著者 : 早見俊
表の顔は小普請組旗本、裏の顔は御側衆の隠密。能登川清兵衛は、黒い噂の絶えぬ老中・京塚長門守を探り始める。京塚は、江戸を揺るがす大陰謀を企んでいるらしい。大下道場の心優しき門人・小暮と共に京塚の下屋敷に乗り込む清兵衛だが、そこには想像を超えた凶気が蠢いていた。江戸の平和を守るため、清兵衛は珍妙な道具を駆使し、人間以下の獣老中を成敗する!
密命を受け、佃島を公儀目付・鳥居耀蔵の謀略から守る用心棒となった立花左京介は、その物腰と口癖から「左様介」の綽名で親しまれている。ある日、佃島に記憶喪失の男が流れ着く。男は博識で、ある事件をきっかけに住吉神社で子供たちに手習いを教えることとなり、島の人人にも馴染んでいく。そんな中、鳥居の手先の臨時廻り同心・奥寺亀次郎は、懸賞金がかかっている盗人の捕縛を狙い、左京介にある取引を持ちかけるが…。
東京都西南地区にある雲雀ヶ丘市を舞台に、メタボなおやじ刑事・土田貫太郎と準キャリア・遠藤理香子が事件を追う。発端は連続植木鉢窃盗。その後、一億円を要求された犬の誘拐、女子大生失踪、下着泥棒、川辺で発見された女性溺死体、幼児誘拐…。次々と起こる事件に凸凹コンビが奔走、複雑怪奇な謎に迫る。ラストで明かされる意外な真実とはー。時代小説界の雄、初の現代ミステリー!
北町奉行所の凄腕筆頭同心・蔵間源之助は故あって「居眠り番」と揶揄される閑職に左遷された。同心の矜持を保つべく始めた「影御用」だが、町中の打物屋に雨宿りした折、火盗改の頭から内密の探索を依頼された。八日間に三人もの火盗改密偵が謎の死を遂げたが、その真相を探ってほしいというのである。そして…。「往生堀」という無法地帯が浮かんできた。
土井利勝の讒言により父家康の怒りを買い、諏訪に流された松平忠輝。奸計を隠蔽するため、利勝は忠輝を亡きものにしようと、柳生十兵衛を刺客として諏訪に送る。一方、幕府転覆を企む海賊一味も、忠輝の附家老だった大久保長安の隠し金を狙い、諏訪へ。はたして難敵相手に、天海の命を受けた大道寺菊千代率いる大江戸七人衆は、忠輝の身を守ることができるのか?書下ろし時代小説。
天保九年師走、大火に見舞われた佃島へ向かう渡し船に若侍立花左京介の姿があった。名主の娘・志津を助け、漁師になりたいと宣い、何を言われても「左様か」と受け流すこの若侍に島の面々がつけた綽名は左様介。佃島に災厄あるとき、必ず守護武者があらわれるとの言い伝えは本当なのか?公儀目付が暗躍、異国船の脅威にもさらされる佃島をとりまく謎と謀略と、あたたかな人情。傑作時代小説新シリーズ、スタート!!
小普請組旗本・能登川清兵衛は、義母と妻に頭が上がらない毎日だが、彼には探索・暗殺者という裏の顔があった。御側衆・上野久唯から持ち込まれたのは、権勢を誇る小納戸頭取・大原石堂の殺害依頼。石堂の周囲を探るうち、清兵衛は幾重にも巡らされた陰謀の匂いを嗅ぐ。小者の峰介が作った、珍妙で抜群に使える道具の数々を懐に潜ませ、清兵衛は敵陣に乗り込む!
育ての親を謎の忍者集団に殺された大道寺菊千代。鞍馬山から江戸に出て、将軍家光の懐刀である寛永寺の怪僧天海から、江戸の治安を守れと命ぜられる。甲賀のくのいち、火術遣いの少年、薙刀を操る荒法師、眉目秀麗な剣の達人、怪力の明人、雑賀党の流れを汲む鉄砲の名手ーひと癖もふた癖もある天下無双の面々を率いる、大道寺菊千代の活躍を描く、痛快無比の書下ろし時代小説。
忠義者と評判だった中間の助蔵が、剣客として名高い旗本の主人を斬殺し入牢してきた。どう見ても凡庸で剣も覚束ないこの男がなぜ、一体どうやってー真相究明に乗り出した大賀弥四郎は、生真面目ゆえに身を滅ぼした不器用な男の秘めた想いを汲み取って…。色や欲に溺れ、自らの罪を償い露と消えてゆく弱き人々に心を寄せ、不浄役人と蔑まれながらも日々の勤めを誠実にこなそうとする牢屋同心の奮闘を描く熱血時代小説!
破天荒な殿様に振り回されて多忙な諌早藩用人兼留守居役補佐の沢村涼之進。殿様の初のお国入りを前に、剣の師匠が襲われた。涼之進は師匠の出稽古先の剣術指南役が怪しいと睨んだのだがー。諫早藩を執拗に狙う老中・松林備前守、その懐刀で剣のライバル・仙石誠之助、領内を駆け巡る殿様と弟の不仲説…。これら難問を「やったるたい」と解決し、物語は大団円へ。文庫書下ろし。シリーズ完結編。
「お人好しのやっさん」と親しまれる牢屋同心・大賀弥四郎のもとに、亡き妻の面影を宿したお峰という女が亭主殺しの科で入獄してくる。御白洲での裁きは明後日ーお峰から意外な告白を聞いた弥四郎は独自の調査を始めるが、その親切が仇となり、事件は混迷を深めていく。そこには一介の按摩から上り詰めた大宮検校の存在もちらついて…。情にもろくて熱い同心の生きざまを描く大好評書き下ろし時代小説シリーズ第2弾!
天衣無縫な殿様・武芝政直、藩のお取り潰しを狙う老中・松林備前守、政直のもとに嫁いでくる中納言家の奔放な姫様・房江。あいも変わらず諌早藩の用人兼留守居役補佐・沢村涼之進の身近は慌しい。反政直派うごめくさ中のお国入りを前に、行列人足の顔役と大喧嘩になった涼之進。苦境に陥った彼の前に現れたのは、用心棒に落ちぶれた政直の旧友・宮部一之介だった…。文庫書下ろし。
北町奉行所に新任の奉行と共に大坂から赴任した内与力、淀川新十郎。もっさりした風貌と陽気な語り口だが、捕物は型破りだった。早速、最初の町廻りで強引に賭場へ踏み込み騒ぎを起こす。贋金の探索を続けるうち、たどりついた相手は大坂以来の因縁の両替商と大名だった。書下ろし時代小説、新シリーズ第一弾。
貧乏侍が用人兼留守居役補佐に大抜擢されてはや半年。諫早藩士・沢村涼之進は、藩主・政直の密命を受け、京に旅立った。政直の結婚相手・房江の実家である八坂中納言家には、幕府を揺るがす、大きな秘密があるらしい。到着早々、黒覆面の侍たちに襲われた涼之進。彼を救ったのは、諫早藩改易を狙う老中の懐刀・仙石誠之助だった…。風雲急を告げる、シリーズ第三弾。
浅草界隈で頻発する辻斬り。下手人が侍だとわかったため、町方は手を出せないのだが、新米の岡っ引である美代次の気持ちは収まらない。「侍がどうしたってんだ」-美代次は独断で夜回りを始めるも、また犠牲者が…。やがて、下手人が浮かび上がり、その旗本屋敷に一人乗り込んだ美代次だったが、そこには思いがけない事情が隠されていた。「二本十手捕物控」シリーズ第二弾。
体面ばかりの武家勤めに、不満を持っていた、美濃恵那藩士、朽木三四郎。神君家康公から、下賜された茶碗が割れていた事故の罪を負い、藩を離れ千住宿で寺子屋を始めた。宿場の縄暖簾「小春」の若き女将、おはるや娘おさとたちとの人情あふれる生活に、人生の喜びを見出してはいたが、兄から帰藩を勧められ心が揺れ動いていた。そんなある日、兄妹に父の仇と間違われ三四郎は斬りつけられる。がしかし、その境遇に同情し仇を探す手伝いを始めると、事件は意外な進展を見せる「仇討ち兄妹」。他全四編を収録。人気シリーズ第2弾。
「たとえどのような御方からの下され物であれ、茶碗は茶碗ではないか…」体面ばかりが重んじられる、武家勤めに不満を持っていた美濃恵那藩士朽木三四郎は、藩主、長山影綱の催した茶会で、神君徳川家康公から、下賜された茶碗が割れていた罪を自ら負い、藩を離れた。そして、日光街道、水戸街道への江戸から最初の宿場である。千住宿にやって来た。新たに寺子屋を始めた朽木は、縄暖簾『小春』のおはるや娘おさと、そこに集う岡っ引の治平、新吉親子らの人情あふれる市井での生活に、本当の人生を感じ始めていた。そんなある日、教え子が水死体となって発見されるという事件が起こった。
元盛岡藩南部家の剣術師範、十時平蔵。深川にある道場の主におさまっているが、藩から追われた苦い過去があった。困った人を見ると、せっこ(お節介)を焼かずにはいられない平蔵は、今日も他人の恋路に首を突っ込み、上覧試合の手ほどきをし、花のお江戸を東奔西走する。中西派一刀流の秘技「おぼろ返し」を揮う剣の達人でもある心優しき道場主と、平蔵を取り巻く人々がおりなす、下町人情あふれる時代活劇。