2012年5月発売
冒頭からソロ・ヴァイオリンが甘美に歌う、哀愁を帯びた抒情的な名旋律であまりにも有名なメンデルスゾーン。作曲家自らが「抒情的楽想」と呼んだ、悲哀感に満ちたロマンティックなメロディによるチャイコフスキー。ロマン派のヴァイオリン協奏曲の傑作2曲を収めた一枚です。ミルシテインが完璧なテクニックと輝かしい美音を存分に発揮した演奏を聴かせており、アバド指揮のウィーン・フィルハーモニーも万全のサポートぶりを示しています。
暗く悲劇的な緊張感と優美な慰めが隣り合い、憂愁を帯びた独特の情感が横溢する、ベートーヴェンを先取りした作品と評される第20番。快活な曲想の作品で特に清冽で夢幻的な第2楽章は格別な美しさを湛え、映画でこのアンダンテが使用されて一躍有名になった第21番。モーツァルトのピアノ協奏曲の名作2曲を収めたアルバムで、ハンガリー出身のスイスの名ピアニストであるアンダが自ら指揮者を兼ねた、会心の演奏で収録しています。
独奏ピアノが繰り広げるパッセージが祝典的な気分を盛り上げる華麗な協奏曲で、皇帝レオポルト2世の戴冠式を祝して演奏されたために《戴冠式》というタイトルが付けられた第26番。作曲家の死の年に生み出された、晩年の清澄な心境を反映した最後のピアノ協奏曲第27番。モーツァルトのピアノ協奏曲2曲を収めた一枚です。ピアノ・指揮のアンダとモーツァルトゆかりのカメラータ・アカデミカによる正統的な演奏でお楽しみください。
制作・出演
イギリス室内管弦楽団 / ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 / カールハインツ・ツェラー / カール・ベーム / ニカノール・サバレタ / ベルンハルト・クレー / モーツァルト / ヴォルフガング・シュルツフランス風の典雅な趣を湛えたギャラントな魅力に溢れる、ロココ文化を美しく反映させた《フルートとハープのための協奏曲》。以前訪れたパリの宮廷の印象を反映するような華やかなフルート協奏曲第1番と、大きなスケールの曲想による力の漲った豊麗な情趣が横溢する第2番。モーツァルトの3曲の協奏曲を収めたアルバムです。フルート独奏はシュルツとツェラー、ハープはサバレタが務め、ベームとクレーの指揮がソロを堅固に支えています。
モーツァルトが友人のホルン奏者ロイトゲープのために作曲した4曲のホルン協奏曲は、ユーモアも交えてこの楽器の多彩な魅力を十分に味わわせてくれる、旋律の美しさに溢れた作品です。ベーム指揮によるウィーン・フィルハーモニーがバックを務め、この名門オーケストラの首席ホルン奏者ヘーグナーを独奏者に迎えた滋味溢れる演奏で収録、ウィーン独特ともいえるホルンの音色の魅力を心ゆくまで味わえるアルバムとなっています。
偉大なピアニストでもあった作曲家ラフマニノフの、ピアノと管弦楽のための作品2曲をカップリングした一枚です。協奏曲第2番は近代的なピアノ技法と力強いダイナミズムに豊かな抒情性を配した雄大なスケールのピアノ協奏曲であり、狂詩曲はパガニーニの《24のカプリース》の終曲に基づく序奏と24の変奏からなる作品です。ヴァーシャーリの卓越した独奏とアーロノヴィチの指揮するロンドン交響楽団の演奏でお楽しみください。
ラヴェルの個性が明確に表れた、鋭い閃きを感じさせる軽妙洒脱なピアノ協奏曲。ジャズのイディオムが採り入れられた、荘重で悲劇的色彩を持つ左手のためのピアノ協奏曲。死を悟ったバルトークが妻のために作曲したピアノ協奏曲第3番。近代のピアノ協奏曲を3曲収録した一枚です。アースはパリに生まれた女流ピアニストで、フランスの作品を得意としたその演奏は研ぎ澄まされた感性と鋭敏な感覚に基づく分析力によって高い評価を受けました。
マドリード近郊のアランフエスにある歴代の王室の美しい離宮と庭園に思いを寄せた、あまりにも名高い《アランフエス協奏曲》はスペインの過ぎし日の栄華と郷愁を偲ばせる、ギター協奏曲の先駆的な作品です。ソロを務めるイエペスのスケールの大きな重厚ともいえる演奏スタイルは、この20世紀のギターの名作から新たな魅力を引き出しています。2挺のギターのための組曲風の《マドリガル協奏曲》とバカリッセの小協奏曲を併録。
華麗なピアノの演奏技巧と民族的色彩感に溢れるロシア風の旋律をオーケストラが奏でる、古典的な協奏曲様式で綴られたチャイコフスキーの第1番。内省的で繊細なロマン的詩情が横溢する、幻想味豊かなシューマン。いずれも至難な技巧が要求されるピアノ協奏曲ですが、それが外面的な巨匠性に終わることはまったくありません。目の覚めるようなピアニズムで作品の核心を鋭く抉る、アルゲリッチによる会心の演奏でお楽しみください。?
イタリア後期バロック最大の作曲家ヴィヴァルディの代表作として知られる《四季》は、ヴァイオリン・ソロが活躍する協奏曲形式によって春夏秋冬の様々な情景を描写した名曲です。いまやバロック音楽の代名詞となった感のある傑作で、特にわが国では抜群の人気を誇る作品として数多くの人々に親しまれています。ウィーンの名ヴァイオリニストとして多くのファンに愛された、シュナイダーハンの独奏による気品溢れる演奏でお楽しみください。
標題どおりの爽やかな雰囲気や幸福感を表現した《春》。スケルツォの導入、展開部の充実やロマン的雰囲気などこのジャンルにおける新しい傾向を示し、劇的緊張感や圧倒的な迫力が中間楽章の静謐な情緒と対比されて充実した世界を形作る《クロイツェル》。ベートーヴェンの名ヴァイオリン・ソナタ2曲を収録した一枚です。シュナイダーハンとゼーマンによる演奏で、彫りの深い洗練された響きによる格調高い調べを奏でています。
制作・出演
アマデウス弦楽四重奏団 / ウィリアム・プリース / ジークムント・ニッセル / セシル・アロノヴィッツ / ノーバート・ブレイニン / ピーター・シドロフ / ブラームス / マーティン・ロヴェット堅固な書法のなかに若き作曲家の情熱と瑞々しい感性が伸びやかな旋律によって歌われる、ロマン的雰囲気が横溢する第1番。円熟味を加え音楽的にもさらに充実した、深いニュアンスに満ちた情感が支配する第2番。ブラームスの2曲の弦楽六重奏曲を、アマデウス弦楽四重奏団にヴィオラのアロノヴィツとチェロのプリースが加わった定評のある演奏で収録しています。ブラームスの室内楽の魅力をあますところなく伝えてくれるアルバムです。
南国的な明るい雰囲気と作曲家特有のメランコリックな情緒が美しく融合した第1番。気品ある抒情的な旋律に満ちた、充実した作風を示す親しみやすい第2番。重厚で内省的な側面が色濃く表出された、老境の寂寥感を滲ませた第3番。ブラームスの3曲のヴァイオリン・ソナタを収めた一枚です。無類のセンスとテクニックによって名器を楽々と操るズーカーマンと、バレンボイムの音楽的構造を見事に際立たせた知的なピアノによる演奏です。
ホルンのロマン性豊かな音色を存分に生かした、第3楽章は死せる母に対する悲歌といわれるホルン三重奏曲。クラリネットとチェロの調和の取れた融合から生み出される、幾分翳りを帯びたロマン的情緒が漂うクラリネット三重奏曲。ブラームスの2曲のトリオを収録しています。エッシェンバッハを核に、ザイフェルト、ライスター、ドロルツ、ドンデラーといった錚々たる演奏家が顔を揃え、ブラームスの世界を美しく表現しています。
ピアノに重点が置かれてはいるが、情熱的で激しい感情の吐露がチェロで表現されているショパンのソナタ。作曲者自身が「貴婦人向きの華やかなサロン音楽」と評した《序奏と華麗なるポロネーズ》。ピアノの詩人としてあまりにも有名なショパンは、極めて少数ですが室内楽のための作品も残しました。ロストロポーヴィチのチェロとアルゲリッチのピアノが詩的な世界を美しく歌い上げています。シューマンの《アダージョとアレグロ》を併録。
第1楽章の第1主題がひばりの囀りを思わせるところから標題が付けられた《ひばり》。第2楽章の変奏主題に歌曲〈皇帝賛歌〉を用いたところから愛称が冠せられた《皇帝》。快活な主題が狩猟を連想させるためにタイトルが付された、平明快活な曲想で人気の高い《狩り》。定評のあるアマデウス弦楽四重奏団による明快で洗練された演奏によって、ハイドンとモーツァルトの最も有名な弦楽四重奏曲3曲をカプリングしたアルバムです。
制作・出演
アルフレート・プリンツ / ウィーン・フィルハーモニー管楽アンサンブル / カミロ・エールベルガー / カール・マイヤーホーファー / ギュンター・ローレンツ / クリスティアン・クバシュ / ディートマール・ツェーマン / モーツァルト / ローラント・ベルガーウィーン時代の最初のセレナードで当初は六重奏曲として作曲され、翌年オーボエが付加された第11番。短調で書かれた真摯でデモーニッシュな曲想の第12番《ナハトムジーク》。モーツァルトのセレナード2曲を収録したアルバムです。ウィーン・フィルハーモニーの管楽器の名手たちによって組織されたアンサンブルによる、このオーケストラがまだローカルな音色を残していた頃に録音された、味わい深い演奏を聴くことのできる一枚です。
制作・出演
オスカー・リードル / クリストフ・エッシェンバッハ / ケッケルト弦楽四重奏団員 / ゲオルク・マキシミリアン・ヘルトナーゲル / シューベルト / ヨーゼフ・メルツ / ルドルフ・ケッケルトシューベルトの魅力である抒情的でよく歌う旋律や色彩豊かな和声が存分に発揮された、若々しいロマン的雰囲気が横溢する《ます》は、第4楽章の変奏曲の主題に歌曲〈ます〉の旋律を用いたためにこの標題で呼ばれています。子供が遊ぶ姿を詩情豊かに描いた13曲からなるインティメートな《子供の情景》は、シューマン独自の世界が爽やかな詩情をもって描かれた小品集です。エッシェンバッハによる清澄でニュアンス溢れる演奏でお聴きください。
19世前半に考案されすぐに廃れてしまった楽器、アルペジオーネのために作曲されたシューベルトのソナタは抒情的な美しさを湛えた作品です。現在ではチェロの重要なレパートリーとなっていますが、このアルバムではアルペジオーネが使用されています。歌曲集《美しき水車小屋の娘》の〈しぼめる花〉を主題とした変奏曲はフルートが名技牲を発揮する作品です。シュトルクとリンデによる新鮮な息吹に溢れる演奏で収録しています。