著者 : 宮部みゆき
顔馴染みになった不動産屋の社長から渡された一枚の写真。そこに写る不格好なぬいぐるみを「カモメ」と断言する少年は、不登校の小学生だった。クラスの人気者で、成績優秀の彼は、ある日突然、学校に行かなくなった。その原因と「カモメ」はどう関係するのか…。相談を受けた花菱英一は、関係者に話を聞く中で、ある映画に行き当たる。家族の絆に思いを馳せる、心震わす物語。
築三十三年、木造二階建て。臨死状態の古びた商店街にひっそりと佇む「小暮写眞館」。都立三雲高校に通う花菱英一は、両親の趣味により、この写真館に住むことになる。そして、弟を含めた家族四人の暮らしが始まった矢先、ひとりの女子高生が持ち込んだ不思議な写真をめぐる謎に、英一自身も関わることになり…。写真に秘められた物語を解き明かす、心温まる現代ミステリー。
高校の先輩に呼び出された花菱英一は、当事者に話を聞くことなく、三年前に撮影された写真の謎を解明するよう言い渡される。困惑する英一だったが、親友の店子力や同級生の寺内千春の助力を得て、当時の出来事を調べ始める。唐突に破棄された婚約。父親の病死。涙を流す家族。一枚の写真に隠された物語とは?現代を生きる人の温もりと優しさを描き出す、宮部ミステリーの真骨頂。
毎度おなじみ「長靴の戦士」ピノとピピが迷い込んだのはホラーゲームのボツ世界!そこは、なぜか三角錐の頭をした人々が支配するなんだか怖いような怖くないような村。どうにかこうにか村を脱出して二人が辿り着いたのは、住民がすべて偽者になっている街だった。おいおい、今度はSFか!?ゆる系RPGファンタジー第4巻はホラーからSFまで、禁断と掟破りてんこ盛り。負けるなピノピ!
“ボツコニアン”の世界では、中国四千年の歴史「三国志」でもやっぱりボツネタ集めちゃいました。曹操、劉備ら小説・ゲームでお馴染みのメンバーはもちろん、軽視されがちなサブキャラも、なんなら怪獣やロボットまで登場しちゃう。これまで見たことも、聞いたこともない「赤壁バトル」に、おなじみピノとピピが直面する!宮部みゆき渾身の脱力系ファンタジー第3巻は、「三国志」ファン必読!
家族と仕事を失った杉村三郎は、東京都北区に私立探偵事務所を開業する。ある日、亡き父・武藤寛二が生前に残した「昔、人を殺した」という告白の真偽を調査してほしいという依頼が舞い込む。依頼人の相沢幸司によれば、父は母の不倫による離婚後、息子と再会するまで30年の空白があった。果たして、武藤は人殺しだったのか。35年前の殺人事件の関係者を調べていくと、昨年発生した女性殺害事件を解決するカギが隠されていた!?(表題作「希望荘」)。「聖域」「希望荘」「砂男」「二重身」…私立探偵・杉村三郎が4つの難事件に挑む!!
三島屋伊兵衛の姪・おちか一人が聞いては聞き捨てる変わり百物語が始まって一年。幼なじみとの祝言をひかえた娘や田舎から江戸へ来た武士など様々な客から不思議な話を聞く中で、おちかの心の傷も癒えつつあった。ある日、三島屋を骸骨のように痩せた男が訪れ「話が終わったら人を呼んでほしい」と願う。男が語り始めたのは、ある人物の前でだけ泣きやまぬ童子の話。童子に隠された恐ろしき秘密とはー三島屋シリーズ第三弾!
世界中で愛読される『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』をテーマに、人気ミステリー作家・有栖川有栖、宮部みゆき、篠田真由美、柄刀一、山口雅也、北原尚彦が紡ぐ6つの物語。事件から事件へ、現実と異世界を自在に行き来する、ユーモアと不思議が溢れるアリスの世界へようこそ。
「皆さん、お静かに。動かないでください」。拳銃を持った、丁寧な口調の老人が企てたバスジャック。乗客の一人に、杉村三郎がいた。呆気なく解決したと思われたその事件は、しかし、日本社会のそして人間の心に潜む巨大な闇への入り口にすぎなかった。連続ドラマ化もされた、『誰か』『名もなき毒』に続く杉村シリーズ第3作。
杉村三郎らバスジャック事件の被害者に届いた「慰謝料」。送り主は?金の出所は?老人の正体は?謎を追う三郎が行き着いたのは、かつて膨大な被害者を生んだ、ある事件だった。待ち受けるのは読む者すべてが目を疑う驚愕の結末。人間とは、かくも不可思議なものなのかー。これぞ宮部みゆきの真骨頂。
“ボツ”になったゲームネタが集まってできた、できそこないの世界“ボツコニアン”。そんなダメダメな世界をより良くするために、「長靴の戦士」に選ばれた少年ピノと少女ピピ。黄色い花の植木鉢の姿をした、しゃべる取扱説明書・トリセツに導かれ、二人は夢と笑いの溢れる壮大な冒険に出る!あの宮部みゆきが、書きたくて仕方がなかった抱腹絶倒のNEWファンタジーシリーズ。ついに、開幕!
父の汚名をすすごうと上総国から江戸へ出てきた古橋笙之介は、深川の富勘長屋に住むことに。母に疎まれるほど頼りなく、世間知らずの若侍に対し、写本の仕事を世話する貸本屋の治兵衛や、おせっかいだが優しい長屋の人々は、何かと手を差し伸べてくれる。家族と心が通い合わないもどかしさを感じるなか、笙之介は「桜の精」のような少女・和香と出逢い…。しみじみとした人情が心に沁みる、宮部時代小説の真骨頂。
ネットに溢れる殺人者の噂を追う大学一年生・孝太郎。“動くガーゴイル像”の謎に憑かれる元刑事・都築。人の心に渇望が満ちる時、姿を現すものは?宮部みゆきの物語世界、さらなる高みへ!
空想ですー。弁護人・神原和彦は高らかに宣言する。大出俊次が柏木卓也を殺害した根拠は何もない、と。城東第三中学校は“問題児”というレッテルから空想を作り出し、彼をスケープゴートにしたのだ、と。対する検事・藤野涼子は事件の目撃者にして告発状の差出人、三宅樹理を証人出廷させる。あの日、クリスマスイヴの夜、屋上で何があったのか。白熱の裁判は、事件の核心に触れる。
ひとつの嘘があった。柏木卓也の死の真相を知る者が、どうしても吐かなければならなかった嘘。最後の証人、その偽証が明らかになるとき、裁判の風景は根底から覆されるー。藤野涼子が辿りついた真実。三宅樹理の叫び。法廷が告げる真犯人。作家生活25年の集大成にして、現代ミステリーの最高峰、堂々の完結。20年後の“偽証”事件を描く、書き下ろし中編「負の方程式」を収録。
二人の同級生の死。マスコミによる偏向報道。当事者の生徒達を差し置いて、ただ事態の収束だけを目指す大人。結局、クラスメイトはなぜ死んだのか。なにもわからないままでは、あたし達は前に進めない。だったら、自分達で真相をつかもうー。そんな藤野涼子の思いが、周囲に仲間を生み出し、中学三年有志による「学校内裁判」開廷が決まる。求めるはただ一つ、柏木卓也の死の真実。