著者 : 夏来健次
虚構と現実のあわいに君臨する異能の作家!!「人形は死を告げる」「つなわたりの密室」「殺人者」「殺しの時間」「わたしはふたつの死に憑かれ」「恐ろしく奇妙な夜」の6編を収録した、『赤い右手』の作者ジョエル・タウンズリー・ロジャーズによる中短編傑作集。
ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』に先駆けて発表された英米の吸血鬼小説に焦点を当てた画期的アンソロジーが満を持して登場。バイロン、ポリドリらによる名作の新訳、伝説の大著『吸血鬼ヴァーニーーあるいは血の晩餐』抄訳ほか、ブラックユーモアの中に鋭い批評性を潜ませる異端の吸血鬼小説「黒い吸血鬼ーサント・ドミンゴの伝説」、芸術家を誘うイタリアの謎めいた邸宅の秘密を描く妖女譚の傑作「カンパーニャの怪」、血液ではなく精神を搾取するサイキック・ヴァンパイアものの先駆となる幻の中篇「魔王の館」など、本邦初紹介の作品を中心に10篇を収録。怪奇小説を愛好し、多彩な翻訳を手がけてきた訳者らによる日本オリジナル編集で贈る。
1516年、ドイツ“黒き森”。嵐が吹きすさび、あたり一面を異様な轟音が覆いつくす漆黒の夜、老醜の境にあるヴァグナーは見知らぬ人物の訪問を受け、奇怪なる契約を交わす。それは、若さと美貌、富と不死の命を手に入れる代価として狼に変身する運命を背負うというものであった。それからおよそ5年後、フィレンツェでも指折りに大きな城館の、贅を尽くした家具調度の揃う一室で、リヴェロラ伯爵アンドレアは死の牀にあった。父に寄り添う二人の姉弟ニシダ姫とフランシスコに伯爵は、自らとリヴェロラ家にかかわる秘密を明らかにしてくれるものが収められているという秘密の衣裳室の鑰を渡し、フランシスコが婚姻を果たすその日に扉をあけるよう遺言を残して息絶える。父の死を看取り二人はそれぞれの寝所に戻るが、ほどなくして、艶やかな黒い瞳に不吉とも言える異様な光を宿らせたニシダ姫は、フランシスコの部屋に忍びこんで鑰を盗みだし、秘密の衣裳室へ歩を進めていく。数日後、伯爵の葬儀が執り行なわれ、そこに若さを取り戻したヴァグナーの姿があったー交錯する愛憎と怨恨、野望と戦乱、フィレンツェ、コンスタンチノーブル、エーゲ海のロードス島、さらには地中海のいずことも知れぬ孤島を舞台に繰り広げられる、ゴシック・ロマンスの後裔ともいうべき波瀾万丈の物語がここに開幕!
マーティン・ルーサー・キング・ハイスクール。ドラッグの密売で強大な力を持つ生徒リドリーと、それを黙認する校長ダームーディーの独裁下、暴力の日常的に吹き荒れる高校。生徒のほとんどが格闘技を身につけなければ生きてゆけない我が校を、人は「カンフー・ハイスクール」と呼ぶ。わたしはジェニー、15歳、女子。兄のキューとともにカンフー高に通う。だが、わたしのいとこで世界的なカンフーの達人、ジミーが香港からやってきた日から、カンフー高は揺れ始める。もうこの拳は振るわないと誓うジミーだったが、学園の暴力者たちは意に介さず、事態はエスカレートしてゆく…金曜日、すべては暴力のカオスとなって爆発する。殺らなければ殺られる。だからわたしは殺るー気鋭のノワール作家がブルース・リーへの愛をこめて書き上げた問題作。英米各誌で『キル・ビル』『ファイト・クラブ』『アメリカン・サイコ』と並び称された、ポップでイカレて残忍なスクール・バイオレンス。
ソヴィエト連邦の超常諜報戦術開発局に所属するボリス・ドラゴサニと、英国の炭鉱町で育ち、数学の才能を開化させたハリー・キーオウ。遠く隔たった場所でまったく異なる人生を歩む二人にはある共通点があったーそれは死者、あるいは死体の能力を自らのものにして活用するという、類い稀且つ恐るべき異能だった!冷戦下、ソ連と英国間の霊的諜報戦を描いた一大伝奇ホラー。
死体から情報や記憶を強奪する死骸検師ドラゴサニは、更なる力を手にするため故国ルーマニアへ赴き、吸血鬼族の秘密を探り出そうと目論んでいた。一方、死者の魂との交流によってその能力を身に宿す死霊見師キーオウは、母を殺した継父への復讐を遂げるべく力を磨いていた。相似する能力と正反対の魂を持つ青年たちの死闘を描く、“タイタス・クロウ・サーガ”の著者による傑作。
風の邪神イタカを退け、ふたたび時空往還機に乗り探索の旅へと出立したド・マリニーとモリーンが、ボレアに帰還した。そこへタイタス・クロウからメッセージが入る。「クトゥルー邪神群、決起のとき迫る!」地球を、そして全宇宙を救うため、ド・マリニーは善なる旧神たちの棲み処、いずこともわからぬ“エリシア”へと旅立つのだが…。“タイタス・クロウ・サーガ”堂々完結!
エリナ・ダリーは縁あって裕福な実業家イニス・セントエーメと婚約し、車を駆ってハネムーンに出発した。ところが希望に溢れた旅路は、死んだ猫を抱えたヒッチハイカーとの遭遇を境に変容を余儀なくされる。幸福の青写真は引き裂かれ、婚約者と車を失ったエリナは命からがら逃げ惑う破目に。彼女を救ったリドル医師は、悪夢の一夜に起こった連続殺人の真相に迫ろうとするが…。
極北に棲む風の邪神イタカの調査に乗り出した精神感応能力者のシルバーハットは、そのさなか当のイタカに遭遇し、調査隊の仲間ともども惑星ボレアへと連れ去られてしまう。彼の地では、イタカを崇める風神教団と、邪神の血を引く“風の巫女”アルマンドラ率いる台地民軍が闘争を繰り広げていた…。タイタス・クロウに次ぐ新たなる邪神狩人の登場。シリーズ新展開の第四弾!
シャワーカーテンの隙間からのぞく仮面のような顔。ぎらつく二つの目。メアリは悲鳴をあげはじめた。が、その声は切り裂かれた…肉切り包丁の一閃で!雨の夜、片田舎のさびれたモーテルでなにが起きたのか?大金を拐帯し失踪した婚約者を探すサムが見いだした、恐るべき真実とは?ヒッチコックの映画であまりにも有名なサイコスリラーの原点、今ここに復活!新訳決定版。
結婚式を挙げに行く途中のカップルが拾ったヒッチハイカーは、赤い眼に裂けた耳、犬のように尖った歯をしていた…。やがてコネティカット州山中の脇道で繰り広げられる恐怖の連続殺人劇。狂気の殺人鬼の魔手にかかり、次々に血祭りに上げられていく人々-悪夢のような夜に果して終りは来るのか?熱に憑かれたような文体で不可能を可能にした、探偵小説におけるコペルニクス的転回ともいうべきカルト的名作、ついに登場。
人類だけが常に地球の主だったわけではない。そう、今もなお〈旧支配者〉は世界の何処かに潜み、虎視眈々とわれわれを狙っているーH・P・ラヴクラフトが生みだした〈クトゥルー神話〉。本書は、あのコナンの生みの親がおくるクトゥール神話傑作短編集である。表題作をはじめ、「妖蛆の谷」「獣の影」「闇の種族」「大地の妖蛆」「鳩は地獄から来る」など全十三編を収録した。
アメリカとソ連首脳の平和サミットが間近に迫る頃、一隻の中国の原子力潜水艦がひそかにハワイ沖へ向けて出発した。彼らを派遣した将官が目論むのは世界制覇。そのためにサミット初日に米ソ両国をミサイル攻撃して第三次大戦を誘発させるのが艦の使命だつた。情報を察知した米海軍は未曽有の破局を回避すべく、ソ連に協力を要請するが…。深海に展開する米・ソ・中原潜の死闘。ハイテクの粋を駆使して描く軍事スリラーの傑作。