著者 : レン・デイトン
子供たちを守るため、すべてを捨てる決意を胸に、SIS(イギリス秘密情報局)局員、バーナード・サムソンは、何度も危地脱出の手を借りたプロの運び屋「スウェーデン人」と密かに接触。だが運び屋は、ハンマーでめった打ちされた無惨な死体となって発見される。やがてこの事件は、かつてのベルリン国境脱出劇の真相へと、直接つながってゆく…。訳稿じつに1万枚。最高最長のスパイ・ストーリー、いま感動の最終話。
ベルリン国境で命を落とした妻への復讐を誓う義弟ジョージがワルシャワで失踪。彼のものと記されたホルマリン漬けの手首が、SIS(イギリス秘密情報局)局員バーナード・サムソンの元に送られてきた。さらに東に置かれた秘密組織「デリウス」が連絡を絶ち、調査に赴いたサムソンの眼前で、リーダーの牧師が爆死する。-冷戦終結に「希望」はあるのか…?最後の本格スパイ・ストーリー「新々三部作」迫真の第二部登場。
英秘密情報局局員サムソンの妻フィオーナの裏切り、KGB高官の亡命、莫大な公金紛失事件、そして東西の暗闘の渦中で消されたいくつもの生命…。過去十年にわたり発生した、これら一連の事件の黒幕は誰か。深謀を巡らし、仕掛けられた“シンカー作戦”とは。ベルリンの壁崩壊の真相がいま…。-’83年の『ベルリン・ゲーム』以降計七冊。訳文総量8100枚。巨匠レン・デイトンの最高傑作、史上最長のスパイ・ストーリー遂に完結。
自らが所属する英秘密情報局に追われる身となったバーナード・サムソン。最愛の町ベルリンに吹く風もいまは冷たく、裏切りと謀略の世界に棲む彼にとって、心を許せる者は幼馴染みしかいない。一連の謎と混沌を解く鍵を握っているのは、東に寝返ったバーナードの妻フィオーナ。彼女の出現で事態は思わぬ展開を…。-名手デイトンの世界的ベストセラー、新三部作『フック/ライン/シンカー』待望の第2弾。
1940年夏、英国占領を目論むドイツと英国空軍は激しい航空戦を展開していた。その〈英国の戦い〉のさなか、ハリケーン戦闘機を駆る一パイロットの目から空中戦の様相を刻明に描く「アダージオ」をはじめ、ヴェトナムで道に迷った二人のアメリカ兵が辿る奇妙な運命「コーラの飲める基地」、冷徹な撃墜王の姿を通して第一次大戦の空中戦の苛酷な現実を描く「ヴィンターの朝」、戦後再会した大佐と伍長がそれぞれ回想する一台のシャーマン戦車をめぐるエピソード「べつの二人だったに違いない」など、巨匠が13の短篇に戦争の真実を映しだす傑作集。
英秘密情報局局員バーナード・サムソンは陰鬱な日々を送っていた。3年前、妻フィオーナがモスクワに亡命して以降、局の同僚や友人の目は冷たい…。そして発覚した莫大な公金紛失事件。妻はこの一件にからんでいるのか?警告を無視して、サムソンは真相を探る決心をした。ワシントン、ロンドン、ベルリン…そしてカリフォルニアで…。-ベストセラー3部作『ゲーム/セット/マッチ/』に続く新3部作『フック/ライン/シンカー』第1弾。
ベルリンの富裕な銀行家の子として生まれたペーターとパウリのヴィンター兄弟は、若くして第一次世界大戦に従軍する。だが、過酷な戦争が終わった時、彼らが忠誠を誓った皇帝は退位し、第一級の強国だったはずのドイツ帝国は崩壊した。社会主義革命の暴動、大インフレの中、ヒトラーのナチが登場し台頭していく。-20世紀前半のドイツを舞台に、二人とその家族の波瀾の生涯を描く。
父の事業を継いだペーターの妻はユダヤ系アメリカ人だった。ナチに逮捕された彼女の釈放をかちとるべくペーターはアメリカへ渡る。一方パウリは父の庇護を失い、ゲシュタポの弁護士となった。第二次世界大戦が勃発し、ペーターは連合軍情報部の連絡員となって故国に潜入する。-とうとうたる歴史の流れを克明に辿りながら、揺れ動く時代に生きた人びとの姿を重厚に描く長編小説。
第二次世界大戦中、フランスで対ナチ情報網に従事、目覚ましい功績をあげたチャンピオン。アラブと密接な関係を持つ彼を、いま西ドイツが武器密輸容疑で追いはじめた。かつて情報網の一員だったわたしは、英国情報機関の指令を受け、彼の身許調査を開始する。だが、チャンピオンの身辺に送り込まれた女情報部員は失踪、わたしは情報網ゆかりの地ニースへ飛ぶ。そこで見いだしたものは、戦争の英雄たちの30年後の姿と、巧妙に張りめぐらされたチャンピオンの計画だった!巨匠が古き時代のスパイたちの姿を通して、非情な現代情報戦を描く力作。
43日間に及ぶ北極海での調査行を終え、わたしはスコットランドの潜水艦基地に帰還した。情報機関を退き、ロンドンの軍事研究本部に勤務する身には、これも日常の仕事の一つにすぎない。だが昔借りていたフラットに、わたしを装う人物の影が現われ、陰謀好きの右翼政治家が事故に遭うなど、周囲で奇怪な事件が頻発。元上司のドーリッシュやKGBのシュトーク大佐も姿を見せ、背後に謀略の存在を仄めかす。否応なく昔の仕事に引き込まれ、再び厳寒の北極海へ赴くわたしを待ちうけるものは?巨匠が過去を断ち切れぬスパイの姿を哀感をこめて描く。
英国で最も重要な情報機関WOOC(P)。新たにその一員となったわたしは、失踪した化学者をジェイなる人物の手から取り戻す任務を与えられた。ジェイは一連の要人失踪事件を操る黒幕らしい。問題の化学者は、東側に拉致される途中、レバノン山中で奪回。だが依然として、ジェイと彼の組織の動向はつかめなかった。謎を追い、ロンドンの不気味な家、南太平洋の原爆実験島と動き回るわたしは、やがて自分が東側の二重スパイとして追われていることを知る!巨匠が斬新な文体と卓抜なストーリー展開で、スパイ小説の新世紀を拓いた鮮烈なデビュー作。
1979年5月、英国首相のもとに1通の文書がとどけられた。そこには1枚の映画広告文が添えられており、コピーには“カイゼローダ塩坑の決定的秘密とはなにか?”と大書されていた。一見して、首相は事の重大さに気づき、M16部長のシドニー・ライデン卿と会見した。塩坑の秘密が明るみにでると、大英帝国の威信は失墜し、ひいては自由主義世界をゆるがすことにもなりかねないのだ。アメリカにさえ知られてはならない。ライデン卿の密命をうけて、ボイド・スチュアートがロサンジェルスへ乗り込んだ。白日のもとにさらしてはならない秘密なのだ。〔XPD(Expedient Demise)とは、「好都合な死亡事故」という意味である〕
はたして“カイゼローダ塩坑の秘密”とはなにか?ときをおなじくして、ソヴェトKGB、米国家安全保障局もイギリスの動きを察知し、行動を起こしていた。スチュアートがおぼろげに、その秘密の正体を知ったとき、事態はすでに急をつげていた。アメリカもソ連も目前に迫っている。どうやらチャーチルとヒットラーの関係に、重大な謎が隠されているらしい。スチュアートはライデン卿に確認を求めるが、卿は言を左右して煮えきらない態度の終始している。おそるべきことに、イギリスは秘密を知ったスチュアートをXPDしようとしたのだった。現代史の裏にひそむ大陰謀を描くデイトン会心の長編野心作!〔XPD(Expedient Demise)とは、「好都合な死亡事故」という意味である。〕
英国の情報機関に属するわたしは、CIAのマン少佐と共にサハラ砂漠に派遣された。ソ連の科学者ベークフ教授を亡命させるためだ。教授は西側の科学情報漏洩の秘密を握っていると見られていた。武装ヘリの攻撃をかいくぐり、熱砂の亡命作戦は成功。意外な漏洩ルートの存在が浮かびあがる!巨匠がスパイ衛星時代に生きる現場工作員の姿を鮮烈に描く。
“もし1941年にヒトラーが英国を制圧していたら歴史はどう変わっていたか?”鉤十字に全土が塗りつぶされた占領下の英国。国王ジョージ6世はロンドン塔に幽閉され、国民は圧政に喘いでいた。治安維持の任にあたるナチ親衛隊は強大な権力を持ち、ロンドン警視庁もその支配を受けている。その中で同殺人課のアーチャー警視に委ねられた事件は、闇物資の取引きをめぐる平凡な殺人と見えた。だが、ベルリンから野心的な親衛隊将校フートが着任、捜査は意外な展開を始める!巨匠が綿密な調査を基に、もう一つの歴史の中で展開するスパイ戦を描く。
片腕の容疑者を追うアーチャーの前には迷宮のような世界が広がっていた。新興勢力たるナチ親衛隊とそれを快く思わないドイツ国防軍、そして両者と交渉して国王奪還を図る抗独グループ。その三者が怪しげな動きを見せていたのだ。どうやら殺人事件の背後にはドイツの新兵器開発計画が絡んでいるらしい。捜査を続けるアーチャーはやがて歴史を揺るがす秘密作戦に捲き込まれていく!本書は占領下の英国のリアルな描写が話題を呼び、同国でベストセラーの上位を何週間も占め続けた。スパイ小説と戦争冒険小説の魅力をあわせ持った巨匠の異色作!