著者 : 佐藤賢一
有馬喜兵衛、吉岡一門、宍戸某、そして佐々木小次郎。さらにはーー。 最後の難敵との死闘を終えた宮本武蔵は吐き捨てた。今日まで剣に生きてきて、兵法というほどのものではないな。ただのチャンバラにすぎん……。 直木賞作家の手で鮮やかに蘇る、数多の強敵との名勝負! 「剣聖」とも称される二刀流の達人が、激闘の果てに辿り着いた境地とは?
サン=テグジュペリは、作家であり、飛行士だった。ナチスドイツによってパリが占領され、アメリカへ亡命した彼は、ドゥ・ゴール派にもヴィシー派にも与しなかったため、亡命フランス人たちの間で批判を浴びる。そんな葛藤の時期に描かれたのが、「小さな王子」(邦題「星の王子さま」)だった。そして、念願の戦線復帰が叶い、再び飛行機に乗ることに。武器は積まず、自分が傷つけられる危険だけ背負いながら戦う偵察飛行を繰り返すがー空への憧憬、友情、愛、時代に翻弄される苦悩。サン=テグジュペリの半生を鮮烈に描く傑作長編小説。
鎌倉時代中期。世上は鎌倉大震災を皮切りに天変地異に見舞われ、疫病が蔓延し、飢饉に苦しめられていた。その原因を仏典から解き明かそうとした僧侶・日蓮は、世の為政者が悪法に染まっているため、民を救うはずの仏や善神がこの国を去ってしまったからだと結論づける。至高の経典である「法華経」に帰依しなければ、さらなる厄災が起こるー日蓮は、鋭い舌鋒で他宗に法論を挑んでいくが、それは同時に、浄土宗や禅宗を重用する幕府の執権、北条氏を敵に回すことでもあった。疫病、星の乱れ、日蝕月蝕、暴風雨、日照りー「薬師経」に予言された七難のうち、未だ起こっていないのは「他国侵略」と「内乱」のみ。日蓮の思いは天に届くのか。苦しむ人々を救うため権力者たちと戦い続けたその半生を描く感動作。
諸国との戦争に破竹の勢いで勝利し続け、ヨーロッパをほぼ手に入れたナポレオン。オーストリア皇女と再婚して跡継ぎにも恵まれ、絶頂期を迎えるが、酷寒の地・ロシアへの遠征に失敗し、対フランス同盟軍に追い詰められてゆく。1814年、ついに退位を余儀なくされ、地中海に浮かぶエルバ島への追放が決まるがー。「まだ私は終わりではない」。再起を懸け、男は最後の戦いに挑む!英雄小説の決定版!最終巻「転落篇」。
イタリア遠征で数々の勝利を挙げ、次に大軍を率いてエジプトへ向かったナポレオン。だが、諸外国による対フランス大同盟で、フランス本国が危機に陥る。クー・デタで権力を手に入れたナポレオンは、1804年、34歳で初代フランス皇帝の座に。若き将官が皇帝まで上り詰め、ヨーロッパの覇権争いに乗り出す第2巻「野望篇」。
1769年8月15日、コルシカ島の小貴族の次男として生まれたナポレオン。一代でフランス皇帝に上り詰めた男は、いかにして「英雄」となったのか?1793年のトゥーロン包囲戦、1795年のヴァンデミエールの蜂起鎮圧で一躍名をあげ、イタリア方面軍司令官として数々の戦争に歴史的勝利を収めるまでの躍進期を描いた、第1巻「台頭篇」。
時は紀元前三世紀。広大な版図を誇ったローマ帝国の歴史で、史上最大の敵とされた男がいた。カルタゴの雷神・バルにあやかりつけられた名はハンニバル。戦を究めた稀代の猛将軍・ハンニバルが今、復讐の名の下にアルプスを超えた。予測不可能な強敵を前に、ローマの名家出身の主人公・スキピオは、愛する家族と祖国を守り抜けるのか?
フランス陸軍士官のジュール・ブリュネは軍事顧問として来日し、伝習隊の指導にあたっていた。大政奉還が行われ幕府の終焉とともにブリュネらも解任されるが、日本人の士道に感じ入った彼は母国の方針に反旗を翻し、土方歳三らとともに戊辰戦争に身を投じる。「ラストサムライ」のモデルを描いた感動大作。
ダントン、デムーランらの処刑後、公安委員会が分裂。逮捕されたロベスピエールが、ついに断頭台に──。革命は、この国を変えられたのか。歴史巨編、ついに完結! 毎日出版文化賞特別賞受賞作。(解説/中条省平)
エベール派に続き、デムーランやダントンら旧くからの盟友も、断頭台に送ろうとするロベスピエール。夫デムーランの助命を乞うリュシルに、ロベスピエールが口にした想いとは……。(解説/重里徹也)
革命政府の力は徳であり、かつまた恐怖なのだとして、恐怖政治を推し進めるロベスピエール率いるジャコバン派。対するエベール派は、恐怖政治の中核たる公安委員会を倒そうと蜂起を試みるが…。(解説/細谷正充)
ジャコバン派の精神的支柱だったマラが暗殺された。新たな政治指導者となることを求められたロベスピエールは公安委員会に加入。恐怖政治が敷かれ、王妃やジロンド派が次々に処刑されてゆく。(解説/西上心太)
国内外の危機に無為無策のジロンド派を排除すべく、全面攻勢をかけるロベスピエール率いるジャコバン派。エベールらパリの庶民もみたび蜂起し、国民公会ですべての勢力が激突する。(解説/末國善己)
ルイ16世の処刑後も出口の見えない不況に荒れる民衆。革命戦争では対フランス大同盟が築かれ、国内ではヴァンデ県での革命反対の蜂起を皮切りに内乱が拡大。内憂外患のフランスの行方は。(解説/東えりか)
1792年8月の蜂起で王権が停止され、国王一家はタンプル塔に幽閉された。パリの民衆は反革命の容疑者たちを次々に虐殺。街に暴力の嵐が吹き荒れ、立法議会に代わって国民公会が開幕すると、新人議員サン・ジュストの演説をきっかけに国王裁判が開かれることに。議員たちのさまざまな思惑が交錯する中、ついにルイ16世の死刑が確定しー。フランス王政の最期を描く、血塗られた第12巻。
諸外国との戦争に苦戦する政権に不満を募らせるパリ市民。ダントン、デムーランらの煽動で、1792年8月10日、革命の行き詰まりを打ち破るべく、王の廃位を掲げて蜂起する。歴史長編佳境へ!(解説/野崎 歓)
1792年。捲土重来を期するルイ16世は、開戦派のジロンド派を中心とした内閣改造を実施。フランスは外国との戦争を開始するが──。フランス革命の全貌を描くシリーズ、新章突入!(解説/金原瑞人)
1852年、マシュー・カルブレイス・ペリーは東インド艦隊司令官に就任した。太平洋航路開設に向けた日本の開国と国交樹立が任務である。世界における祖国の優位性確保のため大任を引き受けたペリーは、翌年エド湾の西側にあるウラガという町の沖に船を進めた。だが、ジャパン政府との交渉を優位に進めたい彼の前に、開国を迫る世界各国と幕府高官が立ちはだかった…。世界的な視点で幕末史を塗り替える、著者渾身の歴史小説。