著者 : 夏目漱石
葛藤、罪悪感、エゴイズム、贖罪…あの読後感が、いまよみがえる。累計700万部、教科書に掲載され、いまなお議論される日本文学の最高峰。美しいイラスト、豊富な振り仮名、丁寧な用語解説でとにかく読みやすい!
留学帰りの健三は仕事に忙殺され、妻子を思いやる余裕もなく日々を過ごしていた。 ある日、彼のもとへ絶縁したはずの養父・島田が金の無心にやって来る。かつての恩義や見栄のため、頼みを断れない彼に嫌気がさす身重の妻。 しかし意固地な二人は話し合うこともせず、すれ違う。 腹違いの姉からも経済的支援をせがまれ、健三の苦悩は深まる。そんな中、妻は出産を迎えるが……。 分かり合いたい、分かってもらいたい、けれども分かり合えない二人。 互いへの理解を諦めきれない夫婦の姿を克明に描く、漱石後期の名作。
開戦間近の昭和16年9月に刊行された近藤いね子訳の『KOKORO』。渡部昇一氏が絶賛した名訳が、新装版としてよみがえりました。英語圏の方々はもとより、日本で英文学や国文学を学ぶ方々等、英語訳での夏目漱石の世界に興味を持たれる方におすすめしたい一冊。
アーサー王伝説を踏まえたファンタジー「幻影の盾」。SPレコードにまつわる怪異をえがいた「サラサーテの盤」。妖しい幽霊屋敷を舞台にした都市幻想小説「白血球」。超現実主義的手法で夢の世界を克明に記述した「夢の中での日常」。他全48編。
見栄っ張りな津田由雄には、半年余り前に結婚したばかりの妻・お延がいる。しかし津田は、自分を裏切って友人と結婚した元婚約者、清子のことがいまだに忘れられなかった。病を患い入院した彼は、清子が流産し、温泉に逗留中だと知る。未練と期待を胸に、妻へは病気の静養と嘘をついて温泉へ向かう津田だったが、実はお延に二人の関係は知られていて…。漱石最後の作品となった、未完の傑作。