著者 : 塩田武士
平成3年に発生した誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。異様な展開を辿った事件の真実を求め再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がるーー。質感なき時代に「実」を見つめる、著者渾身、圧巻の最新作。
ライターの大路亨は、ガンを患う元新聞記者の父から辻珠緒という女性に会えないかと依頼を受ける。一世を風靡したゲームの開発者として知られた珠緒だったが、突如姿を消した。珠緒の元夫や大学の学友、銀行時代の同僚等を通じて行方を追い始めた亨は、彼女の人生に昭和三十一年に起きた福井の大火が大きな影響を及ぼしていることに気づく。作家デビュー十年を経た著者が、「実在」する情報をもとに丹念に紡いだ社会派ミステリーの到達点。
アニメ製作プロデューサー・渡瀬智哉は、念願だったSF小説『アルカディアの翼』のテレビアニメ化に着手する。しかし業界の抱える「課題」が次々と浮き彫りとなり、波乱の状況下、窮地に追い込まれる。一方、フリーアニメーターの文月隼人は、ある理由から波紋を広げる“前代未聞のアニメ”への参加を決意するが…。アニメに懸ける男たちの人生が交差するとき、“逆転のシナリオ”が始動する!
出版大手「薫風社」で、カルチャー誌の編集長を務める速水輝也。笑顔とユーモア、ウィットに富んだ会話で周囲を魅了する男だ。ある夜、上司から廃刊の可能性を匂わされたことを機に組織に翻弄されていく。社内抗争、大物作家の大型連載、企業タイアップ…。飄々とした「笑顔」の裏で、次第に「別の顔」が浮かび上がりー。俳優・大泉洋を小説の主人公に「あてがき」し話題沸騰!2018年本屋大賞ランクイン作。
京都でテーラーを営む曽根俊也。自宅で見つけた古いカセットテープを再生すると、幼いころの自分の声が。それは日本を震撼させた脅迫事件に使われた男児の声と、まったく同じものだった。一方、大日新聞の記者、阿久津英士も、この未解決事件を追い始めー。圧倒的リアリティで衝撃の「真実」を捉えた傑作。
唯一の家族だった母を亡くした明日香は、遺品から一通の出されなかった手紙を見つける。宛名は「林鋭生様」。それが将棋の真剣師の名だと知り、明日香は林を捜すことに。「新世界の昇り龍」と呼ばれ、ある対局後に、忽然と姿を消したという男と母との関係は。昭和を生きた男女の切なさと強さを描いた傑作。ドラマで林鋭生を演じる石橋蓮司さん×塩田武士さん巻末特別対談を収録!!
「誤報」にまつわる5つの物語。新聞、テレビ、週刊誌、ネットメディアー昭和が終わり、平成も終わる。気づけば私たちは、リアルもフェイクも混じった膨大な情報に囲まれていた。その混沌につけ込み、真実を歪ませて「革命」を企む“わるいやつら”が、この国で蠢いている。松本清張は「戦争」を背負って昭和を描いた。塩田武士は「情報」を背負い、平成と未来を描く。全日本人必読。背筋も凍る世界が見えてくる。
便利屋でアルバイトをしている省吾はある日、古びたボクシングジムの前に佇む女性、優香に出くわす。ジムに立ち退きを迫っているという彼女の話を聞き、金儲けになるかもとその話に乗る。だが、若いボクサー・勇気と出会い、時をともに過ごすうちに省吾の中であることが…。-軽妙な筆致で描かれる熱いドラマ。それぞれの“過去”を背負った人間たちがちらりと見せる意地やプライドに心が揺れる、成長と再生の物語。待望の文庫化!
大手出版社で雑誌編集長を務める速水。誰もが彼の言動に惹かれてしまう魅力的な男だ。ある夜、上司から廃刊を匂わされたことをきっかけに、彼の異常なほどの“執念”が浮かび上がってきて…。斜陽の一途を辿る出版界で牙を剥いた男が、業界全体にメスを入れる!
学生時代、冬の日に出会った恋人・雪乃。12年前に姿を消した彼女を、いま警察が追っている。新聞記者になった私は密かに調査を開始した。彼女は何をしたのか。なぜ姿を消したのか。京都の四季を背景に描かれる若き日の恋と、隠された秘密をめぐる現在の日々。『罪の声』の著者が贈る純愛ミステリーの傑作!
地方新聞社、入社六年目の武井涼。極度のあがり症で一切の交渉事に向かないが、委員長に口説かれ労働組合の執行委員を務めることに。折しも会社からの深夜労働手当引き下げ案が大きな波紋を呼んでいた。組合対経営陣。緊迫の団体交渉を克明に綴り、働くことへの熱い思いを描き出す傑作エンターテインメント!
京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声とまったく同じものだったー。
雨の夜、市議会議長が殺害された。波山署の本宮は県警捜査一課の若手・平原優子と組み捜査にあたるが、意外な容疑者が浮かび上がる。その影を追ううち、本宮たちは一人の青年の心の闇に出会うー。八〇年代のバブル経済に呑み込まれた男女と、それを見つめた彼らの子どもたち。ある家族の崩壊と殺人事件を通して、時代を生きる人間を鋭く描き出す、傑作刑事小説。
少年の胸に芽生えた同級生男子への恋心。どうしようもない感情に翻弄され傷つく彼にやがて家族との別れ、そして決断の時が訪れる。本当の自分を生きるために。繊細な心理描写で究極の性の苦悩を描き切った青春文学の新たなる傑作。
恋も職も失い、傷心旅行で神戸に流れ着いた矢吹明菜、三十歳。偶然出会ったi-Podを器用に操る老人に託されたのは、瀕死のオーケストラの再建だった。濃いメンバーとMっ気満点の気弱なマエストロを束ね、凶暴な“女神”の崖っぷちの挑戦が始まる。読んだ人すべてに幸福が降り注ぐ、笑いと感動の音楽物語。
舞台は京都。新聞記者・恭平は捜査情報の中に、十二年前に失踪した学生時代の恋人・雪乃の名前を見つけ、驚愕する。なぜ彼女は消えたのか?取材を進める中で浮かび上がる雪の秘密。そして物語は運命の日、祇園祭の宵山へ…。気鋭の著者が「書き終えたくない」ほどの情熱を注いだ純愛ミステリーの傑作が誕生しました。
「おまえは嫌われてる」。神戸新報県警担当記者・秋葉隼介は、たった一言で文化部に左遷され、将棋担当を命じられる。そんな秋葉の家に、突然転がり込んだのは、やけ酒の席で大喧嘩した同い年の不遜な男・真田信繁だった。背水の陣でプロ棋士を志す男が巻き起こす熱い感動の物語。小説現代長編新人賞受賞作。
地方都市・波山市の市議会議長が殺された。当直明けの夜、波山署の刑事・本宮宣親は遺体が安置されている病院に向かう。亡くなった議長の妻と娘は何かを隠しているようだった…。事件当時、被害者宅付近で聞こえた男女の声を手掛かりに、本宮は県警本部の若手女性刑事・平原優子と組み、事件の足取りを追う。捜査を進めていくうちに、奇しくも、本宮自身が封印していた高校時代の苦い思い出と事件が絡み合いー。時代に翻弄された人々の哀しみを丁寧に描いた感動の警察小説。