著者 : 山田風太郎
ついに天下を取り、お市の忘れ形見・ちゃちゃ姫を手に入れた秀吉。彼女を籠絡すべく、秀吉は男女の秘戯を見せつける。老醜な権力者のあらん限りの欲望が明らかとなり…! 英雄・秀吉の真の姿を暴く山風版・太閤記。
時は寛永9年。三代家光の治世である。大老土井大炊頭の近習・椎ノ葉刀馬は、御公儀忍び組に関する秘命を受ける。伊賀・甲賀・根来の代表選手を査察し、最も優れた組を選抜せよというのだ。妖艶奇怪この上ない忍法に圧倒されながらも、任務を果たす刀馬。全ては滞りなく決まったかに見えたが…それは駿河大納言をも巻き込んだ壮絶な隠密合戦の幕開けだった。卍と咲く忍びの徒花。その陰で描かれていた戦慄の絵図とは…。公儀という権力組織を鮮烈に描いた名作。
八犬士の活躍150年後の世界。里見家に代々伝わる八顆の珠がすり替えられた! 珠を追う八犬士の子孫たちに立ちはだかるは服部半蔵指揮下の伊賀女忍者。果たして彼らは珠を取り戻し、村雨姫を守れるのか!?
明治15年。年々文明開化の華やかさを増す東京を行く1台の古ぼけた辻馬車があった。それを駆るは元会津同心の干潟干兵衛。孫娘のお雛を馭者台の横に乗せて走る姿が話題を呼び、日々さまざまな人物が去来していく。ある日2人は車会党の恨みを買い、壮士らに取り囲まれてしまう。危機に晒されたお雛が「父!」と助けを叫ぶと、なんと無人の辻馬車が音もなく動き出した!そして現れたのは…?山風明治ロマネスクの最高傑作。
危機に陥ったとき、お雛が呼ぶと現れる干兵衛の息子・蔵太郎と妻・お宵の幽霊。2人に助けられながら、干兵衛はいつしか自由党壮士と明治政府の暗闘に巻き込まれていた。お雛との平穏な生活を望みつつも、会津藩士だった頃の自分を自由党壮士の姿に重ねて心揺れる干兵衛。そんな中“赤い盟約書”を巡って事態は急展開する!最後に干兵衛が選び取る運命とは…。激動する時代の波に翻弄される人々の悲喜を謳い上げた大傑作。
戦国擾乱の世。主君筋の御台、右京太夫に邪恋を抱いた梟雄・松永弾正は、幻術師・果心居士配下の根来鴉天狗に美女狩りを命じる。美女の愛液からなる強力な媚薬、“淫石”を作らせ、篭絡しようというのだ。その毒牙に掛かったのは、伊賀忍者・笛吹城太郎の妻、篝火。死してなお犯され、弾正の愛人と首をすげ替えられたと知った城太郎は復讐を誓い、一人苛烈な闘いを七鴉天狗に挑んでゆくが…。奇想極まる山風忍法帖の代表作。
中学生の島崎八郎には、奇妙な卒倒ぐせがある。あらゆる“揺れるもの”に悪寒を催す「ブランコ恐怖症」なる持病のせいだ。またもや卒倒したある日、八郎は亡き母の面影を重ねる黒羽根先生に助けられ、家に帰り着く。その夜、ふと眼醒めた時に聞こえてきた、先生と父の話し声。八郎の強迫観念に隠された、哀しくも戦慄すべき過去が明かされてゆく…(表題作より)。山風推理小説の幅広さを堪能できる、贅沢なミステリ傑作集。
”誰カガ罰セラレネバナラヌ”--ある死刑囚が残した言葉が波紋となり、静かな狂気を育んでゆく。戦争が生んだ突飛な殺意と完璧な殺人。戦争を経験した山田風太郎だからこそ書けた奇跡の傑作ミステリ!
初代警視総監川路利良を先頭に近代化を進める警視庁と、元江戸南町奉行たちとの知恵と力を駆使した対決。綺羅星のごとき明治の俊傑らが銀座の煉瓦街を駆けめぐる。風太郎明治小説の代表作。
400年来の宿敵として対立してきた伊賀と甲賀の忍者たちが、秘術の限りを尽くして繰り広げる地獄絵巻。壮絶な死闘の果てに漂う哀しい慕情とは……風太郎忍法帖の記念碑的作品!
性的倒錯の極致がミステリーとして昇華された初期短編の傑作「虚像淫楽」。「眼中の悪魔」とあわせて探偵作家クラブ賞を受賞した表題作を軸に、傑作ミステリ短編を集めた決定版。
苦界に生きた女たちの悲哀を描く時代小説アンソロジー。隆慶一郎、平岩弓枝、宇江佐真理、杉本章子、南原幹雄、山田風太郎、藤沢周平、松井今朝子の名手8人による豪華共演。縄田一男による編、解説で贈る。
「ニンジャ」の技は世界に通ず。大老井伊直弼の密命を受け、遣米使節団の一員としてアメリカに渡る元お庭番、村垣淡路守の活躍を描く気宇壮大な表題作、東京オリンピックを忍者の闘いに見立てた「忍法金メダル作戦」(文庫初収録)を含む全七篇。
時は享保年間、信州松本城で秘伝の忍法を披露した筑摩組の忍びの者二人。松本城主戸田家の姫君の密命を受け二人は勇躍して出かけるのだが…表題作を含む全八篇の傑作忍法帖。
『家康はふしぎな人だ。…この人に果して父性愛があったかどうかということである』家康の密命を受け、豪快にして凶暴なその六男松平忠輝を倒すべく秘術を尽す伊賀のくの一とその房術指南役雪ノ外記の闘いを描く「倒の忍法帖」他、多彩な忍法万華鏡全七篇。
信長の妹・お市の方に魅入られた藤吉郎は、「天下もとるが、女もとる」とばかり、出世の野望に燃えた。半兵衛と官兵衛という参謀を得て、巧みな弁舌と憎めない面相で正体を隠しながら、冷徹な権謀術数でライバルを蹴落とす。「本能寺の変」すら、天下をとるために仕組んだ筋書きだった。風太郎版・異色歴史小説。
会津四十万石の加藤明成は淫虐の魔王ともいうべき大名。家老の堀主人はたびたび諌言したが、ついに主家を見限って退転し、一族の女三十人を鎌倉の東慶寺に託し、高野山に入るが・・・。
柳生十兵衛の援護により、かよわい女達が会津七本槍の四人までを討ち果たした。男心をそそる豊満な肉体を敵前にさらし、一瞬の油断を誘って敵を討つ、みごとな“女人殺法”が繰り出される。江戸から本拠地会津へ逃げ帰る加藤明成ら暗殺集団。慈僧沢庵をともない、敵陣に乗り込む堀一族の七人の美女と柳生十兵衛。だが、そのゆくてには、驚天動地の地獄の幻法「夢山彦」が…。『魔界転生』と並んで風太郎忍法帖の二大雄編と称される傑作長編。