著者 : 村上春樹
作家としての窮状さえも、フィッツジェラルドは 見事に小説に結実させていったーー 華やかな喧噪の日々から一転、三十代にして迎えた不遇の時代。 そして早すぎる死を迎えるまで。 多彩なスタイルの短篇小説と、秀逸なエッセイをセレクト。 揺るぎなく美しいその筆致を味わう、最後の十年間のベスト集。 〈短篇小説〉 異国の旅人 ひとの犯す過ち クレイジー・サンデー 風の中の家族 ある作家の午後 アルコールに溺れて フィネガンの借金 失われた十年 〈エッセイ〉 私の失われた都市 壊れる 貼り合わせる 取り扱い注意 若き日の成功
虚言症が蔓延するアメリカで、稀代の嘘つき男が 仕掛ける奇想天外なロードトリップーー ピュリッツァー賞候補作家が放つ長編小説、待望の全訳! オブライエン(著)×村上春樹(訳) ある理由で一流ジャーナリストからフェイクニュースの王に転落した中年男ボイド。 カリフォルニアの田舎町でデパートの店長をしている彼は地元銀行の窓口係アンジーに 銃をつきつけ、奪った8万1千ドルと彼女を連れ逃避行に出る。 仕切り屋で喋り通しのアンジーに閉口しつつアメリカを縦断するボイドと、 彼をとりまく大富豪、悪徳警官、美人妻、殺人者ーー追う者追われる者が入り乱れ、 嘘と疫病に乗って全米を疾走するが……。 ティム・オブライエン、20年ぶりの長編小説。
100パーセントの恋人たちへーー村上春樹と台湾の画家が描く瑞々しい世界。世界中の読者に愛される初期短編の表題作と「鏡」。二つの超人気短編が、瀟洒なピクチャー・ブックに! 物語は「昔々」で始まり、「悲しい話だと思いませんか」で終わるーーある朝、原宿の裏通りで少年と少女が偶然出会い、恋に落ちる。しかし二人の運命は……。若手画家と短編の村上ワールドが心地よく響き合う美しい一冊。
村上春樹の新訳と山本容子の銅版画で、マッカラーズの名作がよみがえる。さびれた南部の町で暮らすアミーリアは、言い寄る男に見向きもせず、独身で日用品店を営んでいる。ある日彼女のもとに背中の曲がった小汚い男が現われた。町中が噂するなか、どういうわけか彼女はこの小男に惚れこみ、同居してカフェを始める。そこにアミーリアの元夫が刑務所を出て帰還。奇妙な三角関係の行方はーー。
村上春樹と安西水丸、名コンビによる貴重なコラボレーションが時を経て1冊の単行本としてよみがえる。 村上春樹と安西水丸、名コンビによる貴重なコラボレーションが時を経て1冊の単行本としてよみがえる。
アメリカ文学界に衝撃を与えた記念碑的デビュー作を、村上春樹が新訳。新鮮な言語感覚と幻想に満ちた華麗な文体で構成された本作は、1948年に刊行されるやいなや、アメリカ中で大きな波紋を呼び起こした。父親を探してアメリカ南部の小さな町を訪れたジョエル少年の、近づきつつある大人の世界に怯え屈折する心理と、脆くもうつろいやすい感情とを描いた半自伝的なデビュー長編。
魂を揺さぶる村上春樹の<秘密の場所>へーー待望の新作長編一二〇〇枚! 十七歳と十六歳の夏の夕暮れ……川面を風が静かに吹き抜けていく。彼女の細い指は、私の指に何かをこっそり語りかける。何か大事な、言葉にはできないことを。高い壁と望楼、図書館の暗闇、古い夢、そしてきみの面影。自分の居場所はいったいどこにあるのだろう。村上春樹が封印してきた「物語」の扉が、いま開かれる。
プリンストン大学図書館の厳重な警備を破り、フィッツジェラルドの直筆原稿が強奪された。消えた長編小説5作の保険金総額は2500万ドル。その行方を追う捜査線上に浮かんだブルース・ケーブルはフロリダで独立系書店を営む名物店主。「ベイ・ブックス」を情熱的に切り盛りするこの男には、希覯本収集家というもう一つの顔があった。真相を探るべく送り込まれたのは新進小説家のマーサー・マン。女性作家との“交流”にも積極的なブルースに近づき、秘密の核心に迫ろうとするが…。あのグリシャムの新たな魅力を楽しむ本好きのための快作!全米ベストセラー。
誰もが孤独の部屋の中から、報われない愛の行き先を探している。1930年代末、アメリカ南部の町のカフェに聾啞の男が現れた。大不況、経済格差、黒人差別……。店に集う人々の苦しみを男は静かに聞き入れ、多感な少女を優しく包みこむ。だがその心は決して満たされないーー。フィッツジェラルドやサリンジャーと並ぶ愛読書として、村上春樹がとっておきにしていた古典的名作、新訳で復活!
運命の相手と知り、自分の分身のように感じる相手と結ばれたり、結ばれない運命だったり。悲しい恋やコミカルな恋、ロマンチックな恋など「運命」に翻弄される人間の、さまざまな姿を味わえる。男女がかくも違い、だからひかれあうのだ、ということがよくわかる物語の数々。村上春樹、角田光代、山白朝子、中島京子、池上永一、唯川恵という恋愛小説の名手たちによる傑作短編集。あなたも「運命の赤い糸」が見えていますか?奇跡の出会いは、きっとあるーー。人気作家による最高の恋愛小説アンソロジー
巧みに、軽妙に、時には、早すぎる死を予期したかのようにー翳りのなかにあって揺るぎなく美しい一九三〇年代の名品群。多彩な短篇小説とエッセイをセレクト。翻訳者・村上春樹の起点となった二篇も新しい訳で収録。
私は時間を味方につけなくてはならない──妻と別離して彷徨い、海をのぞむ小田原の小暗い森の山荘で、深い孤独の中に暮らす三十六歳の肖像画家。やがて屋根裏のみみずくと夜中に鳴る鈴に導かれ、謎めいた出来事が次々と起こり始める。緑濃い谷の向こう側からあらわれる不思議な白髪の隣人、雑木林の祠と石室、古いレコード、そして「騎士団長」……。物語が豊かに連環する村上文学の結晶!
「わかりきったことじゃないかね」と誰かが言った。ある夜、主人公の前に顕れたのは「イデア」だった。イデア!? 山荘のスタジオで一度は捨てたはずの肖像画制作に没頭する「私」の時間はねじれ、旋回し、反転する。不思議の国のアリス、上田秋成「春雨物語」、闇の奥でうごめく歴史の記憶、キャンバスの前に佇む美しい少女── 多彩な人物と暗喩が織りなす物語は、さらに深く、魂の森の奥へ。
画期的名著の逆輸入版!ニッポンを知り、小説を知るー。世界が唸った「ほんもの」を読む。村上春樹が全収録作を軸に日本文学を論じた序文「切腹からメルトダウンまで」70枚を附す。