著者 : 月村了衛
より多くの金をつかんだ者が京都を制するーー最後に嗤うのは仏か鬼か。日本仏教の最大宗派・燈念寺派で弱者の救済を志す若き僧侶・志方凌玄。バブル期の京都を支配していたのは、暴力団、フィクサー、財界重鎮に市役所職員……古都の金脈に群がる魑魅魍魎だった。腐敗した燈念寺派を正道に戻すため、あえて悪に身を投じる凌玄だが、金にまみれた求道の果てに待っていたのはーー。圧巻の社会派巨編。
ある医大が入試の採点過程で女子の点数を意図的に下げているー衝撃的な「噂」を耳にした新聞記者の桧葉菊乃は独自の調査を始め、理事の神林晴海に目をつける。巧みに追及を躱す神林だが、突破口はそこにしかないと考え、桧葉は何度となく攻め立てる。男性優位の社会で、共に無数の理不尽に直面してきた二人。それでも敵対せざるをえない彼女たちの闘いの行方は…。
児童養護施設で育った元不良の翔太は、地元の先輩の誘いで「カタラ」という会員制バーの従業員になる。ここは言葉巧みに女性を騙し、借金まみれにしたのち、風俗に落とすことが目的の半グレが経営する店だった。“マニュアル”に沿って女たちを騙していく翔太に有名私大に通いながら“学び”のためにカタラで働く海斗が声をかける。「俺たち一緒にやらないか…」。
香港でデモを扇動、さらに助手を殺害して日本に逃亡したキャサリン・ユー元教授。彼女を逮捕すべく捜査にあたる分室メンバーを、香港の犯罪グループが襲撃する。やがて判明する謀略。それは、分室設立に隠された真実につながっていたのだったー。
先手弓組・幣原喬十郎はある夜、男女の死体を発見する。その傍らには血に塗れた匕首を手に涙を流す若い男が一人。問い質すも、隙をつかれて取り逃がしてしまう。やがてその男は大盗「大呪の代之助」一味の千吉と判明。殺害された男の周辺を洗う中、再び遭遇する。千吉は殺害を否定し、殺された女との関係を仄めかすと、喬十郎の拙さを嘲り姿を眩ませる。組の、そして己の面目にかけて悪事に立ち向かう喬十郎と、闇社会を巧みに立ち回る千吉ー。十年後、二人が三たび相見える日が訪れた。思いがけない形で。
北朝鮮の陸海空軍による大規模軍事演習。国の威信をかけたこの行事で、桂東月大佐は潜水艦による日本への亡命を決行した。しかも、拉致被害者の女性を連れてー。だが、そんな彼らを朝鮮人民軍が逃すはずがない。特殊部隊、爆撃機、魚雷艇、対潜ヘリ、コルベット艦、そして…。息つく間もなく送り込まれる殱滅隊の攻撃をくぐり抜け、東月達は日本に辿り着けるか?極限状況ゆえに生まれる感涙の人間ドラマ。超弩級エンターテインメント!
わたしは中国の女スパイーノンキャリア公務員の並木は、恋人から告白される。狙われた理由は、上司から預かった中国語の原稿。両国組織を欺くために、ふたりは同棲を始めるが…。警視庁公安部から地下鉄で追尾され、中国の国家安全部からは拉致される。何が真実で、誰を信じればいいのか?実力派作家が放つ、大人のサスペンス。極上のビターがここにある。
国際指名手配犯の君島がミャンマー奥地で逮捕された。日本初となる国産機甲兵装開発計画の鍵を握る彼の身柄引取役として官邸は警視庁特捜部突入班の三人を指名した。やむなくミャンマー入りした三人を襲う数々の罠。沖津特捜部長は事案の背後に妖気とも称すべき何かを察知するが、それは特捜部を崩壊へと導くものだった…傷つき血を流しながら今この時代と切り結ぶ大河警察小説、因果と怨念の第6弾。
元特捜検事・宗光彬。高度な法律関連事案の解決を請け負う彼は、裏社会で「非弁護人」と呼ばれる。ふとした経緯で、パキスタン人少年から「いなくなったクラスメイトを捜して欲しい」という依頼を受けた。失踪した少女とその家族の行方を追ううちに、底辺の元ヤクザ達とその家族を食い物にする男の存在を知る。おびただしい数の失踪者達の末路はあまりに悲惨なものだったー。非道極まる“ヤクザ喰い”を、法の名の下に裁く!!
出版社課長・秋吉の耳に衝撃的な情報が届いた。梶原局長の息子が謎の転落死を遂げたという。近く「引きこもり・不登校対策」を打ち出す新時代の高校をつくるという一大プロジェクトに邁進していたときだった。娘の不登校経験もあり事業に心血を注いできた秋吉だが、プロジェクトは一時中止。梶原の息子は自殺だったという噂が社内で広まり、会社上層部は隠蔽に動く。少年の死という状況のもと、自社の利益追求と保身に汲々とする上層部に秋吉は抵抗を試みるがー。信頼できない上司、暴走する部下、情報戦と化した社内派閥抗争。もはや社内に信用できる者はいないー。志を持って教育事業を推進してきた秋吉の運命は?少年の死の真相とは?
一九九八年冬、接待汚職「ノーパンすき焼きスキャンダル」が発覚した大蔵省は大揺れに揺れていた。接待を受けていた八九年入省組は処分を逃れるために、同期で“大蔵省始まって以来の変人”の異名を取る文書課課長補佐の香良洲圭一に協力を要請する。香良洲は元妻で与党・社倫党政治家秘書の花輪理代子から、政財官界の顧客リストの存在を告げられる。リストを探すために、香良洲はフリーライターの神庭絵里に調査を依頼、絵里は暴力団・征心会若頭の薄田に接近するが…。
黒社会とつながり、警察内部に“黒色分子”として潜む沢渡。義兄弟の契りを結ぶ黒社会「義水盟」の沈は、インドネシアの青年実業家ラウタンを巻き込み、中国スパイ網の摘発に協力する。やがて3人の前にシンシア・ユンと名乗る謎の美女が現れるのだが…。
被害者数三万人、被害総額二千億円ー。戦後最大級の詐欺集団「豊田商事」の亡霊は欲を喰らい、悪意を増殖させながら、令和の世を彷徨い続ける。欲望の深淵を暴く、規格外の犯罪巨編。人間の業と欲を徹底的に描破した、渾身の長編小説。
凡そこの世に非ず、別の世界より来たる者を忍びと云うー数多の次元世界を制する支配者集団“無限王朝”に抗い続ける伝説の忍び“光牙”。その一人、零牙に与えられた任務は亡国の姫と幼君の護衛であった。亡命の旅路を急ぐ一行の行手に、無限王朝麾下の骸魔忍群が立ち塞がる。激突する機忍法、生き残るは光牙か骸魔か。幻惑的傑作アクションが新たなる世に徹底加筆の“新装版”で甦り、絶望に塗り込められた夜を裂く!
東京が日本が劇的に変貌しつつあった1963年、元戦災孤児のアウトローが大いなる夢に向かって動き出す。軋む街の表に裏に、抜き差しならない腐敗や闇が根尾下ろしているなかで、オリンピックを奪い、撮れ!
元公安捜査官でシングルマザーの律子は、出かけたまま帰ってこない息子を担任教師の美晴と探しに行くが、そこで発見したのは、韓国の要人が襲撃された痕跡だった。隠密作戦中の韓国特殊部隊に息子が拉致されたー。警察に期待できないと判断した律子は、息子を救うため、美晴とともに決死の追撃を開始する。
最新型特殊装備“龍機兵”を擁する警視庁特捜部は、警察内部の偏見に抗いつつ、国際情勢のボーダーレス化と共に変容する犯罪に立ち向かうー由起谷主任が死の床にある元上司の秘密に迫る表題作、特捜部入り前のライザの彷徨を描く「済度」、疑獄事件捜査の末に鈴石主任が悪夢の未来を幻視する「化生」など、全8篇を収録。着想の妙と研ぎ澄まされた世界が広がる、2010年代最高のミステリ・シリーズ初の短篇集。