小説むすび | 著者 : 大江健三郎

著者 : 大江健三郎

新しい人よ眼ざめよ新しい人よ眼ざめよ

神秘主義詩人ウィリアム・ブレイクの預言詩(プロフェシー)に導かれ、障害を持って生まれた長男イーヨーとの共生の中で、真の幸福、家族の絆について深く思いを巡らす。無垢という魂の原質が問われ、やがて主人公である作家は、危機の時代の人間の<再生>を希求する。新しい人よ眼ざめよとは、来たるべき時代の若者たちへの作者による、心優しい魂の呼びかけである。大江文学の一到達点を示す、感動を呼ぶ連作短篇集。 <いま現在の僕とイーヨーの共生の意味があかるみに浮かびあがる。> 神秘主義詩人ウィリアム・ブレイクの預言詩(プロフェシー)に導かれ、障害を持って生まれた長男イーヨーとの共生の中で、真の幸福、家族の絆について深く思いを巡らす。無垢という魂の原質が問われ、やがて主人公である作家は、危機の時代の人間の<再生>を希求する。新しい人よ眼ざめよとは、来たるべき時代の若者たちへの作者による、心優しい魂の呼びかけである。大江文学の一到達点を示す、感動を呼ぶ連作短篇集。 リービ英雄 『新しい人よ眼ざめよ』は、innocence(無垢)の危機から始まる、ともいえる。(中略)ブレイクのinnocenceとexperience(経験)の歌が、おり交ぜている、という以上に、語りの言葉の一すじとなる、fatherとsonの詩が、「父親」たる語り手によって読まれている、だけでなく、読まれていること自体が物語の一主題となってゆく。このような「引用」のめざましい活かし方を一言で描ける文芸用語を、ぼくは知らない。--<「解説」より> 無垢の歌、経験の歌 怒りの大気に冷たい嬰児が立ちあがって 落ちる、落ちる、叫びながら…… 蚤の幽霊 魂が星のように降って、あし骨のところへ 鎖につながれたる魂をして 新しい人よ眼ざめよ 著者から読者へ

取り替え子取り替え子

出版社

講談社

発売日

2004年4月15日 発売

国際的な作家古義人(こぎと)の義兄で映画監督の吾良(ごろう)が自殺した。動機に不審を抱き鬱々と暮らす古義人は悲哀から逃れるようにドイツへ発つが、そこで偶然吾良の死の手掛かりを得、徐々に真実が立ち現れる。ヤクザの襲撃、性的遍歴、半世紀前の四国での衝撃的な事件…大きな喪失を新生の希望へと繋ぐ、感動の長篇! “まだ生まれて来ない者”たちへの希望を拓く、感動の長篇小説 かけがえのない友の死を濾過し、ひときわ澄んだ光を放つ、大江文学の到達点! チェンジリング【Changeling:英】 美しい赤ん坊が生まれると、子鬼のような妖精がかれらの醜い子供と取り替える民間伝承が、ヨーロッパを中心に世界各地に見られる。チェンジリングとは、その残された醜い子のことを指す。 国際的な作家古義人(こぎと)の義兄で映画監督の吾良(ごろう)が自殺した。動機に不審を抱き鬱々と暮らす古義人は悲哀から逃れるようにドイツへ発つが、そこで偶然吾良の死の手掛かりを得、徐々に真実が立ち現れる。ヤクザの襲撃、性的遍歴、半世紀前の四国での衝撃的な事件…大きな喪失を新生の希望へと繋ぐ、感動の長篇! 序章  田亀のルール 第一章 Quarantineの百日 (一) 第二章 「人間、この壊れやすいもの」 第三章 テロルと痛風 第四章 Quarantineの百日 (二) 第五章 試みのスッポン 第六章 覗き見する人 終章  モーリス・センダックの絵本

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