著者 : 恩田陸
2次予選での課題曲「春と修羅」。 この現代曲をどう弾くかが3次予選に進めるか否かの分かれ道だった。 マサルの演奏は素晴らしかった。 が、明石は自分の「春と修羅」に自信を持ち、勝算を感じていた……。 12人が残る3次(リサイタル形式)、6人しか選ばれない本選(オーケストラとの協奏曲)に勝ち進むのは誰か。 そして優勝を手にするのはーー。
耽美派小説の巨匠、重松時子が薬物死を遂げてから、四年。時子に縁の深い女たちが今年もうぐいす館に集まり、彼女を偲ぶ宴が催された。ライター絵里子、流行作家尚美、純文学作家つかさ、編集者えい子、出版プロダクション経営の静子。なごやかな会話は、謎のメッセージをきっかけに、告発と告白の嵐に飲み込まれてしまう。はたして時子の死は、自殺か、他殺かーー? 長篇心理ミステリー。
読みまどい、辿りつけ。きっとあるはずだ。竹林(と美女)の理想郷が。十人の人気作家による「美女と竹林」モチーフの新作短編集。
六月という半端な時期に夏流に転校してきたミチル。終業式の日、彼女は大きな鏡の中に、全身緑色をした不気味な「みどりおとこ」の影を見つける。逃げ出したミチルの手元には、呼ばれた子どもは必ず行かなければならない、夏の城ー夏流城での林間学校への招待状が残されていた。五人の少女との古城での共同生活。少女たちはなぜ城に招かれたのか?長く奇妙な夏が始まった。
色とりどりの恐怖をどうぞ召し上がれ。あのとき、目をそらしていたら。でも、もはや手遅れ。あなたはもとの世界には二度と戻れない。恐怖へ誘うのは、親切な顔をした隣人、奇妙な思い出を語り出す友人、おぞましい秘密を隠した恋人、身の毛もよだつ告白を始める旅の道連れ、そして、自分自身……。背筋が凍りつく怪談から、不思議と魅惑に満ちた奇譚まで。作家たちそれぞれの個性が妖しく溶け合った、戦慄のアンソロジー。
魅惑のウイルスを求め、世界中を飛び回る凄腕ウイルスハンター・神原恵弥。彼がこの度訪れたのは、東西文化の交差点であるT共和国。この国では、全身に黒い苔の生えた死体が見つかっていた。そして、気鋭の女性科学者が入国後に突如消息を絶つ。ふたつを結びつけるのは、想像の域を遥かに超えた、ある事実だったーー。
東日本大震災を経て、刻々と変貌していく“東京”を舞台にした戯曲『エピタフ東京』を書きあぐねている“筆者K”は、吸血鬼だと名乗る吉屋と出会う。彼は「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」と囁きかけるのだが…。スピンオフ小説「悪い春」を特別収録。
東京オリンピックからさらに十年後。仕事は、恋愛は、科学は、そしてこの国はどのように変わっているのだろう。空間を超えて他人と認知を共有できる新技術「RR」。意識上で集った三人が奇妙な事件に挑む「逍遙」(恩田陸)など八つの短編を収録。それぞれジャンルの異なる豪華作家陣が紡ぎだす、日本の明るい未来!
「館」の謎は終わらないーー。館に魅せられた作家たちが書き下ろす、色とりどりのミステリの未来! 奇怪な館、発生する殺人、生まれいづる謎、変幻自在のロジックーー! 読めば鳥肌間違いなし。謎は、ここにある。新本格30周年記念アンソロジー第三弾。 収録作品: はやみねかおる『思い出の館のショウシツ』 恩田 陸『麦の海に浮かぶ檻』 高田崇史『QED〜ortus〜 -鬼神の社ー』 綾崎 隼『時の館のエトワール』 白井智之『首無館の殺人』 井上真偽『囚人館の惨劇』 はやみねかおる 『思い出の館のショウシツ』 恩田 陸 『麦の海に浮かぶ檻』 高田崇史 『QED 〜ortus〜 ──鬼神の社──』 綾崎 隼 『時の館のエトワール』 白井智之 『首無館の殺人』 井上真偽 『囚人館の惨劇』
強力な特殊能力を持って生まれ、少年期を共に過ごした三人の“在色者”。彼らは別々の道を歩み、やがて途鎖の山中で再会する。ひとりは傭兵、ひとりは入国管理官、そしてもう一人は稀代の犯罪者となって。『夜の底は柔らかな幻』で凄絶な殺し合いを演じた男たちの過去が今、明らかになる。
小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。幽霊屋敷に魅了された人々の記憶が奏でる不穏な物語の数々。キッチンで殺しあった姉妹、少女の傍らで自殺した殺人鬼の美少年…。そして驚愕のラスト!
恩田ワールド全開のスペクタクル巨編! 国家権力の及ばぬ〈途鎖国〉。特殊能力を持つ在色者たちがこの地の山深く集うとき、創造と破壊、歓喜と惨劇の幕が切って落とされる!
復讐を胸に途鎖に入った実邦だが、前後して恩師の屋島風塵、入国管理官の葛城、葛城の旧友で快楽殺人者の青柳など、関係者がいっせいに闇月の山を目指しだした。犯罪者たちの頂点に君臨する神山ー実邦の元夫と、山奥に隠された“宝”を巡って、彼らの闘いが始まる。圧倒的スケールのエンターテインメント巨編。
アジアの西の果て、荒野に立つ直方体の白い建物。一度中に入ると、戻れない人間が数多くいるらしい。その「人間消失のルール」を解明すべくやってきた男たちは、何を知り得たのか?めくるめく幻想と恐怖に包まれる長編ミステリー。人間離れした記憶力を持ち、精悍な面差しで女言葉を繰り出す、魅惑のウイルスハンター・神原恵弥を生み出した、シリーズ第一作!
北国のH市を訪れた神原恵弥。不倫相手を追いかけていった双子の妹を連れ戻すという名目の裏に、外資製薬会社の名ウイルスハンターとして重大な目的があった。H市と関係があるらしい「クレオパトラ」と呼ばれるものの正体を掴むこと。人々の欲望を掻きたててきたそれは、存在自体が絶対の禁忌であったー。謎をめぐり、虚実交錯する世界が心をとらえて離さない、シリーズ第二作!
東日本大震災を経て、東京五輪へ。少しずつ変貌していく「東京」-。その東京を舞台にした戯曲「エピタフ東京」を書きあぐねている“筆者”は、ある日、自らを吸血鬼だと名乗る謎の人物・吉屋と出会う。吉屋は、筆者に「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」と囁きかけるのだが…。将門の首塚、天皇陵…東京の死者の痕跡をたどる筆者の日常が描かれる「piece」。徐々に完成に向かう戯曲の内容が明かされる作中作「エピタフ東京」。吉屋の視点から語られる「drawing」。三つの物語がたどり着く、その先にあるものとはー。これは、ファンタジーか?ドキュメンタリーか?「過去」「現在」「未来」…一体、いつの物語なのか。ジャンルを越境していく、恩田ワールドの真骨頂!!
夢の映像を記録した「夢札」、それを解析する「夢判断」を職業とする浩章のもとに、奇妙な依頼が舞い込む。各地の小学校で頻発する、集団白昼夢。浩章はパニックに陥った子供たちの面談に向かうが、一方で亡くなったはずの女の影に悩まされていた。日本で初めて予知夢を見ていると認められた、結衣子。災厄の夢を見た彼女はー。悪夢が現実に起こるのを、止めることはできるのか?戦慄と驚愕の新感覚サスペンス!