著者 : 山本光伸
元国務省特殊部隊員ジャンソンは見知らぬ女性から、命の恩人であるピーター・ノバックの救出を懇請される。ノバックはインド洋に浮かぶアヌラ共和国でイスラム過激派に捕らえられ、死刑を宣告された平和活動家である。ジャンソンはかつての部下を召集し急遽、アヌラへと飛んだ。一方、ワシントンでは5人の政府高官が“メービウス計画”を検討していた。巨匠の遺作、ついに登場。
ジャンソンらによる救出作戦は成功間際で悪夢と化した。その後ジャンソンは再三にわたって、命を狙われる。誰に、そしてなぜ狙われているのかー彼はただ逃げ惑う。そんな折、彼はジェシカというスナイパーと接触。ノバックに関する驚くべき事実を知らされる。そして、“メービウス計画”に参加したメンバーは立て続けに謎の死を遂げていた。世界規模の陰謀が静かに動き始めていた。
3年間で100万ポンド稼いだ者だけに全ての遺産を譲る…。前代未聞の遺言により、熾烈な金儲けレースを始めた息子たち。だが事態は思わぬ方向へと展開してゆく。
莫大な遺産は一体誰の手に?骨肉の愛憎とむきだしの闘争の末、彼らがたどり着いた終着点は?欲望うずまく現代社会で、人間の真の幸せとは何か、を問いかける感動の後編。
ロシア・マフィアの超大物“クルパティン”がヒューストンにやってくるー。FBI特別捜査官のケイトはおとり捜査を命じられた。色仕掛けでクルパティンに近づき情報を入手しろというのだ。極めて危険な任務であるにもかかわらず、ケイトは同僚でもあった夫の死を乗り越えるために、任務を引き受けることを決意する。そして、彼女の腕には最新鋭の極小盗聴器が埋め込まれた…。情事のベッドは血塗られた。美貌のロシア女性は淡々と男たちを闇に葬っていく。
クルパティンのかわりにヒューストンにやってきた女性の美しさに一同は息を呑んだ。イリーナというこの美女はクルパティンの愛人だった。ケイトはイリーナへの接近を試みる。しかし彼女はただの愛人ではなかった。ケイトはイリーナの信用を得る一方で、彼女の殺し屋としての才能を目の当たりにし戦慄を覚える。が、次第に彼女を愛するようになる。イリーナの決死の計画を知らずに…。完全無欠の暗殺者にFBI女性捜査官が仕掛けた罠…女と女、命懸けの心理戦。
愛と憎しみ、友情と裏切り、そしてジャズのもの悲しい調べ。男の双眸に宿る暗い陰は…。過去を背負って生きる男たちの世界を、哀愁に満ちたタッチで見事に描ききった、「泣かせる」アメリカ人情物語!-名手の短編集をアメリカに先駆け世界初出版!MWA最優秀短編賞受賞作を含めた珠玉の10編を収録。
自己中心的な上司、男と駆け落ちした妻…。くすぶっているヒューストン市警犯罪情報課警部マーカス・グレイバーのもとに、部下の自殺というやっかいな事件が舞い込んだ。そして、極秘の内部調査により捜査線上に浮かび上がったのは、意外にも彼が最も信頼していた腹心の背信行為だったー。
盗聴、盗撮、カーチェイス…。最新の装備と最高の技術を駆使した調査により、恐るべき情報犯罪の全貌が姿を現した。謎に包まれた黒幕、バノス・カラティスに迫るべく、グレイバーは周到に組織化された策謀の糸を辿っていく。はたして仲間らと共にグレイバーは事件の最終幕に立った。しかし、全てのシナリオは…。警察内部をも巻き込んだ空前の犯罪計画は思いも寄らぬ結末を迎える。
白昼のロンドンを襲ったIRAの爆弾テロが、歴史さえ揺るがしかねない陰謀を浮かび上がらせた。爆破現場から偶然に発見された書類から、某国による要人暗殺計画が進行中であることが判明したのだ。書類によれば、暗殺の実行にあたるのは旧東ドイツの「シュタージ」。恐るべき計画力と実行力を持ちながら、いまや壊滅したと信じられていた秘密情報組織だ。しかも暗殺の実行者は人間ではなく、標的をコンピューター制御で認識する自動狙撃装置だという。となれば、詳細な情報がなければ、対策さえ立てられない。だが、この暗殺を計画しているのがどの国なのか、いったい誰が標的なのか、それさえもわからないのだ。唯一の手がかりは、シュタージの本拠地が北朝鮮にあるという情報のみ。かくして英国情報部MI5は、暗殺計画を阻止すべく、元特殊部隊兵からなる傭兵チームを北朝鮮に送り込むが。
ピットマンはかつて優秀な記者だった。息子の死の傷手から立ち直れず、酒に溺れていたが、危篤の報が入ったある人物の死亡記事を生涯で最後の仕事とし、その後は自殺しようと心に決めていた。その男は、アメリカの外交政策を陰で操る五人の「大顧問」のひとりで、元大物外交官だった。病院から拉致された男の居場所を突きとめた彼は、そこで一堂に会した「大顧問」の姿を目撃し、さらに病床に伏す男が発した謎の言葉を聞いてしまうが、あえなく見つかってしまい、命からがら逃げ出すことになる。翌朝のニュースを見た彼は愕然とした。例の男は殺害され、犯行の容疑者として、自分の名が報じられていたのだ。かくして、ピットマンは「大顧問」たちから追われる身となった。だが、逃避行の中途で助けを求めた看護婦ジルの優しい愛情に触れるうちに、一度は死を決意した彼の心に、今一度、生への強い欲望が湧きあがる。そして、男が残した謎の言葉を手がかりに、歴史の闇に葬られていた「大顧問」の恐るべき過去が明らかになった時、決死の反撃の火ぶたが切って落とされた…。
ヘイドンのもとに青年時代の父を描いた絵の写真が屈いた。緑の瞳の美女の写真が続き、不審な写真が次々に送られてきた。そして最後にヘイドン自身の写真がー前日に撮られたもので、頭に銃弾を受けた様が書き加えてある。一体誰が、なぜ。一方、私立探偵スウェインの惨殺死体が見つかった。なぜか彼の部屋にはヘイドンの写真が…。秀逸な洞察力と精緻な背景描写の大作。
ヒューストン警察のヘイドン刑事はリーナを行方を追っていた。両親の反対を押して、以前平和部隊員として赴任したグアテマラに戻った彼女は、そこで大きな犯罪組織に巻き込まれたらしい。両親に雇われて現地入りした私立探偵も、姿を消した。嘘と裏切りが横行する国で、リーナに何が起きたのか。必死に真実の断片を繋ぎ合わせるヘイドンの前に、リーナの意外な素顔が浮かび上がる。
孤独で美貌の天才テロリスト、バハラットが憎しみに目覚めたのは、目の前で両親が惨殺された時だった。以来彼女は、三つの顔を持つ暗殺者として、闇の組織「スコルピオ」の全面的支持を受け、“すべての権力者に死を”を目標に活動してきた。彼女は、妻を諜報活動の犠牲にし、海軍情報部を退職した傷心のホーソンに出会って、恋に落ちた。彼女の真実を知らぬ彼もまた…。
暗殺者と追手というおたがいの正体に気付いてもなお、二人の愛は消えなかった。テロリストたちの動きは活発になり、犠牲者が増えてゆく。ホーソンたちは各国情報部と協力して、必死に闇の組織を追う。バハラットは伯爵夫人になりすまして、社交界に入り込み、彼女の完璧な復讐計画はいよいよよ最終段階に入った。二人の対決は間近だ。帝王ラドラムの世界がたっぷり楽しめる力作。
偽の人格を演ずることを特技としてきた米陸軍工作員ブキャナン。深傷のため演技ができず、精神的に追いつめられた時に、かつて愛した女性が助けを求めてきた…ノンストップ・サスペンス巨篇。
クイン・パーカー・シリーズ第2作。サンフランシスコに住むクインはセラピストという名の無職。というのも、事故による“六桁”の補償金を株に投資して大儲けしたから。家族は猫のローラとインコのオスカー。つまり独身である。親友のハンク・ウィルキーは独演が宿願の売れないコメディアン。問題は家計と芸道の両立。そのハンクに弁護士から書類がとどいた。学生時代の尊敬する友人が死に、ジャマイカ島の浜辺の家とすばらしい景観の十五エーカの土地を遺贈するという。時価五十万ドル。その日暮らしのハンクには胆をつぶすような金額であり、夢のような話だ。さっそく弁護士に電話すると、麻薬取引きのこじれによる射殺が死因という。驚いたハンクは頼りになる友人クインに同行をたのみ、結局二人はカリブ海に飛ぶ。ところが現地についてみると、二人の周辺には不気味な影がただよい、夢は悪夢と化していくのだった。