小説むすび | 著者 : 夏来健次

著者 : 夏来健次

人狼ヴァグナー人狼ヴァグナー

1516年、ドイツ“黒き森”。嵐が吹きすさび、あたり一面を異様な轟音が覆いつくす漆黒の夜、老醜の境にあるヴァグナーは見知らぬ人物の訪問を受け、奇怪なる契約を交わす。それは、若さと美貌、富と不死の命を手に入れる代価として狼に変身する運命を背負うというものであった。それからおよそ5年後、フィレンツェでも指折りに大きな城館の、贅を尽くした家具調度の揃う一室で、リヴェロラ伯爵アンドレアは死の牀にあった。父に寄り添う二人の姉弟ニシダ姫とフランシスコに伯爵は、自らとリヴェロラ家にかかわる秘密を明らかにしてくれるものが収められているという秘密の衣裳室の鑰を渡し、フランシスコが婚姻を果たすその日に扉をあけるよう遺言を残して息絶える。父の死を看取り二人はそれぞれの寝所に戻るが、ほどなくして、艶やかな黒い瞳に不吉とも言える異様な光を宿らせたニシダ姫は、フランシスコの部屋に忍びこんで鑰を盗みだし、秘密の衣裳室へ歩を進めていく。数日後、伯爵の葬儀が執り行なわれ、そこに若さを取り戻したヴァグナーの姿があったー交錯する愛憎と怨恨、野望と戦乱、フィレンツェ、コンスタンチノーブル、エーゲ海のロードス島、さらには地中海のいずことも知れぬ孤島を舞台に繰り広げられる、ゴシック・ロマンスの後裔ともいうべき波瀾万丈の物語がここに開幕!

血まみれ鉄拳ハイスクール血まみれ鉄拳ハイスクール

マーティン・ルーサー・キング・ハイスクール。ドラッグの密売で強大な力を持つ生徒リドリーと、それを黙認する校長ダームーディーの独裁下、暴力の日常的に吹き荒れる高校。生徒のほとんどが格闘技を身につけなければ生きてゆけない我が校を、人は「カンフー・ハイスクール」と呼ぶ。わたしはジェニー、15歳、女子。兄のキューとともにカンフー高に通う。だが、わたしのいとこで世界的なカンフーの達人、ジミーが香港からやってきた日から、カンフー高は揺れ始める。もうこの拳は振るわないと誓うジミーだったが、学園の暴力者たちは意に介さず、事態はエスカレートしてゆく…金曜日、すべては暴力のカオスとなって爆発する。殺らなければ殺られる。だからわたしは殺るー気鋭のノワール作家がブルース・リーへの愛をこめて書き上げた問題作。英米各誌で『キル・ビル』『ファイト・クラブ』『アメリカン・サイコ』と並び称された、ポップでイカレて残忍なスクール・バイオレンス。

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