著者 : 村上春樹
「わかりきったことじゃないかね」と誰かが言った。ある夜、主人公の前に顕れたのは「イデア」だった。イデア!? 山荘のスタジオで一度は捨てたはずの肖像画制作に没頭する「私」の時間はねじれ、旋回し、反転する。不思議の国のアリス、上田秋成「春雨物語」、闇の奥でうごめく歴史の記憶、キャンバスの前に佇む美しい少女── 多彩な人物と暗喩が織りなす物語は、さらに深く、魂の森の奥へ。
画期的名著の逆輸入版!ニッポンを知り、小説を知るー。世界が唸った「ほんもの」を読む。村上春樹が全収録作を軸に日本文学を論じた序文「切腹からメルトダウンまで」70枚を附す。
その言葉は静かに我々の耳に残るーー短篇小説の名手ジョン・チーヴァーの世界。彼を抜きに五〇年代のアメリカ文学は語れないと村上春樹は言う。ジョン・チーヴァーはサリンジャーと同時代にザ・ニューヨーカー誌で活躍し、郊外の高級住宅地を舞台に洒脱でアイロニーに満ちた物語を描いた。ピュリッツァ賞も受賞した都会派作家の傑作短篇選! 全作品から村上春樹が二〇篇を厳選して翻訳し、各篇に解説を執筆。
「聞こえているのかね?私はこう言ったんだ。こちらはクライド・アムニー、弁護士だと」-午前六時半。一本の電話が私立探偵フィリップ・マーロウを眠りから覚まさせる。列車で到着するはずの若い女を尾行せよとの依頼だった。見知らぬ弁護士の高圧的な口調に苛立ちながらも、マーロウは駅まで出向く。しかし、女には不審な男がぴったりとまとわりつき…。“私立探偵フィリップ・マーロウ”シリーズ第七作。
フィリップ・マーロウの言葉から人生を学ぼう。愛、女、死、酒、チェス、煙草、ハリウッドについてーーレイモンド・チャンドラーの生み出した探偵マーロウの至言をテーマごとにチョイス。全篇村上春樹の名訳で贈る珠玉の名言集。訳者による巻末解説も収録!
アリゾナの荒野を行く七人を乗せた駅馬車──御者メンデスとその部下アレン、十七歳の娘マクラレン、インディアン管理官フェイヴァー夫妻、無頼漢のブレイデン、そして「男」の異名を持つジョン・ラッセル。浅黒い顔に淡いブルーの瞳、幼少期をアパッチに育てられた伝説の男と悪党たちが灼熱の荒野で息詰まる死闘を繰り広げる。レナードの初期傑作二作品を、村上春樹が痛快無比に翻訳!
私立探偵フィリップ・マーロウは、香水会社の社長から行方知れずの妻の安否を確認してほしいと頼まれる。妻が最後に滞在していた湖畔の町を訪れるが、そこでは別の女の死体が見つかるのだった。マーロウが探している女と何か関係が? 旧題『湖中の女』新訳版
一年に一度の「特別な日」に贈りたいあなた自身が答えを見つける物語。二十歳の誕生日だというのに、アルバイトを休めなかった彼女は、ビルの604号室に暮らす不思議な老人に食事を届ける。ささやかな乾杯のあとで、彼女の人生に一体何が起こったのか……。中学校教科書にも採用され、人生と幸福について深く考えさせられる名短篇を、ポップなイラストレーションとともに贈るアートブック第四弾。
舞台は60年代の米国東部の名門カレッジ。真面目で内気な学生ジェリーは、入学後すぐにお喋りで風変わりな女子学生プーキーと知り合った。彼女にふり回されながらも、しだいに芽生えていく恋…街角でのくちづけ、吹雪の夜の抱擁。だが、愛はいつしかすれ違い、別れの時が来る。生き生きとした会話が魅力の青春小説を、村上春樹が瑞々しいタッチで新訳する。“村上柴田翻訳堂”シリーズ。
その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた……それは孤独で静謐な日々であるはずだった。騎士団長が顕(あらわ)れるまでは。
その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた……それは孤独で静謐な日々であるはずだった。騎士団長が顕(あらわ)れるまでは。
講談社文庫から刊行された村上春樹氏の全作品を美麗ケースに収めました。 収録作品 1 風の歌を聴け 2 1973年のピンボール 3 羊をめぐる冒険(上) 4 羊をめぐる冒険(下) 5 夢で会いましょう 6 カンガルー日和 7 回転木馬のデッド・ヒート 8 羊男のクリスマス 9 ノルウェイの森(上) 10 ノルウェイの森(下) 11 ダンス・ダンス・ダンス(上) 12 ダンス・ダンス・ダンス(下) 13 遠い太鼓 14 国境の南、太陽の西 15 やがて哀しき外国語 16 アンダーグラウンド 17 スプートニクの恋人 18 ふわふわ 19 アフターダーク 20 ふしぎな図書館 収録作品 1 風の歌を聴け 2 1973年のピンボール 3 羊をめぐる冒険(上) 4 羊をめぐる冒険(下) 5 夢で会いましょう 6 カンガルー日和 7 回転木馬のデッド・ヒート 8 羊男のクリスマス 9 ノルウェイの森(上) 10 ノルウェイの森(下) 11 ダンス・ダンス・ダンス(上) 12 ダンス・ダンス・ダンス(下) 13 遠い太鼓 14 国境の南、太陽の西 15 やがて哀しき外国語 16 アンダーグラウンド 17 スプートニクの恋人 18 ふわふわ 19 アフターダーク 20 ふしぎな図書館
私立探偵フィリップ・マーロウは高名な弁護士からある若い女の尾行を依頼された。この仕事になにかきな臭いものを感じたマーロウは、弁護士の意向に背き、女に接近していく。新訳シリーズ第6弾
第94回アカデミー賞国際長編映画賞受賞作『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督・脚本/西島秀俊・主演/2021年公開)原作。 同映画は第74回カンヌ国際映画祭脚本賞など4部門、第56回全米映画批評家協会賞作品賞など4部門、第79回ゴールデングローブ賞非英語映画賞ほか、全世界で90冠以上受賞。 6人の男たちは何を失い、何を残されたのか? 本書は村上春樹が「月刊文藝春秋」「MONKEY」などに発表した作品をまとめ、2014年に発表した短編集。累計100万部突破のベストセラー! 舞台俳優・家福を苛みつづける亡き妻の記憶。彼女はなぜあの男と関係したのか…(「ドライブ・マイ・カー」)。 妻に去られた男は会社を辞めバーを始めたが、ある時を境に店を怪しい気配が包み、謎に追いかけられる(「木野」)。 ほか、「イエスタデイ」「独立器官」「シェエラザード」「女のいない男たち」など。 封印されていた記憶の数々を解くには、今しかないーー見慣れたはずのこの世界に潜む秘密を探る6つの物語。
この街を出て、永遠にどこかへ行ってしまいたいーーむせかえるような緑色の夏に、十二歳の少女フランキーは兄の結婚式で人生が変わることを夢見た。南部の田舎町で、父や従弟、黒人の女料理人ベレニスとの日常に倦み、奇矯な行動に出るフランキー。狂おしいまでに多感で孤独な少女の心理を、繊細な文体で描き上げた女性作家の最高傑作。≪村上柴田翻訳堂≫第一弾、村上春樹の新訳!
多崎つくるは、鉄道の駅をつくるのが仕事。 名古屋での高校時代、4人の男女の親友と完璧な調和を成す関係を結んでいたが、大学時代のある日突然、4人から絶縁を申し渡された。 何の理由も告げられずに……。 死の淵を一時さ迷い、漂うように生きてきたつくるは、新しい年上の恋人・沙羅に促され、あの時なにが起きたのか、真相を探るべく一歩を踏み出し、旅に出るーー。
私立探偵フィリップ・マーロウは、裕福な老女エリザベス・マードックから、出奔した義理の娘リンダを探してほしいと依頼された。老女は、亡き夫が遺した貴重な金貨をリンダが持ち逃げしたと固く信じていたが、エリザベスの息子レスリー、秘書のマールの振る舞いにもどこか裏がありそうな気配だ。マーロウは、リンダの女友だちや金貨の所在を尋ねてきた古銭商に当たるところから調査を始める。が、彼の行く手には脅迫と嘘、そして死体が待ち受けていたー『高い窓』の新訳版。
図書館の地下のその奥深く、羊男と恐怖と美少女のはざまで、ぼくは新月の闇を待っていた。あの名短篇が、ドイツの気鋭画家によるミステリアスなイラストと響きあう。新感覚アートブック第三弾!