著者 : 平岩弓枝
一日中稽古事に追われている大店和泉屋の娘にとって、湯屋での長居が息抜きだったが、土用の桃の湯でにぎわう大黒湯で、同心が刺殺される。八丁堀七不思議の一つ、“女湯の刀掛”が生んだ悲劇を描く表題作ほか、「ひゆたらり」「びいどろ正月」など全八篇。大川端の御宿『かわせみ』の面々による、大好評江戸人情捕物帳シリーズ。
講武所教授方と軍艦操練所通いの新生活に入った神林東吾は、操練所で知り合った青年に相談を持ちかけられる。大名家の御後室が恋文を盗まれ脅されているという。指定された場所に、東吾は青年の身代りで出向く。他にるいと東吾が晴れて夫婦となる「祝言」など七篇を収録。大川端の旅館『かわせみ』の面々がおくる人情捕物帳。
ふらりと橋の袂から出て来た若い娘は数日間の記憶を失っていた。名主の娘、水油問屋の娘、煙草問屋の女房、筆屋の娘と神田界隈で神かくしが続出するが、これは事件か、色恋の辻褄あわせか。表題作ほか「梅若塚に雨が降る」「みずすまし」など粒ぞろいの七篇を収録。大川端の旅篭『かわせみ』を舞台に繰り広げられる人情捕物帳。
花火見物に東吾と深川へやってきた麻太郎と源太郎は、腹をすかせた幼い姉弟を目にし、たまらず大福餅を買って貰い、すすめる。姉弟はどうも身内から折檻を受けているようで、気にかかって仕方ない。「かわせみ」次世代の子供たちの成長が頼もしく微笑ましい表題作ほか、全七篇を収録。江戸の風物詩もゆたかな不朽の人気シリーズ。
江戸市中では押込みが続発していた。そんな折、三味線流しおきんの結び文が『かわせみ』へ届けられ、解決の糸口となる。表題作他、大名家の姫君の江戸見物を描いた名品「岸和田の姫」など七篇を収録。大川端の旅篭『かわせみ』の女主人るいと恋人の東吾、八丁堀同心・畝源三郎の名トリオがおくる人情捕物帳シリーズ、新装版第十二弾。
二十六日の月の出を待ち、一句ひねろうと、同好の士と目白不動へ出かけた俳諧師が川に浮かぶ。傍らに半紙にしたためた不出来な句が残っていた…表題作ほか、「牡丹屋敷の人々」「源三郎子守歌」「虫の音」など全八篇。大川端の旅篭を舞台に、女主人のるいと恋人・神林東吾、親友の八丁堀同心・畝源三郎たちが繰り広げる人情捕物帳。
浅草寺の境内で娘が晴着を切られ、怪我をした。数日後、一緒に閻魔まいりに行った堀留小町といわれるほど器量良しの娘が殺される。表題作ほか、東吾の親友で、八丁堀同心の畝源三郎がめでたく祝言を迎えるまでの騒動を描いた人気作品「源三郎祝言」も含め全八篇。新たな登場人物も加わり、ますます好調のシリーズの新装版第十弾。
兄・神林通之進の使で、旗本・青江但馬の別宅、根岸の白萩屋敷に出かけた東吾は、萩の精のような佇まいの女主人に出会う。が、その美しい顔には、むごたらしい火傷の痕が…。読者アンケートの人気投票でも堂々トップを飾った表題作ほか、天野宗太郎が初登場する「美男の医者」など全八篇を収録。人気シリーズの新装版第八弾。
小川のほとりで酸漿を鳴らす娘は別れた母を探していた…表題作ほか、御三家の水戸様の屋敷に賊が入ったという噂がたち、大名家の事件に町方は手が出せないが、源三郎と東吾が密かに探索を始める「能役者、清大夫」など全六篇を収録。るいと東吾の色模様もしっとりと、江戸情緒豊かな異色の人気捕物帳シリーズ新装版第七弾。
伊丹の新酒を積んで江戸に向かったはずの新酒番船が消息を絶った。その船頭の息子と知り合った「かわせみ」の面々が心配するなか、父親の船頭が生還したとの知らせが。安心したのもつかの間、船頭は、再び海に挑む…。表題作ほか、全七篇を収録。美しい江戸の四季を背景に、人間模様を情緒豊かに描き出す不朽の人気シリーズ。
本所で“狐の嫁入り”騒ぎが頻々とおきている。花嫁行列の駕篭が宙に浮いて、青白い狐火が飛ぶのだとか。捨ててはおけぬと、同心・畝源三郎と神林東吾が真相究明に乗り出した。かわせみの女主人・るいも一役買って…表題作ほか「千鳥が啼いた」など全六篇を収録。江戸の四季、風物、人情を織り込んだ人気シリーズ新装版第六弾。
「世の中には馬鹿な奴が居りますもんで」と、一杯入った長寿庵の長助が始めたのは、幽霊が殺されたという話。不審に思った東吾と同心・源三郎が調べると、思わぬ事件に行き当たる…。表題作ほか、「源三郎の恋」など人気作品、全七篇を収録した捕物帳。活字が大きく読みやすくなって、大好評の「御宿かわせみ」シリーズ新装版です。
品川の廻船問屋に押し込みが入り、乳母の看病にきていた娘の証言で盗賊はお縄に。が、賊が島抜けし、娘は「かわせみ」に預けられることに…。表題作ほか、旅篭の女主人るいに恋人の東吾、あてられっぱなしの同心・源三郎、二人の仲を見守る与力の兄夫婦ーお馴染みの登場人物が活躍する全八篇を収録。シリーズの新装版第四弾。
都に異変が起こる。ものみな凍りつき、春が来ない。根の国の主、無明王の仕業らしい。これまで道長を助けてきた、超能力を持つ少年楽師真比呂も、無明王に捕らわれてしまった。そこで道長は海を渡る。変身する白馬にまたがり、猫の化身を供につれて、妖怪どもと対決するために。好評「平安妖異伝」シリーズ、待望の新作長篇。
富岡八幡宮恒例の牡丹市で持ち上がった時ならぬ騒動。一位となった高貴にして優美な「白貴人」は自分が作った花だと、男がケチをつけてきた。果して花はすり替えられたのか?表題作ほか、「江戸の蚊帳売り」「水売り文三」「あちゃという娘」など全八篇を収録。水仙、梅、椿に萩と江戸の花々を背景に、「かわせみ」は今日も繁盛。