著者 : 東野さやか
熱気球に乗せてもらえることになったセオドシアは、人生初の空の冒険に心を躍らせていた。上空から見下ろすチャールストンの街並みはまさに絶景!ところが一機のドローンがある気球に狙いをさだめて近き、爆破して墜落させた。被害者の一人は、アメリカ史上初の国旗をまさにオークションにかけようとしていた矢先の出来事だった。歴史を生き抜いてきた旗は、聖遺物に匹敵するほどの価値を持つ。熱狂的なコレクターや骨董商、学者…気球墜落事件は、貴重な旗をめぐる熾烈な争奪戦の末の犯行?事件の手がかりを追うかたわら、セオドシアはピンチヒッターとしてテレビに生出演したり、大規模なお茶会の準備をしたりとてんてこまい。そんな時に大手雑誌社からお店の評価をくだす秘密調査員が送りこまれることになり…!?
町じゅうが楽しみにしているクリスマス劇の上演まであとわずか。町の素人役者たちもドキドキしながら稽古を重ねていた。主役に抜擢されたのは、町一番の気むずかし屋と言われるアラン。その日はリハーサルにもかかわらず、舞台上に倒れこむ迫真の演技で会場を沸かせていた。でも、何かがおかしい。台本では幽霊役が立ち去ったあと、彼は起き上がるはずなのに…。裏方として舞台袖に控えていたスザンヌは異常事態に気づき、あわてて駆け寄ったものの時すでに遅し。アランは腹部を刺され、息絶えていた。舞台上で堂々と主役の命を奪うという、大胆不敵な犯行に劇場内は騒然。そればかりか、事件の目撃者たちは口々に「幽霊による犯行」と保安官に言い募り…!?
白い帆をはためかせ、隊列を組んで堂々と港にはいってくる大型帆船たちに大歓声があがる。港町チャールストンで開催された大規模なボートパレードを、セオドシアは豪邸のルーフバルコニーから見下ろしていた。海は最高に幸せな気分にしてくれる。ところが突然、大きな爆発音が。これも催し物の一部?船の祝砲?その直後、観客の男性がバルコニーから転落。胸には矢が刺さり亡くなっていた。男性は銀行の大物で、アンティーク銃の収集家としても有名な人物。いったい彼の死を望んだのは誰?セオドシアはさっそく捜査に乗り出すものの、つきあいはじめたばかりのライリー刑事のせいで、いつもとはどうも勝手がちがい…!?
刑事のエリザベスは、少女監禁犯を拷問の上で射殺したとして、激しい批判にさらされていた。州警察が内部調査に乗り出すが、彼女には真実を明かせない理由があった。同じ頃、元警官のエイドリアンが刑務所から仮釈放された。ある女を殺した罪をみずから認め、服役していたのだ。しかし同僚だったエリザベスは尊敬する彼の潔白を信じていた。エイドリアンは嘘の証言をしたのか?刑務所の外には、彼を待ち受ける銃口が…。
エイドリアンの出所後間もなく、女性の絞殺体が発見された。しかも、かつて彼が殺人を犯したとされる同じ教会の同じ祭壇でだ。これは連続殺人なのか?疑惑の目がエイドリアンに集まる。エリザベスは停職中ながら、彼の無実を証明すべく無謀な捜査を進めるが…。様々な秘密を抱えた女と男の道はやがてひとつに繋がり、邪悪な真実が明かされる!アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)二冠作家が放つ、渾身の傑作!
紅茶を注ぐネズミ!?セオドシアは目の前の光景に驚きを隠せなかった。たしかに招待状には「ネズミのお茶会」と書かれてあった。でも本当に、給仕たちがお仕着せ姿のネズミの格好をして、料理や紅茶をふるまっているなんて!まるで童話の世界に迷いこんだかのよう。かつて、チャールストンの路上にネズミがあふれかえってしまった時代に、上流階級の人々のあいだでは「ネズミのお茶会」が大流行した。これを今夜、裕福な慈善家として知られるドリーンが復活させたのだ。ところがその席でドリーンの夫が、注がれたオレンジ・ペコを口にしたとたん、命を落としてしまった。ネズミのごとく、どこかに身を潜めている狡猾な犯人を、セオドシアは探し当てようと奮闘するものの!?
高級ジュエリーの展覧会に突然、一台の車が窓ガラスを破って侵入してきた。車から降り立つ覆面の三人組、客たちの悲鳴、そして煙幕ー優雅な会場は強盗団の出現で一変。貴重な宝石は根こそぎ奪われ、あとにはたくさんの死傷者が残された。現場に居合わせたセオドシアは大胆不敵な犯行を前に、なすすべもなかった。折しもチャールストンの町では、ロシアの皇帝が作らせたという至宝「ファベルジェの卵」を展示する計画が。また不幸な犠牲者を出すわけにはいかない!でも今度ばかりはFBIも乗り出す国際的な組織犯罪。とても自分の手に負える事件ではないけれど、セオドシアは貴重な宝と大事な町を守るため、ある奇策で非情な強盗団と対決することに!
カフェの店主スザンヌはいつも店で出しているチーズを購入するため、付き合いの長い酪農家マイクの農場を訪れた。マイクの作る自家製チーズは味わい豊かで、スザンヌのカフェに欠かせない食材のひとつ。ところがその日は、酪農場の牛たちの様子がどこかおかしい。嫌な予感は的中し、チーズ工房には何者かに刺殺されたマイクの姿が。温厚な彼がこんな形で殺されるなんて許せない!スザンヌは婚約者のサムから事件捜査に首をつっこまないよう釘を刺されたものの、何か重要なことを目撃したかも知れない少年のことが気にかかって仕方がない。ロマンティックな結婚式の計画を進めようとする婚約者とは対照的に、スザンヌはとある行動を取ることに…!?
超高級ワイナリーの豪華試飲パーティに招待されたセオドシアとドレイトン。ワイナリーの命運がかかっている新しい銘柄の完成披露とあって、チャールストンじゅうの美食家や評論家たちが一堂に会した。ワイン樽が開けられるのをいまかいまかと待ちかまえるセレブたち。ついに開いたと思った瞬間、なんと、樽の中からすでに息絶えた若い男性が転げ落ちてきた!悲劇に見舞われたワイナリーのオーナーから事件の真相の解明を懇願されたセオドシアは、探偵さながらの鋭い目で被害者の部屋に謎めいたメモが残されているのを発見した。それがどうしても頭から離れず…!?いっぽうティーショップでは、英国貴族屋敷をテーマにしたお茶会を開催し、これが大好評。ついには店の移転や二号店出店の話まで出てきて!?
風にたなびくリボン、あふれる薔薇。閑静な森は美しく輝き、まるで魔法をかけられたかのよう。今日はカフェで働くキットの待ちに待った野外結婚式だ。ペトラが腕によりをかけた、とびきり美味しいウェディングケーキも出番を待っている。幸せそうな花嫁を目の前に、スザンヌも自分の再婚を意識せずにはいられなかった。ところが、指輪の交換を行なっていたまさにその瞬間、「やめろ!」と叫びながら警察がなだれこんできた。なんと新郎の車から放火殺人の動かぬ証拠が見つかったという。まさかそんなはずは!なんとしても真相を知りたいスザンヌは事件の手がかりを追ううちに、問題の火災現場で謎のコインを発見。カフェの仲間トニはそのコインに心当たりがあるようで!?
わずか四週間で結婚式を挙げることになったデレインのお相手は、地元で指折りの敏腕弁護士。ところが、人生で最良の日に最悪の事態が起きてしまった。新郎が式の時間を過ぎても姿を現さず、心配して控え室のスイートルームに迎えにいくと…そこには息絶えた新郎の姿が!他殺をにおわせる後頭部の傷跡を、セオドシアの鋭い目は見逃さなかった。犯人への復讐を誓う花嫁は、セオドシアに事件の捜査を依頼。事件当日、謎の宿泊客が隣室から姿を消していたこともわかった。なにせ式場は幽霊が出ると噂される不気味なホテル。うさん臭いゴーストハンターがセオドシアの店にまで押しかけてきて、なぜか彼女も一緒に幽霊探しに駆り出されてしまい…!?
雨降りの薄暗い朝、スザンヌは記念式典に必要な花を届けるため、急いで墓地へ向かっていた。彼女の営むカフェの開店時間まであとわずか。一刻も早く厨房に房って、卵とコーヒーの美味しい朝食を準備したいところ。なのに、墓地で死体を発見してしまうなんて!被害者は町のみんなに嫌われていた元刑務所長で、警察が真っ先にマークしたのはスザンヌの友人ミッシーだった。けれど彼女が行方をくらましてしまい、捜査は難航。これにはいつも頼もしい保安官も頭を抱えるばかり。スザンヌは、彼の大好物のスイートロールやパイで励ましながら、友人の無実を信じてみずからも捜査に乗り出した。そんなとき、保安官が重傷を負って意識不明という悪い報せが入り!?
山間にたたずむ小さな町、ウェイワード・パインズ。絵に描いたように美しいこの町には、ある秘密が…。そんな町で初めての殺人事件が起こる。全裸で打ち捨てられていた女性の死体には、血が一滴もない上に、ひどい拷問を受けた形跡があった。保安官イーサンが捜査を始めると、そこには被害者の意外な正体と、偽りの町に潜む闇が浮かびあがるのだった。M・ナイト・シャマラン監督ドラマ化!衝撃作『パインズ』続篇。
サンゴ礁と魚たちが織りなす美しい水中庭園ーセオドシアが水族館の巨大水槽をうっとりと眺めていると、目の前の水中で必死にもがく男性の姿が、あれは元恋人パーカー!?懸命の救助も間に合わず、彼はその場で絶命した。警察は事故死と断定するが、セオドシアの目はパーカーの腕にある傷を見逃さなかった。おそらく犯人に抵抗したときにできたもので、これは事故なんかじゃない!彼女が早速調べてみると、シェフだったパーカーは死の直前、店の買収問題などいくつものトラブルを抱えていたことがわかった。でも、容疑者を絞れないまま捜査は行き詰まり、人気店の経営者であるセオドシアには本業の仕事も山積み。おまけに、店の大切な仲間ヘイリーに引き抜きの話まで持ち上がり…!?茶の湯に着物、和の心が光る人気シリーズ第13弾!
川沿いの芝生で目覚めた男は所持品の大半を失い、自分の名さえ思い出せない。しかも全身がやけに痛む。事故にでも遭ったのか…。やがて病院で記憶を回復し、みずからが捜査官だと思い出した男は、町の保安官や住民に助けを求めた。だが、この美しい町パインズはどこか狂っていた。住民は男が町から出ようとするのを執拗に阻み続け、外部との連絡にも必ず邪魔が入るー絶対予測不能の衝撃のラスト!
真冬の猛吹雪の日。スザンヌの営むカフェの裏手の森で、悲劇は起こった。地元銀行の新頭取がスノーモービルの不審な事故で命を落としたのだ。この手厳しかった銀行家と対立していた地元住民も多く、保安官は手当たり次第に彼らを犯人扱い。そんなわけでスザンヌのカフェには、心も体も温まる絶品スープと卵料理が目当てのお客だけでなく、真犯人を捕まえてほしいと、彼女に助けを求めてやってくる人々がひきもきらず…!?そのうえ、冬のフェスティバルを目前に控えて、朝食からティータイムまで常時満席のカフェは、連日大忙し。でも、頼られたら断われない世話好きスザンヌをはじめ、カフェの訳ありおばさま3人組はまたもや謎解きに乗りだすことに!
宝の地図に金貨ーきらびやかな海賊の略奪品が展示される、ヘリテッジ協会主催の大海賊展初日。すべてが一瞬の出来事だった。照明が消え、ガラスケースからは、大きなダイヤモンドが埋め込まれた髑髏の杯が消えていた。そばには刺殺された協会の研修生。現場に居合わせたセオドシアは、事件解決の鍵は髑髏の杯とにらみ、調査を開始。すると、盗まれた杯は大海賊「黒ひげ」の頭蓋骨で作られたもので、底に刻まれた暗号が財宝のありかを示すらしい。新居のお披露目パーティーに、お茶とチーズのちょっと珍しい試食会。セオドシアは目の回るような忙しさの合間をぬって、海賊の暗号解読と犯人捜しに奔走し!?“お茶と探偵”シリーズ12巻!