著者 : 山本翔子
誕生日の夜、コルテスと名乗る黒髪の男性にひと目で惹かれ、純潔を捧げたエリン。だが翌朝、彼は消えていた。1年後、養父が亡くなり無一文になったエリンのもとに、コルテスが現れ、裕福なスペインの銀行家だと明かす。黒髪に黒い目、そして瞳には金色の斑点ー彼が消えたあと、必死に産み育ててきた息子ハリーと同じ。「あなたの子よ」溢れる想いとともに告げたエリンの言葉を、コルテスは信じないばかりか、彼女を金目当てと決めつけた。だが後日、DNA鑑定でハリーが我が子だと知るや彼は言った。「1000万ポンドで、息子の監護権を買いたい」
大切な書類を忘れるなんて、ボスらしくないわ。ルーカスの忠実な秘書エマは不思議に思いながら、吹雪のなか、ボスが滞在する古城へと車を走らせた。だが、そこにはアルコールに溺れる彼の姿があった。「すぐにここから出ていけ」罵声を浴びて胸騒ぎを覚えた。そういえば、去年の同じ日もボスはオフィスで泥酔して…。これは偶然なの?それとも何か理由があってのこと?エマは放っておけなくなり、彼に付き添うことに決めた。ボスと秘書ーその一線を越えることになるとは夢にも思わず。
知らなかった、彼に婚約者がいたなんて…。ずっと憧れていたベンと結ばれ、幸せいっぱいで迎えた朝、リリーは彼が別の女性と婚約したという記事を読んで愕然とした。由緒ある領主館の跡取りベンと、使用人の娘のわたし。もともと叶わぬ恋だったのに…。リリーは彼がまだ眠っている間に、部屋から逃げだした。そして3年後。国外にいたリリーの前に、突然ベンが現れた。「ぼくたちの娘をほったらかしてバカンスか?」なぜ娘の存在を?父親の名前を誰にも告げずに産み育ててきたのに!まさか、わたしの最愛の娘を奪いに?リリーは恐怖に凍りついた。
「弟を破滅させた君と、僕は結婚しようと考えている」義兄クルスの蔑むような眼差しに、トリニティは凍りついた。2年前、スペイン大富豪クルスのメイドだったトリニティは、彼の弟リオから息子たちの世話をしてくれと頼まれた。母のない双子があまりにも哀れでリオと名ばかりの結婚をしたが、いま奔放な夫は急逝し、彼女が子供たちの後見人に指名された。クルスは信じているー悪女の私が弟をたぶらかして死なせたと!愛する双子を奪われたくない一心で、彼女はクルスの言葉に従った。乱れる胸の奥で、いまだにうずく彼への想いをもてあましながら。
亡父の借金のせいでギャングに追われているクレアは、女性の噂が絶えない大富豪デーヴの豪華クルーザーに逃げこみ、彼のキャビンのクローゼットに身を隠した。数時間後、眠りこんでしまったクレアは、激怒したデーヴに叩き起こされ、追いだされそうになって、涙ながらに懇願した。見捨てられたら、お金だけでなく命の危険もあるのだ、と。考えを巡らせたデーヴが持ちかけたのは契約結婚だった。「きみの安全は保障され、僕は放蕩者の汚名を返上できる」彼を愛さなければ問題ないはず。だがなぜかクレアの心は揺れた。
認知症を患う祖父の世話に明け暮れていた図書館司書のアナは、突如一大スキャンダルに巻きこまれ、警察へ連れていかれた。祖父は希代の詐欺師で、アナも容疑者の一人だという。だがなぜか急に帰宅を許され、外に出るとソレンが待っていた。美貌の大企業CEOで、昨日祖父の療養室で会ったばかりだった。「きみを助けたい。シチリアのぼくの家を隠れ家にすればいい」隠れる必要なんかないわ!祖父もわたしも無実なのだから。一度は断ったが、アナはマスコミに怯え、厚意にすがった。ソレンの美しいブルーの瞳に宿る、暗い陰に気づきもせずー。
ジョセリンは父に言われるがまま、金の瞳の美貌のイタリア富豪チェンツォと結婚した。そして彼の所有するシチリアの古城で衝撃的な話を聞かされる。「きみと結婚したのは、きみの父親に仕返しするためだ」夫はわたしを手籠めにするつもり?だが城に着いたその日に、チェンツォは石段を踏み外して頭を打ち、記憶喪失に陥る。これは天の恵みよ。ジョセリンはいたずら心から彼に告げた。「チェンツォ、あなたはわたしが雇った“召使い”なの」かくして、彼女と大富豪の花婿との奇妙な結婚生活は始まった。
アレクシスには、1年前から形だけの夫がいた。上司である弁護士クリストスの願いで契約結婚に応じたのだ。彼が祖父の財産を相続するための事務的な結婚だったが、二人はある夜、ふとしたきっかけで熱く体を重ねてしまう。互いに過ちと認めて結婚を続けることにするも、アレクシスは、あの情熱を忘れられないのは私だけなのかと苦しむ。そんな折、祖父に結婚が本物だと証明する必要に迫られる。祖父の前では熱々の夫婦を演じ、寝室ではよそよそしい夫が、ふいに彼女に言った。「この結婚を、本当のものにしないか?」
ある日猛烈な腹痛に襲われ、病院に運びこまれたジョージーは、そこで初めて妊娠していると知らされ、そのまま男児を産んだ。我が子と対面しても、彼女はただただ呆然とするばかりだった。毎日仕事漬けだった私に、こんな奇跡が起こるなんて…。だが、体調を崩し、会社から解雇されてしまったジョージーはたちまち困窮する。もう頼れるのはフィンしかいないーたった一度だけ熱い夜を共にした、この子の父親である大富豪。病み上がりの体で彼を捜しだし、すべてを打ち明けた彼女に、フィンは冷たく言い放った。「僕の子だって?ありえない」。
ある日裁判所から届いた召喚状を読み、貧しいマヤは驚愕した。借金をすぐに清算しなければ、家が没収されるという。両親の代理で出向いたマヤに、債権者の富豪ラッファエーレは、彫刻のように美しい顔で驚くべき解決策を持ちかける。「ぼくと結婚して後継ぎをもうければ、借金は棒引きにする」見知らぬ人と愛のない結婚をして子供を産むなんて、無理よ!でも断れば、障害のある弟をはじめ、一家は路頭に迷う…。悩んだ末、両親に高給の仕事が見つかったと嘘をつき、マヤは偽りの花嫁になるために、イタリアへと旅立った。大スター作家リン・グレアムが描く、胸に響く珠玉のシンデレラロマンス。一見、傲慢で冷酷に見えたヒーローの隠された優しさに気づき、しだいに心惹かれていくヒロイン。待望の妊娠がわかったとき、喜びと同時に悲しみも湧きあがり…。
ギリシア富豪ドラコンの突然の来訪に、ルーシーは驚いた。彼の別荘で夢のような3日間を楽しみ、純潔を捧げたものの、その後いっさいの連絡が途絶え、遊びだったと諦めていたのだ。「ぼくと結婚して、兄の遺児の母親になってくれないか」ルーシーは耳を疑った。なぜわたしなの?彼が求めているのは妻ではなく、無償の愛を注ぐナニーだった。その点、元助産師のルーシーはうってつけだという。愛のない結婚なんていや。でも家族を持つという夢は叶う…。病気で子を望めぬ体であることを隠し、彼女は求婚を受け入れた。
パーティで出会った男性ルークと夢のような一夜を共にした翌朝、ターリアは父の会社が破綻し、父本人も失踪したと知った。屋敷を追われ、病弱の母を連れてようやく別荘に身を寄せるが、そこもすでにギリシア富豪の手にわたっていた。しばらくの間でいい、ここで母をゆっくり休ませてあげたい。直談判するため、富豪を訪ねたターリアは仰天した。ルーク!まさか彼が父を破滅させた張本人だったなんて…。「2週間、僕と一緒にカリブに行くなら、別荘に住まわせてやる」あの夜とは別人のような冷たい要求に、彼女は頷くしかなかった。
愛に恵まれず、かつて路上生活をしていたナタリーは、里親の元にいる弟を引き取るため、必死にお金を貯める日々。そんなとき、知り合ったセクシーなイタリアのIT企業社長、マッシモ・ブルネッティに彼の恋人役を演じてほしいと言われる。破格の報酬額を聞いて、承諾したナタリーは、別世界のように豪奢で美しいコモ湖畔のマッシモの邸宅へいざなわれた。パーティ会場に集う人々の注目のなか、婚約者と紹介され、マッシモに熱く唇を奪われてしまうー彼にとっては遊びのキス。でもナタリーにとって、それは初めてのキスで…。
ある嵐の夜、苦学生のアリーは仕事で訪問した豪邸で、思いがけず初恋の人ドミニクと再会した。長年秘めてきた想いが溢れだし、アリーは誘惑されるまま純潔を捧げてしまうが、翌朝、すべては彼の計略だったと知る。「半年間ぼくと結婚してほしい。仕事上、“妻”が必要なんだ」学費は肩代わりしてくれるという。何より、短い間だけれど、ドミニクと一緒に過ごせるー愚かにも、アリーはうなずいた。数日後、簡素な式が執り行われ、新婚生活が始まるが、あの甘い一夜が嘘のようにドミニクは冷淡になって…。
シングルマザーのクリスティンは、これ以上ないほど困窮していた。働きづめのせいで、3歳の息子ニコから笑顔も消えてしまった。もうどうしようもない。私のプライドなど捨てて、ニコの父親に会いに行き、あなたには息子がいると伝えよう。かつての恋人、シチリアの大富豪セルジオは子どもを望まなかったが、すこしの間だけでもいい、息子への援助をお願いしなければ…。けれどそう決意した矢先、新聞でセルジオが婚約間近だと知る。いてもたってもいられず、彼女は婚約発表のパーティ会場に駆けつけた。彼は伯爵令嬢と結婚しようとしているー息子の存在も知らないまま。クリスティンは、思わずセルジオに駆け寄っていた。
イギリスの片田舎でひっそりと暮らすジャスミンのもとに、かつて恋仲にあった砂漠の王子ズハールが突然現れた。2年前、身分違いを理由に私を追い払った人が今さらなぜ?訝りながらも、秘密を抱えている彼女は内心びくびくしていた。そのときだ。奥で赤ん坊ーズハールの息子が泣きだしたのは。ジャスミンを愛人のように弄ぶつもりだった彼は驚き、妊娠も、出産していたことも知らせなかったと激高する。「この子は王家の血を引き王子として、我が国で育てる」息子を奪わないで!ジャスミンは狼狽し、許しを乞うが…。
空虚な船上パーティーの翌朝、頭痛に苦しむアリアンナの前に驚くほど傲慢でセクシーなイタリア人男性が現れた。「ぼくはサンティノ・ヴァザーリ。あなたの新しい護衛です」また父が、厄介者の愚かな娘の監視役を雇ったのねーようやく父の愛を諦め、自立への一歩を踏み出したところなのに。アリアンナは辟易したが、誘拐されかけたところを助けられ、シチリアに逃れて寝食を共にするうち、サンティノに恋心を抱く。だが、そのときのアリアンナには知るよしもなかった。彼が人を愛することなどできない、冷徹な大富豪だということを。
清掃員をして糊口をしのいでいた天涯孤独のマディは、顔も知らない祖父からつぶれかけの百貨店を相続した。なんとか経営を立て直せないかと店内を視察していたある日、店を訪れた大富豪レオの誘惑に負け、夢のような一夜を過ごす。レオはバックパッカー、マディは店員だと互いを誤解したまま。だがマディの素姓を知ると、彼は冷徹に言い放った。きみの一族を許すことはできない、百貨店はつぶすつもりだと。マディは深く傷つきながらも再建に向けて独り奮闘しはじめた。お腹のなかで彼の子供が育っているとは夢にも思わずに。
仕事で異国を訪れたアビーは、突如現れた盗賊団にさらわれた。砂漠の真ん中で服を裂かれ、絶体絶命のピンチに陥る。口々に喚く男たち。どうやら競りにかけられているらしい。万事休すと諦めかけたとき、麗しい馬が駆けこんできた。馬上には長衣姿の世にも美しい男性が。ザインと名乗る彼が現れてすぐに、アビーは解放された。この人は何者?どうやって盗賊と話をつけたの?10カ月後、突然呼び出された彼女は驚愕の事実を告げられる。ザインは一国の王位継承者で、あなたは彼の妻なのだ、と。