著者 : 吉川トリコ
「アーティストであって、アイドルじゃない」 5人組ダンスグループGAME BREAKERSに所属する成瀬愛生(通称:アッキー)はそんなプライドを持っている。 しかしファンから聞こえてくる声は、イケメンであるとか、メンバー同士のカップリングを楽しむものとか。 ある日、メンバーの灰人が噂レベルのゴシップで炎上すると、より一層、推されることの現実と理想のちがいに悩むことに。 そんな折、自宅近くのコンビニに勤める青木マユと知り合い、素のまま付き合える彼女に徐々に惹かれていき…。
どれだけの秘密が、この家族には眠っているんだろうーー 「好きな人とずっといっしょにいるために」、あのとき、あの人は何をした? 2029年から1979年まで10年刻みでさかのぼりながら明かされる、ある家族たちをとりまく真実。 2029年、韓国からきた兄の家出、おばあちゃんのお通夜で通常運転のママ。2019年、クルーズ船で一緒になった夫婦と年若の青年。2009年、クリスマスの夜のダイヤの指輪、1999年、ノストラダムス後も終わらない世界で「ママは、パパが死ぬのを待ってたんじゃないか」と言った幼なじみ。1989年、親友からその亭主の死を知らせる電話。1979年、おなかの中の三ヶ月になる命。 生き方、愛、家族をめぐる、「ふつう」が揺らぐ逆クロニクル・サスペンス。 〈世相をえぐり取る全6章〉 1 二〇二九年のごみ屋敷 2 二〇一九年のクルーズ船 3 二〇〇九年のロシアンルーレット 4 一九九九年の海の家 5 一九八九年のお葬式 6 一九七九年の子どもたち 〈ある家族たちの軌跡をたどる全6章〉 1 二〇二九年のごみ屋敷 ーー二十三歳上の兄は、十八歳のとき日本国籍を選んで韓国からやってきた。おばあちゃんのお通夜でも、ママは通常通り。うすうす気づいていた。うちの家族はふつうとはちがう。 2 二〇一九年のクルーズ船 ーークルーズ船で一緒になった、私たちの子どもと言っていいぐらいの年齢の夫婦。新婚旅行だというのに、さらにもうひとまわりもふたまわりも年若の青年が同行していた。 3 二〇〇九年のロシアンルーレット ーーうちのおねえちゃんは変わってる。クリスマスの夜遅くに帰ってきて、ダイヤモンドの指輪を餃子で包んで食べようとするぐらい。そして私もおねえちゃんも、ママの掌の上で踊らされている。 4 一九九九年の海の家 ーーノストラダムスなんてあるわけないって思ってはいたけど、ほんとに世界は終わらなかった。海の家でバイト中、幼なじみの彼女は「ママは、パパが死ぬのを待ってたんじゃないか」と言った。 5 一九八九年のお葬式 ーー「あの人、死んだって」。親友から、その亭主の死を知らせる電話があったのは日付の変わるころだった。職場で出会い、結婚も出産も同じ年の親友。姉妹のようになんでも分けあった。 6 一九七九年の子どもたち ーーシャネルが死んだ年に、私たちは出会った。彼女が結婚するなら私も結婚するし、彼女が子どもを産むなら私も子どもを産む。そう決まっているから、そうしなければならないことだった。
本作はエモい。爆エモい。うそ偽りのないエモさだ。 なぜならここには、ちいさくて、だいじな、 わたしたちひとりひとりのこころの断面が、 みっちりと詰め込まれているから。 ーー少年アヤ氏(「web asta*」2022年8月8日より) 本作の根底にあるのは、やりたいことはやっちまえというエネルギーだ ーーブレイディみかこ氏(「web asta*」2022年8月8日より) 誰もとりこぼすまいとミラーボールで物語を照らす 吉川トリコが、私にとってのプロムクィーンだ ーー柚木麻子氏 家族仲がしっくりいかず、生き方に迷う主婦。 16歳になる直前まで自分が在日韓国人だと知らなかった姉妹。 ゲイであることに葛藤する男子高生。 血の繋がった子どもを持てなかった母親。 卒業式の日にプロムを開催すべく奮闘するモーレツ女子高生たちーー ままならない日常に悩み惑う人たちの踏み出す一歩が、 あなたの背中をそっと押してくれる。 『余命一年、男をかう』で大注目の著者が贈る、 明日もがんばる元気をくれる連作短編集。
幼いころからお金を貯めることが趣味だった片倉唯、40歳。ただで受けられるからと受けたがん検診で、かなり進行した子宮がんを宣告される。医師は早めの手術を勧めるも、唯はどこかほっとしていたーー「これでやっと死ねる」。 趣味とはいえ、節約に節約を重ねる生活をもうしなくてもいい。好きなことをやってやるんだ! と。病院の会計まちをしていた唯の目の前にピンク頭の、どこからどうみてもホストである男が現れ、突然話しかけてきた。 「あのさ、おねーさん、いきなりで悪いんだけど、お金持ってない?」。 この日から、唯とこのピンク頭との奇妙な関係が始まるーー。
ばらが好き。でも、ゆりはもーっと好き。まさか、わたくしの姿がお見えになるんですの? 2018年12月28日、ひとりのパリ旅行者が知らない女から声を掛けられる。女の名は、ランバル公妃。フランス革命で虐殺された、マリー・アントワネットの女官長だった。王妃への強い思いゆえ亡霊となった彼女は語り始める。王妃を愛し、王妃に愛された女人たちのことを──。世界中から嫌われた王妃を過剰な愛で綴る、究極の百合文学!
泣かないで。こんなことぐらいであなたの価値は下がらない。 アイドルグループ「YO!YO!ファーム」の一期生・斉藤いとに届いた、突然の母親の訃報。現役アイドルの母親が一世を風靡したポルノ女優・赤井霧子だった、というニュースは瞬く間に広がり、いとは一躍時の人になる。そんな中、著名な映画監督から、霧子の半生を追うドキュメンタリー映画の案内人に指名されてーー。 「マリー・アントワネットの日記」シリーズで全女性の共感をさらった著者が、世界の不条理とたたかうすべての人に贈る、真摯な希望の物語。 ◆吉川トリコ 1977年静岡県生まれ、名古屋在住。2004年、「ねむりひめ」で女による女のためのR-18文学賞大賞・読者賞を受賞。著書に、映画化された『グッ モーエビアン!』ほか、『しゃぼん』『ミドリのミ』『ずっと名古屋』『光の庭』『少女病』「マリー・アントワネットの日記」シリーズなどがある。
母親と呼ばれることを厭うエキセントリックな少女小説家の母・織子と、父親の違う三人の娘。全く性格の違う4人に共通するのは「母親のようにはなりたくない」ということ。自分の中の「少女」と大人の狭間で葛藤する女性達を瑞々しく描き出した傑作長編。
このプリンセス、他人とは思えない! ハーイ、あたし、マリー・アントワネット。もうすぐ政略結婚する予定www 1770年 1 月 1 日、未来のフランス王妃は日記を綴り始めた。オーストリアを離れても嫁ぎ先へ連れてゆける唯一の友として。冷淡な夫、厳格な教育係、衆人環視の初夜……。サービス精神旺盛なアントワネットにもフランスはアウェイすぎた──。時代も国籍も身分も違う彼女に共感が止まらない、衝撃的な日記小説!
世界に嫌われた王妃を、愛さずにはいられない。え、あたしがフランス王妃とかwww ウケるってかんじなんですけどー。 1774年 5 月10日、ルイ15世が崩御し、夫・ルイ16世が国王に。だが、アントワネットへの世間の風当たりは強まる一方だった。取り巻きたちとの夜遊び、膨大な服飾費、授からない子ども、根も葉もない噂。そして、本当の恋。だが革命が起こり、すべては終わる──。王妃の最期の言葉に、涙があふれるクライマックス!
ナゴヤドームで再会する父と娘、SKE48に憧れてストリートで踊る少女、運転免許試験場でサンタクロースと出会った女性、実直な書店員の一日ー名古屋にある16の区を舞台に悲喜こもごものドラマを描く「名古屋16話」、東海・中部の都市が舞台の「8の旅」を収録した短編集。
重田ミドリ、小学3年生。今一緒に住んでいるのは父の広とその恋人、源三。母親の貴美子とは別居状態だ。夫の突然の心変わりがなかなか受け入れられず、離婚話もなかなか進まない。 ミドリも楽しそうに過ごしてはいるが、色々と抱えているものがあってーー。 ”ふつう”に囚われていきる私たち。 ”ふつう”が何か、”ふつう”でなくてはならないのか。 人間関係の渦に巻き込まれ、くたびれてしまったあなたへーー。 ミドリのミ ぼくの王子さま 日曜日はヴィレッジヴァンガードで ビロードママ ミドリのキ セルフポートレイト
人生をぶらぶら楽しく生きたいと思っているるり子は、音大卒の30代女子。恋人の宗介からは「ぶらこ」と呼ばれ、2年前から同居している。怠惰でゆるやかな幸福に満ちた二人の生活。だが、自宅でピアノを教えるぶらこは、最近、生徒の一人、暁生のことが気になって仕方ない。宗介という人がいるのにー。
お嫁さんになったら自然と家事ができるようになるんじゃないの?思っていたのとぜんぜん違うんだけどー(「だれかの奥さん」)。借金して、地元に帰って、初体験の相手と不倫する。この先、どうやって生きていったらいいのか途方に暮れるー(「ずくもない」)。あのころ思い描いていた未来に立ってない、ぜんぜん立ってない!いつのまにか遠くまできてしまった、私たちのための作品集です。
地方に暮らす仲良し五人組は高校卒業と同時にそれぞれの道を歩んだ。大学受験に失敗し、ぶらぶらしながら孤独を感じていた三千花。大学卒業後にライターとなるが挫折して地元に帰ってきた志津。短大を出て母の言いなりで市役所に勤務した麻里奈。奔放な美人で社長と結婚した後も不倫の日々をブログに綴る理恵。20歳でできちゃった結婚をし、三人の子供を育てながらネット中毒となった法子。成人式の数日後、三千花が少年グループに拉致され、バラバラ死体で発見される。16年後、志津は「三千花に何が起こったのか」をテーマにルポを書こうと、口を閉ざしていた友人たちに取材する。そこには女たちの深い闇と絶望が渦巻いていた…。
あるときはサンタクロースの格好をしたデリバリーホスト、あるときは誘拐を請け負う便利屋、あるときは野良猫のような風采にシャネルを背負って。OL、主婦、女子中学生たちの前にふらりと現れ去っていく男・ヒトリ。彼と過ごす束の間の甘い時間の中で、女たちは何を得て、何を手放すのか。そして彼自身は…。美しい男が見せる、6つの夢物語。
さまざまな家族や友情のかたちを描いた「名古屋16話」に加え、東海・中部の都市を舞台にした8つの物語「8の旅」、著者による地図コラムや名古屋在住のカメラマン三浦知也氏による写真も収録!名古屋在住の作家が、名古屋市の16の区を舞台に悲喜こもごもの物語を紡ぐ珠玉のショートストーリー集。
重田ミドリ、小学3年生。住み慣れた街を離れて父・広の新しい恋人ー平野源三ーの家に転がりこんだ。そんな事実を受け入れられないミドリの母・貴美子。だから離婚話もなかなか進まない。でも進まない理由はそれだけではなくー。よのなかにあふれる“ふつう”からほんの少し外れたところにいるミドリたち。口に出してしまったら、何かが変わってしまう、何かが壊れてしまう、そんなおそれを抱きながら生きる彼らに訪れた、幸せの結末とは。
30歳を目前に仕事を辞めた花。おしゃれもダイエットもセックスもやめた。頑張っても、いつか若さは失われると気づいてしまったから。投げやりに引きこもる花を、優しく見守る恋人だったがー(「しゃぼん」)。高3の夏。海。大好きな慎ちゃん。でもあたしは他の男たちとも寝ている。慎ちゃんには見せられない姿でー(「ねむりひめ」)。悩める女の子必読!リアルでキュートなガールズ小説集。