著者 : 中村文則
著者2年ぶりにして新たなる代表作、誕生! <つまり言いかえれば、これはテロの書だ。誰も読んではーー> 3ヶ月前、「男」は仕事辞め、女性と別れ、世界中から失われた蛇信仰のあるこの地へ来たーー平家が落ち延びたといわれるこの土地に。そして「この文章」を書いている。誰も読まない「この手記」を。 自分が人ではないと思っていた幼少時代の奇妙な記憶、有志によるQ山の毒蛇狩り、白蛇を祀る神社とその宮司、蛇を求める女、ある議員の死とそれを調べるQ署の刑事、ロー・Kというビジネスマン、そして......Apep。 いま男は、ある目的のために“1人”で動き出す。 「現在や未来で、過去は変えられるんだよ。……起こったことは変えられないけど、その後の時間をどう生きるかで、過去の印象や意味合いは変えられる」 (本文より) 世界も注目する作家・中村文則が贈る傑作! 【著者略歴】 中村文則(なかむら・ふみのり) 1977年愛知県生まれ。2002年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。04年『遮光』で野間文芸新人賞、05年『土の中の子供』で芥川賞、10年『掏摸』で大江健三郎賞を受賞。12年『掏摸』の英訳が米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の年間ベスト10小説に選ばれる。14年米国のDavid L.Goodis賞を受賞。16年『私の消滅』でドゥマゴ文学賞、20年中日文化賞、24年『列』で野間文芸賞を受賞。他の著書に『何もかも憂鬱な夜に』『去年 の冬、きみと別れ』『教団X』『R帝国』など。エッセイ集に『自由思考』、対談集に『自由対談』がある。
男はいつの間にか、奇妙な列に並んでいた。 先が見えず、最後尾も見えない。そして誰もが、自分がなぜ並んでいるのかわからない。 男は、ある動物の研究者のはずだった。 現代に生きる人間の姿を、深く、深く見通すーー。 競い合い、比べ合う社会の中で、私達はどう生きればいいのか。 この奇妙な列から、出ることはできるのだろうか。 ページをめくる手が徐々に止まらなくなる、最高傑作の呼び声も高い、著者渾身の一作。
占いを信じていない占い師であり、違法カジノのディーラーでもある僕に舞い込んだ、ある組織からの指令。それは冷酷な資産家の顧問占い師となることだった──。国内外から新作を待望される著者が描き切った、理不尽を超えるための強き光。新たな代表作、誕生!
「一週間後、君が生きている確率は4%だ」 突如始まった逃亡の日々。 男は、潜伏キリシタンの末裔に育てられた。 第二次大戦下、”熱狂””悪魔の楽器”と呼ばれ、ある作戦を不穏な成功に導いたとされる美しきトランペット。あらゆる理不尽が交錯する中、それを隠し持ち逃亡する男にはしかし、ある女性と交わした「約束」があったーー。 キリシタン迫害から第二次世界大戦、そして現代を貫く大いなる「意志」。中村文学の到達点。 信仰、戦争、愛ーー。 この小説には、 その全てが書かれている。 いつか書くと決めていた。--中村文則
「先生に、私の全てを知ってもらいたいのです。私の内面に入れますか」心療内科を訪れた美しい女性、ゆかり。男は彼女の記憶に奇妙に欠けた部分があることに気付き、その原因を追い始めるー。傷つき、損なわれたものを元に戻したいと思うことは冒涜なのか。Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した傑作長編小説。
連続通り魔殺人事件の容疑者"コートの男"を追う所轄の刑事・中島と捜査一課の女刑事・小橋。しかし、それはさらなる悲劇の序章に過ぎなかった。 世界の片隅で求め合う男と女。極限の愛が狂気に変わる時、「人間」を超えた殺人者の終わりなき〈復讐〉が始まるーー。 神にも愛にも見捨てられた人間を、人は救うことができるのか。 〈純文学×警察小説〉かつてない衝撃!圧倒的人間ドラマ!待望の文庫化。 ■「あなたが消えた夜に 番外編」のオマケ掌編収録。
【文学/日本文学小説】アパートの一室で見つかったある 緊縛師 の死体。重要な参考人・桐田麻衣子は、刑事・富樫が惹かれている女性だった。絡まりあう 謎 と 嘘 。この世界を生きる意味──。世界で絶賛される中村文学の到達点。
毎夜、午前一時にバーに現われる男。書かれなかったはずの手紙を、たったひとり受け留め続ける郵便局員。植物になって生き直したいと願う青年ーーこれ以上なく愛おしき人々の、めくるめく毎日が連鎖していく。『教団X』『去年の冬、きみと別れ』『R帝国』など、話題作をぞくぞく放ち、世界中で翻訳される作家の、狂気とユーモア、愉悦、すべてが詰め込まれた魔性の50ストーリーズ。
「一度の過ちもせずに、君は人生を終えられると思う?」女の後をつける男、罪の快楽、苦しみを交換する人々、妖怪の村に迷い込んだ男、首つりロープのたれる部屋で飛び跳ねる三つのボール、無情な決断を迫られる軍人、小説のために、身近な女性の死を完全に忘れ原稿を書き上げてしまった作家ー。いま世界中で翻訳される作家の、多彩な魅力が溢れ出す13の「生」の物語。
ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を殺した罪で死刑判決を受けていた。だが、動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。この異様さは何なのか?それは本当に殺人だったのか?「僕」が真相に辿り着けないのは必然だった。なぜなら、この事件は実はー。話題騒然のベストセラー、遂に文庫化!
お前は運命を信じるか? --組織によって選ばれた「社会的要人」の弱みを人工的に作る女、ユリカ。ある日、彼女は出会ってしまった、最悪の男に。世界中で翻訳・絶賛されたベストセラー『掏摸(スリ)』の兄妹編!
胎児のように手足を丸め横たわる全裸の女。周囲には赤、白、黄、色鮮やかな無数の折鶴が螺旋を描くーー。都内で発生した一家惨殺事件。現場は密室。唯一生き残った少女は、睡眠薬で昏睡状態だった。事件は迷宮入りし「折鶴事件」と呼ばれるようになる。時を経て成長した遺児が深層を口にするとき、深く沈められていたはずの狂気が人を闇に引き摺り込む。善悪が混濁する衝撃の長編。
「この作品が自分は一番嫌いだ」(奥泉光選「道化の華」)、「不思議な明るさに包まれた怯えの百面相」(堀江敏幸選「富嶽百景」)、「『男性というものの秘密』を知っている作家」(松浦寿輝選「彼は昔の彼ならず」)--七人の男性作家がそれぞれの視点で選ぶ、他に類を見ない太宰短篇選集。 「この作品が自分は一番嫌いだ」(奥泉光選「道化の華」)、 「不思議な明るさに包まれた怯えの百面相」(堀江敏幸選「富嶽百景」)、 「『男性というものの秘密』を知っている作家」(松浦寿輝選「彼は昔の彼ならず」)-- 七人の男性作家がそれぞれの視点で選ぶ、他に類を見ない太宰短篇選集。 道化の華 奥泉 光・選 畜犬談 佐伯一麦・選 散華 高橋源一郎・選 渡り鳥 中村文則・選 富嶽百景 堀江敏幸・選 饗応夫人 町田 康・選 彼は昔の彼ならず 松浦寿輝・選 年譜 選者略歴
謎のカルト教団と革命の予感。自分の元から去った女性は、公安から身を隠すオカルト教団の中へ消えた。絶対的な悪の教祖と4人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国を根幹から揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、光とは何か。著者最長にして圧倒的最高傑作。
「一度の過ちもせずに、君は人生を終えられると思う?」 風俗嬢の後をつける男、罪の快楽、苦しみを交換する人々、妖怪の村に迷い込んだ男、決断を迫られる軍人、彼女の死を忘れ(忘れに傍点)小説を書き上げた作家…… ベストセラー『掏摸(ルビ:スリ)』など世界中で翻訳。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル年間ベスト10小説に続き、米文学賞、デイビッド・グティス賞も受賞 いま世界が注目する作家が放つ13の「生」の物語!!
邪の家系を断ちきり、少女を守るために。少年は父の殺害を決意する。大人になった彼は、顔を変え、他人の身分を手に入れて、再び動き出す。すべては彼女の幸せだけを願って。同じ頃街ではテロ組織による連続殺人事件が発生していた。そして彼の前に過去の事件を追う刑事が現れる。本質的な悪、その連鎖とは。 祝!日本人初「デイヴィッド・グディス賞」受賞! 「The Wall Street Journal」2013年ミステリーベスト10選出! いま最もアメリカで注目されている日本人作家、中村文則の注目作。 邪の家系を断ちきり、少女を守るために。少年は父の殺害を決意する。大人になった彼は、顔を変え、他人の身分を手に入れて、再び動き出す。すべては彼女の幸せだけを願って。同じ頃街ではテロ組織による連続殺人事件が発生していた。そして彼の前に過去の事件を追う刑事が現れる。本質的な悪、その連鎖とは。 米国「The Wall Street Journal」2013ミステリーベスト10にも選出された本作は、米国ホラー作家協会( HWA)の「ブラム・ストーカー賞」にも初ノミネートされた注目作。 著者の中村文則は、米国でノワール小説の分野に貢献した作家に贈られる「デイヴィッド・グディス賞」も受賞し、日本国内外で評価が集まっている。
東京を仕事場にする天才スリ師。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎ーかつて仕事をともにした闇社会に生きる男。木崎は彼に、こう囁いた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。逃げれば、あの女と子供を殺す」運命とはなにか、他人の人生を支配するとはどういうことなのか。そして、社会から外れた人々の切なる祈りとは…。大江健三郎賞を受賞し、各国で翻訳されたベストセラーが文庫化。