2019年8月23日発売
前作『アルマゲドン』('16)から3年振り、'17年の初来日公演後にメンバー交代を経た、 ドイツ産エピック・フォーク/ペイガン・メタル・バンド、エクリブリウムの新たな章がここに幕を開ける! ジャンルの壁を突破し、鮮烈なる進化を遂げた彼等のニュー・サウンドに注目せよ! 挑戦は時にリスクを伴う。それは音楽の世界においても言える。ファンとは身勝手なものだ。 安定路線に甘んじていると「マンネリ」と揶揄され、新機軸を打ち出すと「裏切り行為だ!」と断罪される。 しかし、古今東西のあらゆるミュージシャン達は、常にリスクを恐れず挑戦を続けてきた。 その結果、目覚ましい進化を遂げたバンドもいる一方、ファンに受け入れられず、そのまま失速してしまうバンドもいる。 それでも、同じことの繰り返しを良しとしないミュージシャンは後を絶たない。 前作『アルマゲドン』('16)からちょうど3年振り、待望のニュー・アルバムをリリースするドイツのエピック・フォーク/ペイガン・メタル・バンド、 エクリブリウム。彼等もまた、ここにきて大勝負に出た。『レネゲイズ』とタイトルされた、この6枚目のフルレンス・スタジオ新作には、 アッと驚く新機軸が提示されている。果たしてこの進化と新化を、ファンやシーンがどのように受け止めるのか──バンド自身としても興味津々なのではないだろうか。 エクリブリウムの母体となるバンドは、独ミュンヘン近郊の町マイザッハにて、'01年夏にスタートしている。ただ、当初はカヴァー曲中心の学生バンドに過ぎず、 ヘルゲ・シュタンク[Vo]、レネ・ベルティアオメ[G]、アンドレアス・フェルクル[G]、ザンドラ・フェルクル[B]、ヘニング・シュタイン[Ds]、 ミヒャエル・ハイデンライヒ[Key]というラインナップが確定し、本格的に活動を開始したのは、数度のローカルなギグを経てからのことであった。 驚くべきは、当時のメンバー達の年齢。リーダー格のレネは20歳だったが、ヴォーカルのヘルゲは18歳で、他のメンバーも殆どが10代、 ベースのザンドラはまだ15歳だったという。当初、志向していたのはエピックなヴァイキング/ペイガン・メタル。MOONSORROWやFINNTROLLからの影響が強く、 ゲルマン神話や北欧神話、エッダやサーガを下敷きにした歌詞が、全て母国語で書かれていたのも興味深い。 アルバム・デビューは'05年、『TURIS FRATYR』にて。次いで、'08年にはセカンド『SAGAS』を、'10年にはサード『REKREATUR』をリリース。 だがその間、メンバー・チェンジが繰り返され、'14年に第4作『ERDENTEMPEL』が発表される頃には、オリジナル・メンバーで残っているのは、 バンマスのレネだけとなっていた。とはいえ、バンドとしては作を追う毎に成長を遂げ、特に'10年加入の2代目シンガー、ロブセことロベルト・ダーンは、 その剛毅な存在感でもって、ファン層拡大に大きく貢献したと言えよう。 そんな彼等が初来日を果たしたのは、前作『アルマゲドン』に伴うツアーにて、'17年3月のこと。その時点でのバンド・ラインナップは、 ロブセ[Vo]、レネ[G]、ドム・R・クライ[G]、マルクス“マッキ”ライヴァルト[B]、トゥヴァル“ハティ”レファエリ[Ds]だったが、 その後またもやメンバー・チェンジが起こり、今年に入って、ベースがマルティン・ベルゲルに交代し、 さらに鍵盤奏者としてスカディ・ローゼフアストが新加入した。その現ラインナップで制作されたのが、新作『レネゲイズ』ということになる。 先に“エピック・フォーク/ペイガン・メタル・バンド”と書いたが、もはやエクリブリウムをそう呼ぶことは出来ないだろう。 それは『レネゲイズ』を聴けばすぐに分かる。ここには、ジャンルの壁に囚われたかつてのバンドはもういない。より自由度の高い楽曲が、 新たな章の幕開けを高らかに宣言している。中でも、最も衝撃度が高いのが「パス・オブ・デスティニー」だ。何とこの曲には、同郷のラップコア・バンド、 ザ・ブッチャー・シスターズの面々が客演しているのだ。ペイガン・メタルにヒップホップとは意表を衝くどころではないが、決して奇をてらったワケではない。 元々、幅広い音楽的嗜好のレネ達が今、本当にやりたいことをシンプルにやってのけたのが、この『レネゲイズ』なのである。 無論、フォーキーな要素や、エスニックな手法など、お馴染みの曲想も残されてはいる。だが、そこに神話や伝説の世界はもう存在していない。 進化は既に起こっており、もう誰も新生エクリブリウムを止めることなど出来ないのだ…!! 【メンバー】 ロブセ(ヴォーカル) スカー(クリーン・ヴォーカル) レネ(ギター) ドム・R・クライ(ギター) スカディ(シンセ) ハティ(ドラムス)
イアン・ギランのソロ・コンサートの様子を収めたライヴ・アルバムが登場! ディープ・パープルのシンガーであるイアン・ギランが、ドン・エイリーと彼のバンドのメンバー、 現地のオーケストラと共に2016年に行なったモスクワでのライヴを収録。 ディープ・パープルの楽曲を中心にした選曲、パワフルで妖艶な演奏、イアンのエモーショナルな歌唱など、圧巻のパフォーマンスが楽しめる! 1969年にディープ・パープルに加入し、『ディープ・パープル・イン・ロック』(1970年)、『ファイアーボール』(1971年)、 『マシン・ヘッド』(1972年)、1972年の来日公演の様子を収めた『ライヴ・イン・ジャパン』(1972年)など、 黄金期と呼ばれる第2期ディープ・パープルのメンバーとして数々の伝説を残したイアン・ギラン。 バンド脱退後はイアン・ギラン・バンド、ギラン、さらにブラック・サバスにも参加した彼は、 1984年にディープ・パープルを再結成させ、1994年からはスティーヴ・モーズを迎えた体制で精力的に活動を続けている。 その一方で、ディープ・パープルがオフの際に、ソロとしても活動を行なっているイアンは、これまでソロ名義で5枚のスタジオ・アルバムをリリースし、 ライヴも数多く実施。この『コントラクチュアル・オブリゲイション#1:ライヴ・イン・モスクワ』は、 2016年11月に東ヨーロッパ8ヵ国で行なわれたツアーの中の11月15日のモスクワ公演を収めたものである。 イアンのバックを務めるのは同じくディープ・パープルのドン・エイリー(キーボード)と、彼のバンドのメンバーであるサイモン・マクブライド(ギター)、 ローレンス・コトル(ベース)、ジョン・フィニガン(ドラム)の4人。さらに、コンダクターのスティーヴン・ベントリー・クレインの指揮のもと、 各国で地元のオーケストラ隊と共演しているのもこのツアーの大きな見所となっていた。 イアンのソロ・アルバム『TOOLBOX』(1991年)に収録された「ハング・ミー・アウト・トゥ・ドライ」で幕を開けるこのライヴは、 ソロ・アルバムからの曲もプレイはしているものの、大半の曲がディープ・パープルのナンバーとなっているのが大きな特徴だ。 「ストレンジ・ウーマン」「レイジー」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」「ハッシュ」「ブラック・ナイト」などの定番曲に加え、 2000年以降の作品など、新旧を織り交ぜた楽曲がセレクトされている。さらに、かつてドン・エイリーが在籍していたレインボーの 「治療不可(Difficult To Cure)」をカヴァーしているのも興味深い。 どの曲もディープ・パープルと同じようなスタイルで演奏しつつ、ストリングスが楽曲を美しく彩るようなかたちでプレイされており、 パワフルでありながら、気品を感じさせる仕上がりとなっている。コーラス隊として参加しているイアンの娘のグレイス・ギラン、 トリリウム等で知られる女性シンガーのアマンダ・ソマーヴィルらによるハーモニーも印象的で、レイジー・レスターのブルース・ナンバーの 「ユア・ゴナ・ルイン・ミー・ベイビー」のカヴァーではグレースとイアンのデュエットも聴くことができる。 サイモン・マクブライドの技巧派プレイ、ジョン・ロード・スタイルを継承したドンのキーボード、そして、イアンのハリのある歌声も素晴らしく、 本家のディープ・パープルとはひと味違う演奏は聴き応え満点。ディープ・パープルの楽曲、そしてイアン・ギランの新たな魅力を発見できる作品である。 【メンバー】 イアン・ギラン (ヴォーカル) ドン・エイリー (キーボード) サイモン・マクブライド (ギター) ローレンス・コトル (ベース) ジョン・フィニガン (ドラムス) スティーヴン・ベントリー・クレイン (指揮者) グレイス・ギラン (バッキング・ヴォーカル) アマンダ・ソマーヴィル (バッキング・ヴォーカル) ジャキュース・ヴェルハーレン (バッキング・ヴォーカル)
セイクレッド・ライクが23年ぶりのニュー・アルバムをリリース! 昨年マシーン・ヘッドを脱退したデイヴ・マクレインを迎えて製作された5thアルバム 『アウェイクニング』は、名作『The American Way』(90年)を彷彿させる会心の出来。 セイクレッド・ライクが23年ぶり(!)、5枚目となるアルバムをリリースする。アリゾナ出身のセイクレッド・ライクが結成されたのは、85年のこと。 86年に『Draining You of Life』デモが一躍話題になったかと思うと、あっという間にメタル・ブレイドとサイン。 87年にはファースト・アルバム『Ignorance』をリリースと、非常に速いペースでデビューを果たしたバンドである。 ブラック・サバスからMDCと振り幅の広いカバーを披露していたことからもわかるとおり、彼らの音楽的スタイルは懐の深いもの。 デビュー作こそ速いナンバーが大半を占めるが、やがてスピードを抑えることで独自のスタイルを築いていき、『Surf Nicaragua』EP(87年)、 2ndアルバム『The American Way』(90年)では、ベイエリアのバンドらと同様、いわばポスト『Master of Puppets』的スラッシュ・メタルを 武器にシーンの最前線へと躍り出る。冷戦時代、アメリカとソビエトの代理戦争の舞台となっていたニカラグアを取り上げるなど、 その政治的な歌詞も彼らの大きな特徴であった。 だが、有名になるのも早かった分、その栄光も短命であったというのもまた事実。『The American Way』をリリース後、 大手のハリウッド・レコーズと契約するも、この頃すでにスラッシュ・メタルには逆風が吹き荒れていた。グランジやデスメタルという大波に、 スラッシュは飲み込まれる寸前だったのだ。そんな中、ほとんどのスラッシュ・バンドが、生き残りのためにスタイルの変更を余儀なくされていく。 セイクレッド・ライクも例外ではない。93年の『Independent』では、さらにスローダウン、グルーヴ・メタルへと接近。 メタル・ブレイドへの出戻りとなった96年『Heal』でも、残念ながら時代の逆風には逆らえず、00年にバンドは解散してしまう。 そんな彼らも、06年に再結成。12年には『Live at Wacken』という、その名の通りヴァッケン・オープン・エアでのライヴ映像作品をリリース。 ついに「新作を作ろう」という意欲が芽生えてきたのが18年になってから。そうなると仕事の速いのがセイクレッド・ライクだ。 あっという間に23年ぶりの新作、『アウェイクニング』を完成させてしまった。復活作となると、気になるのがそのメンバーだが、心配ご無用。 ベース/ヴォーカルがフィル・リンドなのは当然として、リード・ギターもアルバム皆勤賞のワイリー・アーネット。 そして、ドラムは昨年マシーン・ヘッドを脱退したばかりのデイヴ・マクレイン。デイヴはもともとセイクレッド・ライクのドラマー。 『Independent』、『Heal』の2枚に参加したのち、マシーン・ヘッドに参加するためにバンドを脱退したわけであるから出戻りである。 一方、バンドに新風を吹き込んでいるのが、セカンド・ギタリストのジョーイ・ラジヴィル。 彼は若干22歳。つまり前作リリース時には、まだ生まれてもいないのだ! 古巣のメタル・ブレイドからリリースとなる本作であるが、肝心の内容はというと、「俺たちをずっとサポートしてくれてきたオールドスクール・ファンを 称えるような速くてヘヴィな作品」とフィルが言うとおり、これがセイクレッド・ライクでなくて何であろうという仕上がり。 名作『The American Way』の21世紀版とでも言うべき内容である。「覚醒」というタイトルが示すとおり、 現代社会の問題点を切り取る視点の鋭さも相変わらず。まさにスラッシュ・メタルが、悪魔と初期衝動だけの音楽ではなくなっていった、 あの時代へとタイムスリップしたような気分にさせてくれるアルバムである。百戦錬磨の3人、そしてフィルが「あいつの右手は電動のこぎりだ!」と 絶賛する若いジョーイによる演奏は実にタイト。フィルのヴォーカルが、力強く進化しているのも印象的。 「みんなもこの作品を気に入ってくれるといいな。でも、仮にこれが大失敗になったとしても関係ないよ。 俺たちは自分たちがどんなものを作り上げたのか、はっきりわかっているからね」というフィルの言葉に、その自信のほどが伺える。 【メンバー】 フィル・リンド (ヴォーカル) ワイリー・アーネット (ギター) デイヴ・マクレイン (ベース) ジョーイ・ラジヴィル (ドラムス)