著者 : 小野寺史宜
ベストセラー『ひと』の著者による じんわりと心に染みる家族小説 東京の町なかにひっそりと佇む「日比野豆腐店」。 店主の清道を亡くした日比野家は、 厳しいながらも手を取り合って店を切り盛りしていた。 店を終わらせようとしている祖母の初。 亡くなった夫の代わりに店を続けたい母の咲子。 店を継ぎたいのかどうか、将来に悩む令哉。 そして、「ある人」と一緒に三人を見守る飼い猫の福。 「日々の豆腐」という意味も込められた豆腐屋で、 ひたむきに生きる人たちを描いた心揺さぶる家族小説。 ●著者より● 『日比野豆腐店』。僕自身の主食とも言える豆腐を扱った作品です。 何というか、もう、書くこと自体が楽しい小説でした。 つらいことも起きますが、それでも楽しいのだから不思議です。 そしてそれは僕にとってとても大事なことです。 その楽しさは読んでくださるかたがたにちゃんと伝わるでしょうから。 皆好きななかで特に好きな登場人物(?)は日比野福です。 家族に豆腐に福。すべてを楽しんでいただけたらうれしいです。 ●目次● 日比野初 ー断章 日比野福ー 日比野咲子 ー断章 日比野福ー 神田七太 ー断章 日比野福ー 日比野令哉 ー断章 日比野福ー
マッチングアプリで知り合った二人目と別れたばかりの佐野朋香。妻とも娘ともうまくいかず、仕事も行き詰まる片山達児。むかしの大切な仲間を若くして喪った青井千草。後輩の陰口にショックを受けて会社を辞め、半年が過ぎた新川剣矢ー。平凡な暮らしが揺れ始め、岐路に立つ四人。行き違い重なりあう日々が新しく輝き出す物語。
わたしは母を傷つけた。たった一人の肉親を、言葉のナイフでーー。 あれから13年、後悔ばかりで大人になった。 でも、孤独に負けずにいられたのは、母の、仲間の、「うた」 があったからーー。 シリーズ累計54万部突破!『ひと』 『まち』 『いえ』に続く感動の青春譚 母がわたしを産んだ歳になった。今、わたしに、湧き出るものがあるーー。 27歳の古井絹枝には、晴らすことのできない後悔があった。中学生の頃、地域の合唱団に所属する母に「一緒にうたおうよ」と誘われたものの、撥ねつけてしまったのだ。母が秘めていた想いも知らずに・・・・・・。 大学時代、絹枝はバンドを組んでいた。 ギター担当は伊勢航治郎。バンド解散後もプロを目指したが芽が出ず、だらしない日々を送っていた。 ベース担当は堀岡知哉。バリバリ働く妻がいるが、自分はアルバイトの身で、音楽への未練も僅かにある。 ドラムス担当は永田正道。大学卒業後、父が越えられなかった資格試験の壁に挑もうとするが・・・・・・。 かつての仲間が、次の一歩を踏み出そうとする物語。
もうわかってるの。自分がいやな人間だってことも、ダメな人間だってことも。自分のことをそんなふうに思っていた「泉」。祖母に預けられた小学生時代から、中学、高校、大人になるまで、変えられない自分がいた。生きていくこと、そのありのまま輝きがついに堰を切って溢れ出す。一人を見つめて描かれたみんなの人生の物語。
教師をやめ夜勤の警備員になってから三年。立ち止まっていた僕を動かしたのは、空腹から置引未遂を犯した十歳の少女との出会いだった。挫折を知った青年の新たな一歩を描く心あたたまる感動長編。
深夜のひったくりをやめられない成績優秀な中学生・望。有名私立中に合格するも、町を“守る”ため自転車泥棒に暴行を働く弓矢。大学受験に失敗し、異母弟の弓矢に劣等感を抱く充也。交通事故に遭い就職できなくなったフリーター・根岸。閉鎖的な町で起きた小さな事件によって、古びたマンションで本心を偽りながら生きる住人たちの憎悪と渇望が交錯していきー。隠しきれない“衝動”と“本性”を鮮烈に描いた、青春サスペンス。
社会人三年めの三上傑には、大学生の妹、若緒がいた。仲は特に良くも悪くもなく、普通。しかし最近、傑は妹のことばかり気にかけている。傑の友だちであり若緒の恋人でもある城山大河が、ドライブデート中に事故を起こしたのだ。後遺症で、若緒は左足を引きずるようになってしまった。以来、家族ぐるみの付き合いだった大河を巡って、三上家はどこかぎくしゃくしている。教員の父は大河に一定の理解を示すが、納得いかない母は突っかかり、喧嘩が絶えない。ハンデを負いながら、若緒は就活に苦戦中。家族に、友に、どう接すればいいのか。思い悩む傑は…。本屋大賞第2位『ひと』、そして『まち』に続く下町荒川青春譚、第3弾!
午後5時開店、午後8時閉店。亡き夫との思い出をきっかけに松井波子が開いた「クロード子ども食堂」。スタッフは、夫とうまくいかない近所の主婦や、就活のアピール目的の大学生。お客さんは、デートに向かうお母さんに置いていかれる小学生や、娘と絶縁し孤独に暮らすおじいさん。みんないろいろあるけれど、あたたかいごはんを食べれば、きっと元気になれるはず。
寝坊で卒論を出しそこね、留年が決定した海平。片見里の実家に報告に戻ると、ばあちゃんからバイト代とともに頼まれた。「東京に出た同級生・中林継男を捜してくれ」と。一方、大学入学で片見里から上京してずっと一人で生きてきた、荒川区に住む継男。同郷の次郎から「オレオレ詐欺」の受け子の代役を頼まれ、老女の家を訪ねることに。-同じ片見里出身ということ以外、接点のなかった継男と海平が荒川で出会った。継男はある“ヤバい”ことを海平に依頼する。
悪魔の失敗が許されるのは3回まで!?ひとの運命は変えられないが、ちょっとした「調整」はできる。調整に値すると判断された人のもとへ天使が、あるいは悪魔が急行するのだ。彼らの仕事によって見知らぬ隣人たちの運命が背後で接近し、作用しあい、思いがけぬ物語と織りなされていくー。著者ベストセラー『ひと』とはひと味ちがった魅力、ファンタスティックストーリー!運命の裏事情、教えます。
最高の出来事も、最悪の思い出も。生まれるのも、壊されるのも。人生の分かれ道は、たいてい夜に姿を見せる。ボクサー、タクシー運転手、警察官、高校教師。その夜、四人の男女は、闇に侵されたー。人間の強さと弱さを繊細な視線で見つめ、生まれた、忘れられない物語。
作家の横尾成吾はここ数年、鳴かず飛ばずの状態が続いていた。50を前にそろそろ出版社から声がかからなくなるのでは、との不安を感じていた矢先、担当編集者からボツを食らわされ、不安に拍車がかかる。書くことを何よりも優先し、ずっと一人で生きてきた横尾。大学からの友人・弓子の思わぬ告白もあり、今後の自分の身の振り方を考えはじめる。一方、横尾の新しい担当になった井草菜種は、これまでヒット作を出したことがなく、もう後はないと気は焦るばかり。菜種は、自身同様長く停滞中の横尾と本気で向き合いはじめるー。
同級生の長野くんに誘われて野球観戦に来た愛里。二人の前には大声でヤジを飛ばす男がいて…。(「梅雨明けヤジオ」)。バンドでリードギターを降格された悠太が初デートで訪れたのは“ツリー”ではなく“タワー”だった。(「逆にタワー」)。思いもよらない偶然を重ねて出会った駿作と那美は、その時が来るのを待つ。(「君を待つ」)。ほか、全10編。
突然の事故で妻が死んだ。わずかな繋がりを求め、妻の携帯電話のロックを解こうと「0000」から打ち込む俊英。ついに解いて目にしたのは、事故当日に妻と“8”という男が交わしたメールだった。彼女の足跡を辿るうち、怒りや哀しみとは別の感情が頭をもたげー。残された夫は再起できるのか。感動が胸を満たす物語。
46歳の下田保幸は、プロのジャズクラリネット奏者。演奏に全てを捧げた若い日の情熱は潮が引くように褪せ、いまは音楽教室講師の僅かな収入で過ごす。そんな暮らしがギタリストの青年・音矢との出会いで動き出す。どうしても困ったら下田を頼るよう、亡き母に言われたという音矢の名字は佐久間。下田が昔愛した女性と同じだった…。人生の折返し点で迷う大人たちの心をはげます感動作。