著者 : 千野隆司
札差羽黒屋が扱う禄米を奪った一味が、尋問の中で共謀者として、勝田昌三郎の名を挙げた。さらに昌三郎は、殺しの容疑までかけられる。勝田家は五月女家と最も近い血縁関係になるため、善太郎にとっても他人事ではない。疑いを晴らすべく奔走していると、実家の大黒屋の米倉庫が付け火に遭ってしまう。一方、幼馴染のお稲との間にも跡継ぎ問題を抱えており…。次々に勃発する問題に立ち向かう、大注目新シリーズ第2弾。
十月は、将軍家直参の旗本や御家人に与えられる禄米の季節である。五月女家の当主の善太郎は手伝いをするために、実家の大黒屋が営む札差羽黒屋にいたが、気がかりなことがあった。密かに想い合っていた羽前屋のお稲の姿を見かけないのだ。妹を問い詰めると思いがけない出来事が発覚する。さらに、幕府から預かった大切な禄米が何者かに奪われてしまいー。窮地に立たされた善太郎が選んだ道とは!?待望の新シリーズ始動!
神田小柳町の裏店で暮らす、廻り髪結の姉・お松と妹・おれん。おれんは両替屋の手代になったばかりの弥吉から所帯を持とうと告げられる。だがある日、誤ってやくざ者を殺してしまった弥吉は、遠島を申しつけられる。哀しみに暮れながらも、帰りを待つと誓うおれん。しかし、なぜか姉妹にあやしい影がつきまといー。「おまえらは見なくていいものを見てしまった」そこへ助けに入ってきたのは、同じ髪結の郷太だった…。髪結姉妹の波瀾万丈な恋模様を描く人情時代小説
海賊船は正紀らの活躍で退治したが、一味の幹部と悪徳商人は捕縛の手を逃れ、米俵四千俵とともに行方をくらましていた。賊の背後では大藩の黒幕が糸を引いている。黒幕は、ここで手に入れた金を、府中藩の世子問題に利用し、勢力の拡大を図っていた。さらには府中藩領内の行方郡三村では、再び一揆が起きようとしていた。待望のシリーズ第十弾!
藩主井上正国の奏者番就任を祝って、狩野派の掛軸が贈られてきた。ところが、目利きの和によれば、掛軸は真っ赤な偽物。贋作の絵師を捜していくと、とんでもない大物が、とんでもない悪巧みをしていることが明らかになった。放っておけば高岡藩とて、無傷では済まない。一万石を守るため、正紀は奮闘する!シリーズ第九弾!書き下ろし長編時代小説。
大身旗本同士の婚姻の祝酒を将軍家に献上することになった。武蔵屋をふくむ酒問屋が鎬を削る中、手代卯吉が人気酒に育てた「稲飛」も有力候補に。だが海難事故で貴重な百樽を失い、在庫は払底、選ばれても期日までに献上の百樽を揃えるのは困難至極。店の名誉を守る手立てはあるのか!?
血と汗を流して江戸への廻米を果たしたものの、米価高騰は続いている。その理由は廻米がさらなる値上げを狙って隠匿されてしまったからだ。この囲米をしているのが、こともあろうか、老中のひとりだとの疑いが濃くなった。廻米に尽力した家臣の死に報いるためにも、囲米は断じて許せない。一万石が老中に闘いを挑む!待望のシリーズ第八弾!
打壊しの危機を乗り越えた角次郎は、長く大黒屋を支える番頭の直吉に暖簾分けをゆるす。互いへの恋心を抑えきれない善太郎とお稲は、次こそ最後の逢瀬と、ある場所へ足を向ける…。そんな中、金貸しが何者かに殺され、金を奪われる事件が発生。生き残った小僧の証言等から、直吉が捕らえられてしまった!事件の裏に張り巡らされた罠をはね返し、直吉の潔白を証明すべく、一同は力を合わせ奔送する。急展開の新章、完結!
武蔵屋分家の小売り酒屋を任されている次兄次郎兵衛は見栄っ張り。旗本御用達になれる甘言に乗り、つぶれかけた酒屋の借金の保証人になってしまった。月々ふくらむ法外な利息。妾腹三男の手代卯吉は、新酒「稲飛」の売り出しに奔走していたが、その支払金を次郎兵衛の借金に充てることになり!?
江戸の米価高騰を解消すべく、老中・松平定信が廻米の触を出した。だが、不作、凶作のなか余分な米など誰も持ってはいない。定信は触を確実に実行させるため、各大名家に分担を課すことにした。高岡藩に課せられた分担米は二百俵。わずかな伝手を頼って正紀は奔走するのだが…。待望のシリーズ第七弾!
悪徳政商を成敗し、順調に周囲の信用を得てゆく大黒屋の角次郎。格式高い関東米穀三組問屋にも誘われ、大店の次男を手代見習いとして預かることになった。だが、旱魃による凶作は続く。そんな中、突然、大黒屋と信頼関係にあった館林藩領二つの村から来年の卸先の変更を言い渡され、卸されるはずの米俵半数と共に村名主らが行方不明となった。凶作米高で世間に不穏な空気が満ちる中、何者かの暗躍を感じ取った角次郎は…!?
奉公してから十五年、ようやく自分の店を持つことになった料理人の伴次。店を持ったら女手が必要になる。そろそろ女房を持ってもいいのではーその時、伴次に苦い思いが湧いた。七年前、一緒になるという約束を破り、他の男と所帯を持ったおつな。だが男に騙され、女郎屋に売られたあげく体をこわして死んだのだ…。己の腕を頼りに懸命に生きる職人の姿を描いた傑作時代小説集。
上方の高級酒下り酒を扱う武蔵屋は、霊岸島の大店だ。だが先代亡きあと店は傾いていた。先代の妾腹三男の卯吉は、主にはなれない。主を継いだ長兄や義母に冷たくされながらも、手代の仕事に奔走する。江戸っ子が待ち望む灘桜の新酒千樽が武蔵屋の命綱。だが春の嵐のあと、船が行方不明に!
浄心寺改築で己の懐を肥やし、なおかつ正紀、正広を世子の座から追い落とそうと、正棠一派が悪巧みを進めていた。正棠一派は、権力を笠に着た道理の通らぬ要求を斥けられると、今度は実力行使に出たのだった。正紀らは正棠一派の刺客を迎え撃つ。ぶつかる刃と刃!正紀らは無事に浄心寺改築をなし遂げられるのか!?待望のシリーズ第五弾!
浜松藩井上家本家が、菩提寺である浄心寺改築のため、分家である高岡藩井上家、下妻藩井上家にそれぞれ金二百両の供出を言い渡した。困惑する正紀と正広だが、本家の意向に逆らうわけにはいかない。またもや訪れたこの危機をどう乗り切るのか!?待望のシリーズ第四弾!
札差屋を手に入れ、ますます商いに精を出す角次郎と大黒屋一同に、かつての敵、佐柄木屋が恩赦で江戸に戻ったという報せが入る。同じ頃、大目付・中川より、政商千種屋の企みがちらつく事件の調査を命じられた角次郎。息子で武士の善太郎と共に警戒を強める中、隙をつかれ舅の善兵衛が暴漢に襲われてしまう。背後には四人の男の影。一家は団結して仇討ちを誓うが、次の刃は意外な者へと向けられ…。「大目付御用」完結巻!
廻船問屋戸川屋から借金百二十七両の返済を求める書状が届いた。戸川屋のひとり娘は、元国家老園田頼母の妻女だ。頼母は正紀暗殺を企てたとして腹をつめている。復讐のにおいがするが、新江戸家老佐名木源三郎の調べでは、借金は高岡藩としてなした正式なものであるという。進退窮まった正紀は、ついに商人に屈してしまうのか!?待望のシリーズ第三弾!