著者 : 山村美紗
二十年前に発生した殺人事件の真犯人と名乗る男が現れた。だが、当時捕まった男は十五年の刑期を終えて出所している。調査を進める弁護士の元には、冤罪の証拠が続々積み上がる(「殺意のまつり」)。どんでん返しの連続に巧緻なトリック。「女王」の片鱗をすでに発揮した初期傑作が一堂に!
竜飛の海に浮かぶ死体…。京都の出版社の取材記者片山由美は、カメラマンの野木と青森県の竜飛岬に行き、民宿に泊まった。老夫婦や兄妹、不倫関係など様々な五組のカップルと一人旅の女性が同宿。翌朝、海岸で女性の溺死体が発見された。頭にある打撲傷から殺人の疑いが。
ともに恋人を失った友人同士、夏子と冬子は退社して、京都でスナックを開店することに決めた。その準備のために整形し、大阪のスナックに勤め始めた二人は、スポンサーの存在が必要不可欠と実感する。ほどなく、夏子は輸入花扱業者の男をつかまえ、冬子は病院長の夕山とホテルへ。しかし、夕山は、そのホテルで毒物死してしまった!殺人事件で翻弄される女の友情と愛の遍歴を描く、会心の長篇本格推理。
ある昼さがり、明子が受けた一本の電話。高校時代の級友、夕子からだ。ところが春のクラス会の予定を告げた後、彼女の「あーっ」という悲鳴をのこし、電話は一方的に切れてしまう。ほどなく自宅の電話機の前で、絞殺死体となった発見された夕子。事件の渦に、否も応もなく巻き込まれた形の明子だったが…。待ちかまえる四つの怪事件に、「葬儀屋探偵」明子の推理が光る、爽快活躍篇。
野田朝子は、故郷・京都のホテルで不実な恋人と別れ話をした後、久しぶりに妹の夕子と会う約束をしていた。しかし男への未練から約束の時間に大幅に遅れてしまう。姉を待っていた夕子は、マリと名乗る女性と男三人にレイプされ、それを苦に自殺してしまった。復讐を誓った朝子は、マリがクラブ「ファジイ」のホステスらしいことをつかみ、店で働き始める。が、そこには三人のマリがいた!長篇本格推理。
京南大学大藤教授邸の新年パーティで惨劇が起きた。殺されたのは、現代の“和泉式部”と称される野川いずみ。同席した“清少納言”藤原彰子、“紫式部”嵯峨紫とともに助教授の椅子を争っていた。さらに同大学の有力教授が密室内で毒殺…。大学の人事をめぐる暗闘が、連続殺人の動機。『枕草子』を手に、キャサリンと浜口一郎の名コンビの、華麗な推理が冴える。
交通事故で亡くなった父の跡を継ぎ、京都の葬儀社をきりもりする女社長石原明子。ある日、テレビ出演も多い著名な大学教授から葬儀の依頼を受けた。夫人が急死したという。完璧な死亡診断書も添えられていた。でも…。明子の抱いたかすかな不審が、やがて遺族の意外な舞台裏を照らしだしてゆく表題作ほか、華麗なアリバイ崩しで死者を葬う〈葬儀屋探偵〉明子、颯爽デビューの3篇。
フィリピンの有力な貿易商が京都清水寺で刺殺された。ガイド・森麻子の一瞬の隙を狙っての犯行だった。麻子の夫・一郎は、特ダネをものにして名声を得たいと焦っているルポライター。友人のライター・石川利一の協力を得て事件の取材に乗り出す。一方、京都府警・狩矢警部の捜査が始ったやさき、石川と、前年に商社員の夫を事故でなくした野村亜矢子の死体が哲学の道で発見される…。長篇本格推理。
商用でソウルに飛んだ野上は機中で美女と知り合う。彼女の助けで商談も順調に進み、有頂天の野上は地元の女性と一夜を共にする。だが翌日、その女性が惨殺され、野上は殺人容疑で連行された。一夜を境に天国と地獄。野上は罠にはめられたのか?また紫水晶にからむ秘密とは?愛の悲劇を描く推理傑作集。
美人アナウンサー細川知子は不倫相手の杉正彦とデート中、杉の妻が何者かに殺される。あわてた二人は死体をひそかに琵琶湖畔に埋めるが、まもなく、「犯行を目撃した。500万用意せよ!」の脅迫状が…。甘い生活から一転、苛酷な運命に翻弄される知子。衝撃のドンデン返しを秘めた、魅惑的長編推理。
令嬢探偵キャサリンは恋人の浜口とシンガポールに行く。そのツアーは新婚や不倫のカップルでいっぱい。不吉な予感のなか、二日目に新婚の沖田しのぶが浜で溺死体に。彼女は莫大な遺産を相続した直後だった。犯罪の匂いをかぐキャサリンは調べ始める。シンガポール、バンコク、香港を舞台の華麗海外推理集。
京都の同じ大学を卒業した友達数人と、山陽路を旅することになった中川美帆。旧交を温める楽しい旅になるはずだったが、倉敷での最初の夜に友人の1人、小笠原由紀が変死体で発見された。通夜に出るため京都に泊った翌朝、今度は武村明が変死。いったい誰が何のために。青春の日の愛憎が交錯する悪夢の旅。
ソウルへ向かう機中で、29歳の野上陽介は麻里子という美しき人と知りあい、彼女のおかげで商談も成立寸前までこぎつけた。しかし一夜をともにした女性が翌日惨殺体で発見され、野上は殺人容疑で捕まってしまう。異邦の地に張りめぐられさた罠、紫水晶に秘められた意外な事実。愛そして殺意、傑作推理集。
恋人を京都駅に見送りに来ていて知り合ったOLふたり。麻子は結婚を切望してその資金作りに躍起。そしてまゆみは不倫の恋の相手と別れ話の最中にある。お互い順調に進まぬ恋に悩みながら株に走るが、やがて奇怪な殺人事件が相次ぎ、ふたりは疑惑の渦中に…。株ブームと推理を融合させた好長編。
珍らしい姓をもつ人物が、続けざまに殺される。その舞台は津和野、高山、土佐中村、そして角館ーいずれも風光明媚な“小京都”とよばれる観光地である。そして事件ごとに見えかくれする、ナゾめいた女性の存在。名探偵キャサリンが小京都を探訪しながら意外な真相に肉迫する、会心長編。
若い女性の間でブームの古代裂れ-織物業界の5人の実力者、大山紫舟、細川幻花、沢泉、堀内秀、浅井次郎はルーツを求めてバリ島へ…。古代裂れに熱中しているキャサリンも恋人浜口一郎と同行した。ところが、異国情緒にひたる間もなく、幻花がバリ織りのスカーフで絞殺された。つづいて、ケチャックダンスを観賞中、第二の殺人。さらに、予定を繰り上げ京都に戻った一行に第三の惨劇が起こる!欲望、嫉妬、複雑な人間関係うずまく特異な世界での事件が意味するものは?神秘の島バリ島と京都を結ぶ連続殺人-名探偵キャサリンが密室トリックに挑んだ本格長編推理の傑作。