著者 : 大沢在昌
「めぐりあい」をテーマに名作短・掌編を精選したアンソロジー。読書への入り口に。旅のお供に。日々のひとときに。人気作家、ベストセラー作家の贅沢な競演。いずれ劣らぬ名作揃い。(解説/吉田伸子)
新宿のキャバクラで、不動産会社の社長が射殺された。捜査本部に駆り出された新宿署の佐江が組まされたのは、警視庁捜査一課の谷神。短髪を七三に分け、どこか人を寄せつけない雰囲気をもつ細身の谷神との捜査は、やがて事件の背後に日本最大の暴力団・高河連合が潜むことを突き止める。高河連合の狙いとは何か?人気シリーズ、待望の第四弾!
はじめてのひとり暮らし、旅先、迷路、父か母か。そして、俺の人生を狂わせた、憎いあいつを殺してしまうか…。誰もがいつでも迷っている。迷うほどに、心を揺さぶる。短編の饗宴。最強の作家集団、四たび集結。全作品書き下ろし。
充実した仕事と、出来たばかりの恋人・久迩子との逢瀬…工業デザイナー・木島の平穏な日々は、自宅に放火されたことをきっかけに一転した。不審な出来事は続き、木島は誰かに命を狙われていると感じるが、心当たりはない。だが、久迩子の車に悪戯書きされた一文を見た時、忘れようとしていた遠い夏の記憶が蘇る。鍵は一枚の写真にあるー木島は調査を開始するが…。ハードボイルド・サスペンスの名作!
夜の街でやんちゃが少し過ぎた俺は、裏社会の大物である祖父ちゃんの差し金でマンションの管理人見習いに。だがそこは高額の家賃を払って規約を守り、住人とトラブらない限り、どんな奴でも入居可能。「なんでもアリ」のマンションだった。マンション内での殺しは茶飯事、日本人だけでなく、各国からもくせ者たちが集まっている。任期は1年だが、命がいくつあれば足りるだろうか……。痛快ノワールコメディ。
検挙率No1にして、被疑者受傷率No1! 凶暴だが情には厚い、凸凹コンビの痛快刑事小説。 巨漢の大浦・通称ウラと、小柄だが空手の達人の赤池・通称イケ。 この刑事コンビは、腕は立つがキレやすく素行不良、ヤクザのみならず署内でも恐れられている。 被疑者を半殺しにし、チンピラの車をぼこぼこにし、拳銃をぶっ放し、カジノでは大暴れーーだが、そんな傍若無人で無鉄砲な捜査が、時に誰かを幸せにすることも? 笑いと涙の痛快刑事小説が、朗読会で披露された「ぶんぶんぶん」を収録した新装・完全版で登場!
穏やかな研究者の夫。素直に育った息子。幸せな家庭に恵まれた神村奈々の真の姿は対象人物の「国外処理」を行う秘密機関の工作員だ。ある日、夫が身元不明の女と怪死を遂げた。運命の歯車は軋みを立て廻り始める。次々と立ちはだかる謎。牙を剥く襲撃者たち。硝煙と血飛沫を浴び、美しき暗殺者はひとり煉獄を歩む。愛とは何かー真実は何処に?アクション・ハードボイルドの最高傑作。
シーズンオフの別荘地。見回り中の保安管理人は、無人のはずの別荘で、少女に銃口を突きつけられた。恋人を待っているという少女と、自らの過去を思い出しながら交流するのも束の間、彼女を追う男達が現われる(表題作)。誘拐事件の“メッセンジャー”を務めることになった「私」は、新宿で、背が高く、独特な目をした刑事に声をかけられ…。大沢作品の人気役者達が共演を果たす「再会の街角」を含む全9篇、極上の短編集。
組に莫大な借金を負わせた経済やくざの高見。身を隠すことになった地方の温泉街・大池市で再会したのは、大阪から単独捜査に来ていた珍妙な刑事、月岡だった。組織から嫌われた似たもの同士の2人は、さらに、同じ女に惚れてしまう。その女を発端に、大池市の政治家、観光業者までもが関係する巨大新興宗教「大山教」の跡目争いに巻きこまれー。やくざと警察、はぐれ者同士が巨大新興宗教の闇に挑む、サスペンス巨編!
若き警察官の”正義”が、「軍艦島」内に波紋を広げる。わずかな土地に五千人以上が暮らす、通称「軍艦島」と呼ばれる炭鉱の島で、昭和三十四年少女の遺体が見つかった。島に赴任したばかりの警察官・荒巻は少女の事故死を疑い、独自に捜査を開始。島の掟を前に、捜査は難航するが、予期せぬ人物の協力によって、有力な証拠にたどりつくーー。吉川英治文学賞受賞作 プロローグ 第一章 桟橋 第二章 発端 第三章 不穏 第四章 後悔 第五章 証拠
もう誰も信用できない? 疑心暗鬼になる「軍艦島」のなかで、ひとつの正義を貫くことはできるのかーー。若き警察官・荒巻の”許されざる捜査”は、「全島一家族」を標榜する島に波紋を広げる。八年前にも小女が水死しており、裏には信じがたい事実が秘されていた。密室ともいうべき島でつながる二つの不審死。その謎を解く鍵は、満月の夜にあった。著者の新境地に達するハードボイルドの最高峰。吉川英治文学賞受賞作 第六章 逮捕 第七章 容疑者 第八章 疑惑 第九章 捜査 第十章 協力者 第十一章 満月 第十二章 犯行 第十三章 情報 エピローグ
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。 第14回配本となる第18巻「暗黒の街角」は、馳星周の言わずと知れたノワールの名作「不夜城」を筆頭に、 新旧のヤクザ小説の傑作13編を収録! 本当の男の美学に酔える一冊! ●編集委員/逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏 [編集室から] ヤクザ小説の巻である。 「いいヤクザ」「フツーのヤクザ」「悪いヤクザ」をほどよく配列しよう、というのが当初の発想だった。 が、甘くなかった。 「いいヤクザ」の小説はいくらでもあるのに、「悪いヤクザ」の名編は少ない。 愚考するにヤクザ小説でリアリスムを貫徹しても感動を呼ぶ小説にならぬのだろう。 とはいえ馳星周長編には「いい人」はいない。 この長編で「背徳」の沼の感覚にひたっていただきたい。 [収録作] 【長編】 馳星周「不夜城」 【短編】 長谷川伸「関の弥太ッペ」 有馬頼義「貴三郎一代」 河野典生「ゴウイング・マイ・ウェイ」 安部譲二「プロフェッショナル・トゥール」 花村萬月「笑う山崎」 石田衣良「エキサイタブルボーイ」 浅田次郎「ラブ・レター」 【掌編】 かんべむさし「ドス」 夢枕獏「あんまさまおおいに驚く」 清水義範「極道温泉」 大沢在昌「気つけ薬」 子母沢寛「座頭市物語」 ◇解説/北方謙三 解題/香山二三郎
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。 第13回配本となる第10巻「危険な旅路」は、船戸与一、矢作俊彦の傑作長編を軸に、冒険の原型とも言える「旅」する主人公を描いたロード・ノヴェルの代表作、全14編を厳選! ●編集委員/逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏 [編集室から] 「道中もの」というテーマがある。 日本の小説では「東海道中膝栗毛」あたりが最初だろうか。 要するに、主人公が移動しながら冒険を続けていく、というものである。 膨大な数のこの種の傑作があるわけで、全部読んでこの14編を選びました、という嘘は言いません。 ところで、泰斗・都筑道夫が「ほんとうにハードボイルド小説を書ける作家は石川淳ひとり」と書いているのをご存知か。 これは、逢坂剛委員の鋭い指摘である。 [収録作] 【長編】 船戸与一「夜のオデッセイア」 矢作俊彦「リンゴォ・キッドの休日」 【短編】 石川淳「金鶏」 森詠「わが祈りを聞け」 片岡義男「ミス・リグビーの幸福」 谷克二「サバンナ」 逢坂剛「幻影ブルネーテに消ゆ」 【掌編・ショートショート】 川端康成「顔」 坪田譲治「森の中の塔」 河野典生「かわいい娘」 眉村卓「帰途」 半村良「酒」 阿刀田高「笑顔でギャンブルを」 星新一「もたらされた文明」
チャイナホワイトとは中国を経由し香港からアメリカへ持ち込まれるヘロインのことだ。一九九七年、世界最大の薬物ターミナル香港には、各国の犯罪組織が盤踞していた。ロシアマフィア、蛇頭、日本の広域暴力団、そして麻薬ビジネスを新たに牛耳ろうとする謎の男“ホワイトタイガー”。台湾ルートを追っていた麻薬取締官三崎は何者かに襲われ拉致される。大沢在昌の最高峰ハードボイルド巨篇!
華僑の徐とともに捜査を進める厚生省麻薬捜査官三崎。アジアでの動きを睨むDEA連邦麻薬取締局も捜査官ベリコフを日本に送り込んだ。三崎とベリコフは共通の敵“ホワイトタイガー“を追い詰めていく。中国公安部、CIAもからみ、ユーラシア大陸に広がる麻薬の連鎖“ユーラシアホワイト“を三崎とベリコフは壊滅できるのか!? ホワイトタイガーの正体は!? ハードボイルド巨篇完結篇。
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。 第7巻「牙が閃く時」は、西村寿行の動物パニック小説の名作「滅びの笛」を中心に、心あたたまる友情から戦慄を禁じ得ない極限の対決まで、幅広い分野にわたる動物小説の傑作16編を網羅! ●編集委員/逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏 [編集室から] 動物小説の巻である。 一貫して「動物」にこだわり続けた作家は戸川幸夫と椋鳩十の二人くらいか。 ここにパニック小説にくくられていた「滅びの笛」を投入させていただいた。 西村寿行は常に変わり続けた作家であり、どの作品を選ぶか最も悩んだ作家の一人である。 編集委員の方々に解説の希望巻をつのったところ、全員がこの巻を挙げられたことを是非申し添えておきたい。 [収録作] 【長編】 西村寿行「滅びの笛」 【短編】 宮沢賢治「猫の事務所」 岡本綺堂「虎」 椋鳩十「片耳の大シカ」 新田次郎「おとし穴」 戸川幸夫「咬ませ犬」 宇能鴻一郎「鯨神」 豊田有恒「火星で最後の……」 藤原審爾「狼よ、はなやかに翔べ」 井上ひさし「冷し馬」 中島らも「クロウリング・キング・スネイク」 【掌編】 広津和郎「狸」 嵐山光三郎「岡野の蛙」 北杜夫「推奨株」 川田弥一郎「青い軌跡」 星新一「不満」
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。第15巻は「冒険物語」の原点ともいえる「海」を舞台とした傑作小説を、SFから恐竜ものまでバラエティ豊かな全14編収録! ●編集委員/逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏 [編集室から] 海の巻である。そもそも「冒険」物語は大航海時代のイギリスに始まった。 「冒険」イコール「大海」だった時代があったのである。 鎖国と呼ばれた時代があったせいか、日本にはこの種の小説の伝統がない。 なければ詭弁を弄しても作ってしまおう。編集委員諸氏もそう言っておられる。 海が舞台の椎名SF長編と景山恐竜長編を核にすえた。 やはり、「冒険」に「海」がないと、画龍に点睛を欠くのである。 [収録作] 【長編】 椎名誠「水域」 景山民夫「遠い海から来たCOO(クー)」 【短編】 小川未明「赤いろうそくと人魚」 蘭郁次郎「地図にない島」 笹沢左保「赦免花は散った」 北杜夫「遙かな国 遠い国」 田中光二「二人だけの珊瑚礁」 中島らも「セルフィネの血」 熊谷達也「潜りさま」 【掌編】 川端康成「竜宮の乙姫」 夏目漱石「第七夜」 三島由紀夫「伝説」 生島治郎「暗い海暗い声」 原田宗典「岬にいた少女」