著者 : 村上博基
星のふる晩、青年刑事ショーンは川に身をなげようとした娘を救った。事情を尋ねると、彼女は悲嘆にくれた理由を語る。正確きわまりない予言をしてきた謎の人物に、信じがたい状況で父親が死ぬと宣告されたというのだ。実業家の父親を狙った犯罪を疑うショーンの要請で、警察は予言者の捜査を始める。巧みな心理描写と息詰まる緊迫感でサスペンスの巨匠の真骨頂を示す不朽の名作!
イギリス情報部〈サーカス〉の中枢に潜むソ連の二重スパイを探せ。引退生活から呼び戻された元情報部員スマイリーの孤独な闘い。
映画監督ボリス・エイドリアンはアカデミー賞、カンヌ映画祭のパルムドールなどあらゆる賞を総なめにしてきた若き天才。そんなボリスの新たな野望、それはハリウッドの美人女優たちと一流の撮影スタッフで史上最高のポルノ映画を製作することだった。さすがに実現不可能と思われたこの企画だが、プロデューサーのシドは、ヨーロッパの小国リヒテンシュタインから資金を引き出し、映画会社や有名女優をあの手この手で騙し、なんとか撮影開始にこぎつけてしまった。彼らの最終目標は、あらゆるタブーに挑戦する、完全無修正の「ブルー・ムーヴィー」を撮ること!『キャンディ』の著者による官能コメディの最高傑作が、待望の邦訳。
世界最高の都市ニューヨークは、いかなる過程を経てつくられたのか。1661年、開港まもないニューアムステルダムに、理髪師にして神業のようにメスを入れる天才外科医の兄と、ハーブから魔法のような薬をこしらえる調薬師の妹が降り立った瞬間、そこで紡ぎだされるすべての物語が動きはじめた…。先住民、移民たちの無数の夢がひしめく世界最高の都市物語。
ワシントン発ロス行きの旅客機が謎の墜落を遂げた。乗客は全員死亡。優秀な女性弁護士シドニー・アーチャーは、乗客名簿に夫ジェイスンの名があることを知らされる。夫の葬儀の日、悲嘆に暮れる彼女のもとをFBI捜査官リー・ソーヤーが訪れる。旅客機墜落の裏には、二大コンピュータ企業による買収競争とそれにまつわる陰謀が渦巻いていたのだ。夫はその事件に関係があるらしい。傑作サスペンス巨篇。
罠にはめられたジェイスンが、失踪直前に自宅宛てに送ったフロッピー・ディスク。拉致される直前に、誤ったアドレスに送付したEメール。買収工作の全貌を明らかにするこの二つの“爆弾”を巡って、シドニーと巨大情報通信企業、そしてFBIによる熾烈な争奪戦が繰り広げられる。世界の全面支配をもくろんだネットワーク犯罪を果たして阻止できるのか?全米ベストセラーついに邦訳。
元英国情報部員クランマーのもとに突然警察が訪れた。旧友でかつての部下のラリーが、元KGB工作員と組んでロシア政府から大金を詐取し、失踪したという。しかも、クランマーの愛人エマも同行しているらしい。そのため、警察をはじめ情報部はクランマーが共犯ではないかと疑っていたのだ。苦境に立たされた彼は、自ら二人を追い、真相を探りだそうとするが…現代世界をさまようスパイの魂をサスペンスフルに描く傑作。
政・官界が腐敗するメキシコで、軍部によるクーデターが成功した。一斉粛清にのりだした若手将校にとって、最大の標的は麻薬王アラマン。特殊部隊がアジトを急襲するが、アラマンは辛くも脱出、新政権を転覆すべく、アメリカとの国境でテロ工作を仕掛ける。メキシコ軍による挑発と見せかけ、米軍の軍事介入を引き出そうというのだ…。米軍女性少尉が大活躍する迫真の冒険小説。
引退し、今や伝説となった老練の情報部員スマイリーと、新人研修所チーフ、ネッドが明かす、英国情報部の知られざる闘いの年代記ー謀報活動の最前線ベルリンから、忽然と姿を消した気鋭のスパイ。クメール・ルージュに連れ去られた最愛の娘を求めさすらう情報部の協力者。それは、陰謀と紛争に身を捧げてきた者たちの悲哀と感動に満ちた人生の物語でもあった。巨匠がオールスターキャストで贈る、スマイリー最後の挨拶。
ルーサー・ホイットニー、66歳。金持ちの家しか狙わない筋金入りの老泥棒だ。ある夜、忍び込んだ豪邸で億万長者の人妻と現職大統領の密会を目撃してしまう。お定まりの情事はやがて恐ろしい暴力へと変わる。抵抗した女は、騒ぎを聞いて駆けつけたシークレット・サービスに射殺され、現場は偽装される。今や真実を知る唯一の人間となったルーサーは欺瞞を見過ごせず国家を相手に命がけの罠を仕掛けるが。
殺人現場に残されたペーパーナイフを証拠に500万ドルを大統領の側近に要求したルーサー。シークレット・サービスのビル・バートンは、ルーサーの愛する一人娘、ケイトを利用して彼をおびき出そうとする。真実を知らないケイトは父親の逮捕に手を貸し、激しい後悔に陥る。しかしルーサーの弁護士ジャックは父娘の窮地を救うために犯罪を隠蔽するグループとの闘いを決意する。超大型新人の傑作サスペンス。
老泥棒ルーサー・ホイットニーは誇り高き男だ。ある夜忍び込んだ億万長者の豪邸で、彼は金庫室にひそみ、富豪の若き妻と合衆国大統領の密会を目撃する。お定まりの情事はやがて恐ろしい暴力へと変わる。抵抗した女は大統領の護衛によって射殺され、現場は偽装される-。今や真実を知る唯一の人間となったルーサー。権力者の傲慢と腐敗に怒り、姿を現す決心をするが、彼には愛してやまない一人娘がいた-。衝撃の新人が放つ全米ベストセラーの傑作サスペンス。
新時代を迎え、英国情報部をリストラされたティム・クランマーは、叔父から遺された屋敷に引退し、年若い愛人エマと優雅な日々を送っていた。同じく引退した元部下のラリーも近くの大学で教鞭をとっていた。ラリーはパブリック・スクール時代からの友人で、彼が二重スパイとして育て上げた男だった。ところが、クランマーの目の前で、エマとラリーは運命的な恋に落ちた。そして、クランマーの屋敷を警察が訪れた。ラリーが失跡し、その前に怪しげな外国人と接触していた、と告げ、クランマーとの関係を執拗に追及した。ラリーは、なんと元KGBコントローラーと組んで、ロシア政府から巨額の金を詐取したらしい。いったい何のために。クランマーには寝耳に水の話だったが、情報部も上司だった彼の関与を疑っていることがわかった。そしてエマも、ラリーとともに姿を消していた。愛人を奪われたうえ苦しい立場に立たされたクランマーは、自ら二人を追い、真相を探りだそうとする。官憲の手を逃れ、パリへ、モスクワへ、戦火のカフカズ山脈へ-冷戦後、さらに混迷を深める世界をさまようスパイたちの魂を、比類ないサスペンスのうちに描ききる。
ペレストロイカによって改革の進むモスクワ。英国主催のフェアの会場に、ソ連の女性編集者カーチャが出版社社主バーリー・ブレアあての匿名原稿を持ちこんだ。なんとそこにはソ連の核ミサイルの欠陥が詳細に記述されていた。この驚くべき情報に接した英国情報部は、原稿の真贋と著者の正体を解明すべく、バーリーにモスクワ行きを依頼する。巨匠が民主化の進行するソ連の取材し、新境地を拓いたスパイ小説の新たな収穫。
原稿の著者ゲーテは、かつてカーチャの愛人であった理想家肌の科学者だった。以前パーティーで意気投合したバーリーを見込んだゲーテは、国防機密を出版して、一挙に世界的軍縮を実現することを望んでいるのだという。だが国際政治の現実はそれほど甘くなかった。カーチャへの恋心を秘めて再度ソ連を訪れたバーリーは、核の主導権争いに執着する英米情報機関の野望によって、カーチャの身に危険が迫っていることを知る。
ウィーンの英国大使館に勤務する情報部員ピムが、忽然と姿を消した。父リックの死を告げる電話を受けた直後の出来事だった。事態を憂慮した情報部は、ただちにチームを派遣、ピム宅でチェコ製の写真複写機を発見する。そのころピムは英国の田舎町にある隠れ家で、これまでの半生を憑かれたように書きしるしていた。彼のペンは一人のスパイの驚くべき人物像を描きだしていく…。自伝的色彩も濃厚な巨匠の集大成的傑作。
ピムは希代の詐欺師だった父のもとで、幼いころから二重生活を送り、しだいにスパイの適性を身につけていった。やがて情報部員となった彼は、大戦後のオーストリアでかつて心ならずも裏切った友に出会う。今は東側の謀報員となっていたその男の提供する情報によって、ピムは情報界の寵児となる。だが、それは彼をからめとろうとする巧妙な罠の一部だった。戦後英文学の最高作と評され、スパイ小説の枠を越えた畢生の大作。
チューリヒの名門ホテルのイギリス人ナイト・マネジャーであるジョナサン・パインは、雪の夜、忘れることのできない過去と遭遇した。貿易商リチャード・ローパー。その夜ホテルを訪れた彼こそ、ジョナサンが愛した女ソフィーを、自らの手で死に導いてしまう元凶となった男だった。おりしも、イギリスの情報部から独立した新しいエージェンシーを任されたレナード・バーは、ローパーを仕留めるべく網を張っていた。世界中に武器を売りさばいて巨利をむさぼる死の商人であるローパーを、同じイギリス人として許せなかったからだ。ジョナサンの存在を知ったバーは、ローパーの違法取り引きの証拠を握るために彼をリクルートしようとする。愛国心から、そしてソフィーへの贖罪の気持ちから、ジョナサンは危険な任務を引き受け、経歴を偽ってローパーに接近していく。軍需産業に骨ぬきにされた英米政府の思惑と妨害のなかで孤軍奮闘するバーの新エージェンシー、そしてただひとり死の商人の懐深く潜入していくジョナサン。冷戦後の真の敵を見据え、エンターテインメントの醍醐味を堪能させる最新作。