2012年5月発売
第1楽章の第1主題がひばりの囀りを思わせるところから標題が付けられた《ひばり》。第2楽章の変奏主題に歌曲〈皇帝賛歌〉を用いたところから愛称が冠せられた《皇帝》。快活な主題が狩猟を連想させるためにタイトルが付された、平明快活な曲想で人気の高い《狩り》。定評のあるアマデウス弦楽四重奏団による明快で洗練された演奏によって、ハイドンとモーツァルトの最も有名な弦楽四重奏曲3曲をカプリングしたアルバムです。
制作・出演
アルフレート・プリンツ / ウィーン・フィルハーモニー管楽アンサンブル / カミロ・エールベルガー / カール・マイヤーホーファー / ギュンター・ローレンツ / クリスティアン・クバシュ / ディートマール・ツェーマン / モーツァルト / ローラント・ベルガーウィーン時代の最初のセレナードで当初は六重奏曲として作曲され、翌年オーボエが付加された第11番。短調で書かれた真摯でデモーニッシュな曲想の第12番《ナハトムジーク》。モーツァルトのセレナード2曲を収録したアルバムです。ウィーン・フィルハーモニーの管楽器の名手たちによって組織されたアンサンブルによる、このオーケストラがまだローカルな音色を残していた頃に録音された、味わい深い演奏を聴くことのできる一枚です。
制作・出演
オスカー・リードル / クリストフ・エッシェンバッハ / ケッケルト弦楽四重奏団員 / ゲオルク・マキシミリアン・ヘルトナーゲル / シューベルト / ヨーゼフ・メルツ / ルドルフ・ケッケルトシューベルトの魅力である抒情的でよく歌う旋律や色彩豊かな和声が存分に発揮された、若々しいロマン的雰囲気が横溢する《ます》は、第4楽章の変奏曲の主題に歌曲〈ます〉の旋律を用いたためにこの標題で呼ばれています。子供が遊ぶ姿を詩情豊かに描いた13曲からなるインティメートな《子供の情景》は、シューマン独自の世界が爽やかな詩情をもって描かれた小品集です。エッシェンバッハによる清澄でニュアンス溢れる演奏でお聴きください。
19世前半に考案されすぐに廃れてしまった楽器、アルペジオーネのために作曲されたシューベルトのソナタは抒情的な美しさを湛えた作品です。現在ではチェロの重要なレパートリーとなっていますが、このアルバムではアルペジオーネが使用されています。歌曲集《美しき水車小屋の娘》の〈しぼめる花〉を主題とした変奏曲はフルートが名技牲を発揮する作品です。シュトルクとリンデによる新鮮な息吹に溢れる演奏で収録しています。
内面的情熱と理性が美しく調和したフランク、スペイン的な色彩感に満ちたドビュッシー、ジャズの影響が見られるラヴェル。フランスのヴァイオリン・ソナタの傑作3曲を収めたアルバムです。新世代のヴァイオリン界の先端を行く俊英ミンツの完璧なテクニックと磨き抜かれた音色、そして旋律を歌わせる豊かな音楽性は、この演奏でも見事に発揮されています。ピアノのブロンフマンも息の合った共演ぶりで美しい仕上がりを見せています。
旋法的な調性に縛られない独自の音楽語法の確立への第一歩を記した、夢幻的で色彩感溢れるドビュッシーの白鳥の歌となった弦楽四重奏曲。明晰な形式書法のなかにも瑞々しい感性と官能的色彩が窺える、生命感漲るラヴェルの弦楽四重奏曲。フランス近代の室内楽の名作2曲を収録した一枚です。高度な音楽性に支えられたエマーソン弦楽四重奏団の演奏は作品に備わる気品やエスプリを十全に再現しており、聴く人を魅力溢れる音楽世界へと誘(いざな)います。
ウィーンの舞踏歌のスタイルを模した明るい雰囲気の《愛の喜び》、それと対をなすレントラーのテンポによる甘く感傷的な《愛の悲しみ》、ベートーヴェンのごく初期の知られざる作品から主題を採ったとされる愛らしい《ロンディーノ》、古き良き時代のウィーンへの郷愁を込められた幻想的な《ウィーン奇想曲》。クライスラーの小品を中心にロマン派から現代に至るヴァイオリンの名作を、フェラスが美しい音色と優れた技巧で奏でています。
「チェロのプリンス」と呼ばれ、わが国でも多くのファンに親しまれ根強い人気を持ち続けていたフランスの名チェロ奏者フルニエの小品集です。バッハ&グノーの《アヴェ・マリア》やサン=サーンスの《白鳥》、ショパンの夜想曲第2番などの名作14曲を収録。限りない美音と常に音楽的な高貴さに溢れた、品位の高い演奏で聴く人を魅了し続けたフルニエのエンセンスが凝縮されたアルバムです。チェロが奏でる気品のある音楽をお楽しみください。
最高のポピュラリティを獲得してオルガン曲の代名詞となっている名曲《トッカータとフーガ》、壮大なスケールで展開される重厚な《パッサカリアとフーガ》、敬虔な祈りが静かに奏でられるコラール。バッハの代表的なオルガン作品8曲を収めたアルバムです。バッハのオルガン作品全集を2度完成させた、20世紀後半を代表する名オルガニストであったヴァルヒャによる演奏で収録しています。バッハのオルガン音楽の魅力を存分にご堪能ください。
伴奏のない1挺のヴァイオリンだけを用いながら、多声的かつ宇宙的な規模で展開されるバッハの雄大な《ソナタとパルティータ》。このアルバムに収録されたパルティータは、様々な舞曲を自由に配列した組曲の形で書かれた作品です。ロシア出身のミルシテインは生涯ヨーロッパ音楽の伝統を重んじる演奏を繰り広げました。彼の完璧なテクニックと輝かしい美音、そしてノーブルなスタイルを存分に発揮した演奏でお楽しみください。
「チェロの旧約聖書」といわれるバッハの6曲の《無伴奏チェロ組曲》のなかから、特に人気の高い3曲を収めた一枚です。音色や表現に他の奏者では味わえない品格があり、高貴な音楽性でファンから愛され続けたフランスの名チェロ奏者フルニエの演奏で収録しています。「チェロのプリンス」という称号はフルニエの演奏の特徴を端的に表していましたが、屈指の名盤として知られる彼のバッハは、現在でも多くの人々によって聴き継がれています。
初期の創作活動の頂点をなす強い表現意志に貫かれた《悲愴》。第3楽章が「ある英雄の死を悼む葬送行進曲」として書かれた《葬送》。詩人レルシュタープが「月光の波に揺らぐ小舟のよう」と形容したことから標題が付された、瞑想や抒情性と激しい感情が見事に融合した《月光》。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ3曲を収録した一枚です。最近は指揮者としても活躍しているエッシェンバッハの心に染み入るよう演奏でお楽しみください。
瞑想的な楽句と嵐のような走句との対比が見事な効果を示す、初期の最後を飾る《テンペスト》。ワルトシュタイン伯爵に献呈されたことから標題が付された、中期の雄大な傑作《ワルトシュタイン》。ルドルフ大公との別れを心理的に描写した《告別》。ベートーヴェンの3曲のピアノ・ソナタを、現代的な知性やロマンティックな詩情を感じさせる、透明感のあるギレリスの演奏で収録。彼が到達した晩年の芸術的昇華が刻印されたアルバムです。
有名な〈葬送行進曲〉が第3楽章に配された、詩情溢れる傑作として知られるソナタ第2番。その5年後に書かれた、形式に捉われない自由さと深まりが顕著に認められる第3番。ピアノの詩人ショパンの頂点を築く作品と称される2曲の名ピアノ・ソナタを、人気・実力とも絶頂を極める、現代屈指の名ピアニストとして称賛されるアルゲリッチが鮮やかな技巧を駆使して、迸るような情熱と雄大なスケールで感興豊かに演奏しています。
最も華やかな《華麗なる大円舞曲》、愛らしい小品《小犬》、別離にあたって恋人へ贈った《別れ》。ピアノの詩人と称揚されるショパンは39年という短い生涯に、消失された作品を除いても20曲ほどのワルツを作曲しました。洗練されたロマンティシズムやセンティメンタリズム、優雅にして高貴な雰囲気を湛えた17曲のワルツを、繊細優美な表現を得意とするヴァーシャーリによる彼の個性が存分に発揮された演奏でお聴きください。
ドビュッシーのピアノ音楽の集大成ともいえる《前奏曲集》第1巻は、〈亜麻色の髪の乙女〉や〈沈める寺〉などの名曲を含む12曲からなる曲集です。また作曲家の愛娘に献呈された《子供の領分》は、印象主義の書法によって簡潔に書かれた傑作として知られています。孤高のピアニストと称されたベネデッティ・ミケランジェリの、透徹した響きと磨き抜かれた表現による格調高いこの演奏は、彼が残した録音のなかでも最高位にランクされています。
苦悩や深いパトスを湛えた、短調で書かれた第8番。終楽章でトルコの軍楽隊の小太鼓を模したリズムが用いられ、「トルコ風に」と記されているために《トルコ行進曲付き》の愛称で親しまれている第11番。幻想味豊かな美しい作品で特に人気の高い幻想曲ニ短調と、楽想の赴くままに即興風に展開される幻想曲ハ短調。聴く人々に至福の時を与えてくれる、ヒューマニスティックな温かい感情に溢れたケンプの慈愛に満ちた演奏でお聴きください。
どなたも一度は耳にしたことのある愛らしいピアノ小品を集めた素敵な一枚です。《乙女の祈り》から《水の戯れ》まで、世界中で愛聴・愛奏されている16曲を収録しています。思わず口ずさみたくなるようなメロディやロマンティックな作品など多彩な選曲がなされており、演奏もケンプ、アルゲリッチ、ギレリス、シドン、ベルマン、フランセシュといった一流のピアニストたちによるものです。彼らのピアニズムを心ゆくまでお楽しみください。
制作・出演
アントン・デルモータ / ウィーン楽友協会合唱団 / ヒルデ・レッセル=マイダン / ヘルベルト・フォン・カラヤン / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 / モーツァルト / ヴァルター・ベリー / ヴィルマ・リップ / ヴォルフガング・マイヤーモーツァルトの作品のなかでも最も崇高な美しさに満ち溢れた傑作として知られる、神秘的な雰囲気を漂わせる《レクイエム》。この作品をカラヤンは3回録音していますが、ここに収録した演奏はそのなかで最初のものです。祈りの心を込めて真摯に歌い上げる壮麗な合唱と哀愁を秘めた清澄な独唱、そして重厚な響きのベルリン・フィルハーモニーをカラヤンが見事に統率し、彼の意思が隅々まで透徹した情感豊かな演奏を聴かせています。