い録音であり、ヨッフムとベルリン・フィルハーモニーの純ドイツ的な響きも聴きものです。
制作・出演
アマデウス弦楽四重奏団 / ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 / オイゲン・ヨッフム / カール・ライスター / ジークムント・ニッセル / ナタン・ミルシテイン / ノーバート・ブレイニン / ピーター・シドロフ / ブラームスブラームスの他の協奏曲と同様、技巧的に至難で内容的に渋いにもかかわらず精神的に極めて充実した雄渾な作品として知られる、ロマン派屈指のヴァイオリン協奏曲。楽器特有の音色を巧みに生かして、作曲家晩年の独特の寂寥感を見事に表出したクラリネット五重奏曲。完璧な技巧と磨き抜かれた音色を存分に発揮したミルシテインと、音楽性溢れる感性豊かなライスターの独奏による、至上の演奏で収めた珠玉のブラームス・アルバムです。
祖国ポーランドを離れる直前に作曲し、告別演奏会で自ら演奏した第1番。それより1年前の作品で、第2楽章が初恋の人への思慕から作曲されたと伝えられる第2番。古典的な形式によりながらも瑞々しいロマンティシズムに溢れ民俗的なリズムも織り込まれた、ポーランド時代に作曲された若き日のショパンの協奏曲をカップリングした一枚です。ショパンを得意とするヴァーシャーリが、繊細優美で詩的ともいえる演奏を繰り広げています。
伸びやかでノスタルジックな旋律美とソロの華麗なパッセージが魅力的な、ドヴォルザークのチェロ協奏曲。この作品に内在する郷愁や憧憬を雄大なスケールで、しかも詩情豊かに表現した、フランスの名チェロ奏者フルニエの演奏で収めた一枚です。この曲の決定盤として広く親しまれているアルバムで、バックを務めるセルとベルリン・フィルハーモニーの万全のサポートぶりも見事の一語に尽きます。ハイドンのチェロ協奏曲第2番を併録。
第3楽章でトライアングルが効果的に用いられるために「トライアングル協奏曲」とも呼ばれる第1番。緻密で抒情的な傾向の強い、交響詩のような作風を示す第2番。いずれも全曲が切れ目なく続けて演奏される、リストの2曲のピアノ協奏曲を収録したアルバムです。ロマン派の作品をレパートリーの中心に据えて演奏活動を続け、極めて高い評価を受けているヴァーシャーリによる、高度なテクニックを存分に発揮した演奏です。
冒頭からソロ・ヴァイオリンが甘美に歌う、哀愁を帯びた抒情的な名旋律であまりにも有名なメンデルスゾーン。作曲家自らが「抒情的楽想」と呼んだ、悲哀感に満ちたロマンティックなメロディによるチャイコフスキー。ロマン派のヴァイオリン協奏曲の傑作2曲を収めた一枚です。ミルシテインが完璧なテクニックと輝かしい美音を存分に発揮した演奏を聴かせており、アバド指揮のウィーン・フィルハーモニーも万全のサポートぶりを示しています。
暗く悲劇的な緊張感と優美な慰めが隣り合い、憂愁を帯びた独特の情感が横溢する、ベートーヴェンを先取りした作品と評される第20番。快活な曲想の作品で特に清冽で夢幻的な第2楽章は格別な美しさを湛え、映画でこのアンダンテが使用されて一躍有名になった第21番。モーツァルトのピアノ協奏曲の名作2曲を収めたアルバムで、ハンガリー出身のスイスの名ピアニストであるアンダが自ら指揮者を兼ねた、会心の演奏で収録しています。
独奏ピアノが繰り広げるパッセージが祝典的な気分を盛り上げる華麗な協奏曲で、皇帝レオポルト2世の戴冠式を祝して演奏されたために《戴冠式》というタイトルが付けられた第26番。作曲家の死の年に生み出された、晩年の清澄な心境を反映した最後のピアノ協奏曲第27番。モーツァルトのピアノ協奏曲2曲を収めた一枚です。ピアノ・指揮のアンダとモーツァルトゆかりのカメラータ・アカデミカによる正統的な演奏でお楽しみください。
制作・出演
イギリス室内管弦楽団 / ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 / カールハインツ・ツェラー / カール・ベーム / ニカノール・サバレタ / ベルンハルト・クレー / モーツァルト / ヴォルフガング・シュルツフランス風の典雅な趣を湛えたギャラントな魅力に溢れる、ロココ文化を美しく反映させた《フルートとハープのための協奏曲》。以前訪れたパリの宮廷の印象を反映するような華やかなフルート協奏曲第1番と、大きなスケールの曲想による力の漲った豊麗な情趣が横溢する第2番。モーツァルトの3曲の協奏曲を収めたアルバムです。フルート独奏はシュルツとツェラー、ハープはサバレタが務め、ベームとクレーの指揮がソロを堅固に支えています。
モーツァルトが友人のホルン奏者ロイトゲープのために作曲した4曲のホルン協奏曲は、ユーモアも交えてこの楽器の多彩な魅力を十分に味わわせてくれる、旋律の美しさに溢れた作品です。ベーム指揮によるウィーン・フィルハーモニーがバックを務め、この名門オーケストラの首席ホルン奏者ヘーグナーを独奏者に迎えた滋味溢れる演奏で収録、ウィーン独特ともいえるホルンの音色の魅力を心ゆくまで味わえるアルバムとなっています。
偉大なピアニストでもあった作曲家ラフマニノフの、ピアノと管弦楽のための作品2曲をカップリングした一枚です。協奏曲第2番は近代的なピアノ技法と力強いダイナミズムに豊かな抒情性を配した雄大なスケールのピアノ協奏曲であり、狂詩曲はパガニーニの《24のカプリース》の終曲に基づく序奏と24の変奏からなる作品です。ヴァーシャーリの卓越した独奏とアーロノヴィチの指揮するロンドン交響楽団の演奏でお楽しみください。
ラヴェルの個性が明確に表れた、鋭い閃きを感じさせる軽妙洒脱なピアノ協奏曲。ジャズのイディオムが採り入れられた、荘重で悲劇的色彩を持つ左手のためのピアノ協奏曲。死を悟ったバルトークが妻のために作曲したピアノ協奏曲第3番。近代のピアノ協奏曲を3曲収録した一枚です。アースはパリに生まれた女流ピアニストで、フランスの作品を得意としたその演奏は研ぎ澄まされた感性と鋭敏な感覚に基づく分析力によって高い評価を受けました。
マドリード近郊のアランフエスにある歴代の王室の美しい離宮と庭園に思いを寄せた、あまりにも名高い《アランフエス協奏曲》はスペインの過ぎし日の栄華と郷愁を偲ばせる、ギター協奏曲の先駆的な作品です。ソロを務めるイエペスのスケールの大きな重厚ともいえる演奏スタイルは、この20世紀のギターの名作から新たな魅力を引き出しています。2挺のギターのための組曲風の《マドリガル協奏曲》とバカリッセの小協奏曲を併録。
華麗なピアノの演奏技巧と民族的色彩感に溢れるロシア風の旋律をオーケストラが奏でる、古典的な協奏曲様式で綴られたチャイコフスキーの第1番。内省的で繊細なロマン的詩情が横溢する、幻想味豊かなシューマン。いずれも至難な技巧が要求されるピアノ協奏曲ですが、それが外面的な巨匠性に終わることはまったくありません。目の覚めるようなピアニズムで作品の核心を鋭く抉る、アルゲリッチによる会心の演奏でお楽しみください。?
イタリア後期バロック最大の作曲家ヴィヴァルディの代表作として知られる《四季》は、ヴァイオリン・ソロが活躍する協奏曲形式によって春夏秋冬の様々な情景を描写した名曲です。いまやバロック音楽の代名詞となった感のある傑作で、特にわが国では抜群の人気を誇る作品として数多くの人々に親しまれています。ウィーンの名ヴァイオリニストとして多くのファンに愛された、シュナイダーハンの独奏による気品溢れる演奏でお楽しみください。
標題どおりの爽やかな雰囲気や幸福感を表現した《春》。スケルツォの導入、展開部の充実やロマン的雰囲気などこのジャンルにおける新しい傾向を示し、劇的緊張感や圧倒的な迫力が中間楽章の静謐な情緒と対比されて充実した世界を形作る《クロイツェル》。ベートーヴェンの名ヴァイオリン・ソナタ2曲を収録した一枚です。シュナイダーハンとゼーマンによる演奏で、彫りの深い洗練された響きによる格調高い調べを奏でています。
制作・出演
アマデウス弦楽四重奏団 / ウィリアム・プリース / ジークムント・ニッセル / セシル・アロノヴィッツ / ノーバート・ブレイニン / ピーター・シドロフ / ブラームス / マーティン・ロヴェット堅固な書法のなかに若き作曲家の情熱と瑞々しい感性が伸びやかな旋律によって歌われる、ロマン的雰囲気が横溢する第1番。円熟味を加え音楽的にもさらに充実した、深いニュアンスに満ちた情感が支配する第2番。ブラームスの2曲の弦楽六重奏曲を、アマデウス弦楽四重奏団にヴィオラのアロノヴィツとチェロのプリースが加わった定評のある演奏で収録しています。ブラームスの室内楽の魅力をあますところなく伝えてくれるアルバムです。
南国的な明るい雰囲気と作曲家特有のメランコリックな情緒が美しく融合した第1番。気品ある抒情的な旋律に満ちた、充実した作風を示す親しみやすい第2番。重厚で内省的な側面が色濃く表出された、老境の寂寥感を滲ませた第3番。ブラームスの3曲のヴァイオリン・ソナタを収めた一枚です。無類のセンスとテクニックによって名器を楽々と操るズーカーマンと、バレンボイムの音楽的構造を見事に際立たせた知的なピアノによる演奏です。
ホルンのロマン性豊かな音色を存分に生かした、第3楽章は死せる母に対する悲歌といわれるホルン三重奏曲。クラリネットとチェロの調和の取れた融合から生み出される、幾分翳りを帯びたロマン的情緒が漂うクラリネット三重奏曲。ブラームスの2曲のトリオを収録しています。エッシェンバッハを核に、ザイフェルト、ライスター、ドロルツ、ドンデラーといった錚々たる演奏家が顔を揃え、ブラームスの世界を美しく表現しています。