著者 : 柳沢由実子
レイキャヴィクのアパートの一室で、刃物で喉を切り裂かれた若い男の死体が発見された。男はレイプドラッグと言われるクスリを所持しており、バーやレストランで出会った女性にクスリを混入した飲み物を飲ませて意識を失わせ、レイプしていた常習犯らしい。被害者による復讐か?犯罪捜査官エーレンデュルが行方不明のなか、同僚のエリンボルクは現場に落ちていた一枚のスカーフの香りを頼りに捜査を進める。世界のミステリ読者を魅了する北欧の巨人の人気シリーズ第7弾。
小島に一人で暮らす元医師のフレドリックは、就寝中の火事で住む家も家財道具もすべて失った。その後警察の調べで火事の原因が放火であったことが判明、フレドリックは保険金目当ての自作自演だと疑いをかけられてしまう。ところが、火事はそれだけではおさまらなかった。付近の群島の家々が続けて放火されたのだ…。幸い死者は出ていない。犯人の目的はどこにあるのか?“刑事ヴァランダー・シリーズ”で人気の北欧ミステリの帝王最後の作品。CWAインターナショナルダガー受賞。
彼女は湖のほとりのサマーハウスで首を吊っているのを発見された。夫によると二年前に親密だった母親を病で失って以降、精神的に不安定になっていたという。死後の世界に興味をもち、霊媒師のもとに出入りしていたことも判明する。自殺で間違いない。だが本当に?捜査官エーレンデュルは、微かな疑問を抱き孤独な捜査を進める。暴かれる悲痛な過去、明らかになる驚愕の真実に心の奥底までゆさぶられる、北欧ミステリの巨人の好評シリーズ第6弾。
男の子の年齢は十歳前後。地面にうつ伏せになり、体の下の血溜まりは凍り始めていた。アイスランド人の父とタイ人の母の間に生まれた男の子は、両親の離婚後、母親と兄と一緒にレイキャヴィクの住宅街に越してきた。人種差別的な動機による殺人が疑われ、エーレンデュルら捜査陣は、男の子が住んでいたアパートや通っていた学校を中心に捜査を始める。CWAインターナショナルダガー賞最終候補作、世界のミステリ界をリードする著者が現代社会の問題にメスを入れた、シリーズ第5弾。
ひとり離れ小島に住む元医師フレドリック。ある日彼の元に、37年前に捨てた恋人ハリエットがやってくる。治らぬ病に冒された彼女は、白夜の空の下、森の中に広がる湖に連れていくという昔の約束を果たすよう求めにきたのだ。かつての恋人の願いをかなえるべく、フレドリックは島をあとにする。だが、その旅が彼の人生を思いがけない方向へと導いていくー。“刑事ヴァランダー・シリーズ”の著者が描く、孤独な男の贖罪と再生、そして希望の物語。
厳寒のストックホルム。警察が監視中のアパートが突如、爆発炎上した。任務についていたラーソン警部補は住人を救うべく孤軍奮闘するが、出動したはずの消防車が一向に到着しない。焼死者の中には、ある事件の容疑者が含まれていた。刑事マルティン・ベックは捜査を進めるうち、この火災に奇妙な点があると気づく。やがて捜査陣の前に浮かび上がってきたのは、意外な犯罪の構図だったー。警察小説の金字塔シリーズ、第五作。
北欧ミステリの帝王ヘニング・マンケルが生んだ名物刑事、クルト・ヴァランダー。本書にはヴァランダーがまだ二十代でマルメ署にいた頃を描いた「ナイフの一突き」「裂け目」から、イースタ署に移って以降の事件「海辺の男」「写真家の死」を経て、『殺人者の顔』直前のエピソード「ピラミッド」に至る5つの中短篇を収録。ヴァランダーの知られざる過去を描いた、贅沢な作品集。
干上がった湖の底で発見された白骨。頭蓋骨には穴が空き、壊れたソ連製の盗聴器が体に結びつけられている。エーレンデュル捜査官たちは、丹念な捜査の末、ひとつの失踪事件に行き当たった。三十年前、一人の農業機械のセールスマンが、婚約者を残し消息を絶っていたのだ。男は偽名を使っており、アイスランドに彼の記録は一切なかった。男は何者で、なぜ消されたのか?過去にさかのぼる捜査が浮かび上がらせたのは、時代に翻弄された人々の哀しい真実だった。北欧ミステリの巨人渾身の大作。
ストックホルム中央の公園で女児の死体が見つかった。彼女は前年、不審な男に話しかけられ、警察に証言を残していた。そのわずか二日後に別の公園で新たな少女が殺害され、ストックホルム市民は恐怖に打ち震えた。連続少女暴行殺人事件に、刑事マルティン・ベックは仲間と事件に取り組むが、手がかりは三歳の男の子のたどたどしい証言と、強盗犯の記憶のみ。捜査は行き詰まるー。警察小説の金字塔シリーズ・第三作!
夏休みに入った刑事マルティン・ベックにかかってきた一本の電話。「これはきみにしかできない仕事だ」。上司の命で外務大臣側近に接触したベックは、ブダペストで消息を絶った男の捜索依頼を受ける。かつて防諜活動機関の調査対象となったスウェーデン人ジャーナリスト。手がかりのない中、「鉄のカーテンの向こう側」を訪れたベックの前に、現地警察を名乗る男が現れるー。警察小説の金字塔シリーズ・第二作。
レイキャヴィクの湿地にあるアパートで、老人の死体が発見された。侵入の形跡はなし。何者かが突発的に殺害し逃走したらしい。ずさんで不器用、典型的なアイスランドの殺人。だが、残されたメッセージが事件の様相を変えた。明らかになる被害者の過去。肺腑をえぐる真相。ガラスの鍵賞2年連続受賞の快挙を成し遂げ、CWAゴールドダガーを受賞した、北欧ミステリの巨人の話題作。
ボーレンスフルトの閘門で、全裸女性の絞殺死体が見つかった。身元不明の遺体には誰からの問い合わせもなく、事件は膠着状態に陥ったかに見えた時、アメリカの警察から一通の電報が届いた。「ソレハコッチノサガシテイルオンナダ」。ロセアンナ・マッグロー、27歳。この知らせをきっかけに、刑事マルティン・ベックは、ロセアンナと関係をもった男達についての証言を探ってゆくがー。警察小説の金字塔シリーズ・第一作。
凍てつくような寒さの未明、スウェーデンの小さな谷間の村でその惨劇は起きた。ほぼ全ての村人が惨殺されていたのだ。ほとんど老人ばかりの過疎の村が、なぜ?休暇中のヘルシングボリの女性裁判官ビルギッタは、亡くなった母親が事件の村の出身であったことを知り、ひとり現場に向かう。事件現場に落ちていた近くの中国料理店の赤いリボン、ホテルの防犯ビデオに映っていた謎の人影…。事件はビルギッタを世界の反対側へ、さらに過去へと導く。北欧ミステリの帝王ヘニング・マンケルの集大成的大作。
殺人現場となった母の実家を訪れたビルギッタは、密かに数冊の日記を持ち出した。その中に記された“ネヴァダ”の文字が目に飛びこんできたからだ。それはスウェーデンの寒村で起きたのと似た血塗られた事件があった土地。日記は1860年代に書かれており、アメリカ大陸横断鉄道敷設工事の現場監督が残したものだった。貧しさにあえぐ19世紀の中国の寒村、西部開拓時代のアメリカ、そして発展著しい現代の中国、アフリカー。現代の予言者マンケルによる、ミステリを超えた金字塔的作品。
反米デモの夜、ストックホルムの市バスで八人が銃殺された。大量殺人事件。被害者の中には、右手に拳銃を握りしめた殺人捜査課の刑事が。警察本庁殺人捜査課主任捜査官マルティン・ベックは、後輩の死に衝撃を受けた。若き刑事はなぜバスに乗っていたのか?デスクに残された写真は何を意味するのか?唯一の生き証人は、謎の言葉を残し亡くなった。捜査官による被害者一人一人をめぐる、地道な聞き込み捜査が始まるー。アメリカ探偵作家クラブ賞受賞。警察小説の金字塔、待望の新訳!
住宅建設地で発見された、人間の肋骨の一部。事件にしろ、事故にしろ、どう見ても最近埋められたものではない。現場近くにはかつてサマーハウスがあり、付近にはイギリス軍やアメリカ軍のバラックもあったらしい。住民の証言の端々に現れる緑の服の女。数十年のあいだ封印されていた哀しい事件が、捜査官エーレンデュルの手で明らかになる。CWAゴールドダガー賞/ガラスの鍵賞同時受賞。究極の北欧ミステリ。
19歳と14歳の少女がタクシー運転手を襲う事件が発生。逮捕された少女たちは金ほしさの犯行だと自供、反省の色はない。あまりにふてぶてしい二人の態度。尋問の席で母親を殴った少女に腹をたてたヴァランダーは思わず彼女に平手打ちを食らわせてしまう。ところがその瞬間の写真を新聞に掲載されてしまったのだ。孤立感に苛まれるヴァランダー。北欧ミステリの巨匠の傑作シリーズ。
タクシー運転手殺害で逮捕された少女が脱走、死体となって発見された。単純なはずの事件が一気に様相を変える。一方、病死だと思われたITコンサルタントの死体がモルグから盗まれ、代わりに少女との繋がりを疑わせるものが。調べ始めたヴァランダーは、コンピュータに侵入するため、天才ハッカー少年の手を借りる。新しい時代の犯罪に苦しむヴァランダー。人気シリーズ第八弾。