著者 : 横山信義
珊瑚海海戦の敗退によって明らかとなった空母機動部隊が抱える弱点、すなわち通信能力の不足と攻撃に対する脆弱さを一挙に解決するべく、戦艦「大和」を前線に送り出した。 この英断により、第一機動艦隊はソロモン海にて米艦隊に圧勝する。 連合艦隊はすぐさまニュージョージア島に前進、米豪分断作戦は成功するかに思えた矢先、米軍がガダルカナル島に上陸したとの情報が。 ラバウル基地から空爆を仕掛けるとともに、重巡「鳥海」率いる第八艦隊、さらに戦艦「金剛」「榛名」を主力とする第二艦隊も出動するが、米軍の飛行場建設阻止には至らない。 ついに第一航空艦隊あらため第三艦隊にも出撃命令が下り、戦艦「大和」は再び空母を率いて南洋へ向かうーー。 「ソロモンは彼らにとり、死守しなければならない重要拠点なのだ」
昭和一七年五月、連合艦隊は航空母艦を主力として米英の海軍を連破し、破竹の進撃を続けマレー、フィリピンの制圧に成功した。 次なる目標は、オーストラリア。 かの国を連合国から脱落させ、南太平洋における日本の覇権を確立する。そのためにはニューギニアの要衝ポート・モレスビーを奪取し、ここを拠点として豪州に圧力をかけるのである。 だが、米海軍も空母を前線に投入し、史上初となる空母対空母の対決ーー珊瑚海海戦が繰り広げられることに。 対決は日本側の敗退に終わり、戦略目標だったモレスビー攻略も頓挫してしまった。開戦以来無敵を誇ってきた機動部隊には、深刻な問題が隠されていたことが顕わになったのだ。しかし、航空母艦という艦種自体が抱える弱点を克服することは容易ではない。 事態を重く見た連合艦隊司令長官山本五十六は、誰もが驚愕する決断を下したーー。 「『大和』は、帝国海軍の切り札です」 「だからこそ、機動部隊に配属するのだ」
航空主兵主義を採用した連合艦隊による、大艦巨砲主義の米海軍撃退には限界が見えていた。米海軍の新鋭空母や新型戦闘機の登場は、連合艦隊の航空優勢の維持を困難なものに変えつつある。 もはや日本に残された道はただひとつ。 かの日本海海戦に匹敵する大勝利をもって、米国を講和会議の場に引き出すのだ。 クェゼリンを奇襲し米本国からの増援を断ち切った上で、米太平洋艦隊の根拠地であるトラックへの攻撃を開始する連合艦隊は、航空基地に大打撃を与えて制空権を得たものの、かの「赤城」「長門」「陸奥」の三戦艦をたった一隻で圧倒してみせた世界最強戦艦「オレゴン」を中心とした米海軍主力艦隊は未だ健在である。 はたして、この最後の戦いに勝利を得て戦争終結への道筋をつけられるのか? 「報告では、空では我が軍が優勢、海ではアメリカ軍が優勢とのことです。特に、アメリカが戦線に投入した新鋭戦艦の威力は凄まじく、我が国が世界に誇ってきた二隻の戦艦『長門』『陸奥』が子供扱いにされてしまったとか」 駐英日本大使 吉田茂
日本軍は多大な犠牲を払いつつもグアム島を攻略し、米海軍の攻撃先鋒を潰すことに成功した。これを機に、日本政府は英国を通じて講和を打診をするのだが、米国政府からは一顧だにされない。なぜなら、米軍には強力な戦艦や巨大な空母といった新鋭艦が続々と加わりつつあり、次こそは勝利を得られると確信しているのだ。 米軍が戦力を拡大し続けるのであれば、このまま守りに徹していてもいずれ日本軍は押し負けてしまう。であれば自ら決戦を挑み、圧倒的な勝利をもって米国の戦闘意思を挫くしか道はないのかーー。 トラックを根拠地とする米海軍主力を撃滅せよ、との難題を課せられた連合艦隊は乾坤一擲の大作戦を開始した。 「米国を和平交渉の場に引っ張り出すためには、決定的な勝利が必要となる。かの日本海海戦に匹敵するほどの勝利が」 連合艦隊司令長官 山本五十六大将
米艦隊による、硫黄島、サイパン島奇襲攻撃の裏で密かに計画されていたグアム島への増援。日米は互いに敵飛行場の破壊と再建の妨害を繰り返す泥沼の状態に。それでも、機械化された米軍設営部隊の能力は日本軍を凌駕し、グアム島飛行場再建を阻止し続けることは不可能であった。本格稼働する前に、一気にグアム島そのものを占領するため、連合艦隊はグアムに向け出撃した。しかし米海軍も太平洋艦隊の主力戦艦部隊を繰り出し、鉄壁の布陣をもって待ち受けていた。
航空主兵主義に活路を求め、初戦の劣勢を押し返した連合艦隊はついにフィリピンの米国アジア艦隊を撃退。さらに太平洋艦隊に対抗するため、日本が最後に建造した高速戦艦「赤城」をも投入して空母機動部隊の大増強をおこなう。対する米軍は艦隊の再編と同時にトラック諸島の要塞化を進め、B17大型爆撃機によるマリアナ、パラオの日本軍航空基地への空爆を継続。連合艦隊は太平洋艦隊が再び攻勢に出てくることを確信し、総力を挙げて南洋に向け出撃した。その時、思いもかけない方面から米軍来襲の一報が…。
航空主兵主義に転じた連合艦隊は、辛くも米戦艦の撃退に成功する。しかし、アジア艦隊を撃滅するには至らず、また米極東陸軍はバターン半島とコレヒドール要塞で死守の構えを見せている。資源の多くを輸入に頼る日本としては、フィリピンを抑えて南シナ海の制海権を握り、通商路を再開させることは不可欠である。ついに、アジア艦隊殲滅のための新鋭空母を加えた機動部隊に出撃命令が下される。しかし、米太平洋艦隊もアジア艦隊を援護するべく機動部隊を繰り出すのであった。
昭和一六年におこなわれた満州国を巡る日米間交渉は、互いの主張が平行線をたどったまま打ち切られた。米国はダニエルズ・プランのもとに建造された四〇センチ砲装備の戦艦一〇隻、巡洋戦艦六隻をハワイとフィリピンに配備した。日本はこのとき、戦艦の建造を断念、海軍の主力を空母と航空機に切り替えていたが、航空機が戦艦に対抗できるとの確証は得られていない。日米戦争が勃発すれば、敵大艦隊が日本へ迫ることは必至である。連合艦隊はこれを食い止めることができるのか。
「『大和』より上だ。間違いない」 英本土奪還へ王手をかけた日英連合軍。だが、ヒトラー総統の死守命令を受けたドイツ軍は、ロンドン周辺地域を固め徹底抗戦の構えを崩さない。 都市の破壊を引き起こす市街戦は避けたい英国政府としては、敵を兵糧攻めにして降伏に追い込むしかないと決断。英本土周辺海域にて、互いの援軍と補給を断たんとする激しい海空戦が繰り返されることとなった。 次々と新兵器を繰り出すドイツ軍は英仏海峡の制海権を一気に握ろうとし、これまで温存されてきたドイツ大海艦隊をも出撃させた。必勝を期し、日英連合軍艦隊に最後の決戦を挑んだのである!
日本海軍遣欧艦隊は枢軸国艦隊との決戦に勝利し、地中海の制海権を握る。この事態に、イタリアでは政変が勃発。新政権は連合軍との休戦交渉に入り、ムッソリーニ派は親ドイツを標榜する政府の樹立という混乱状態に陥る。日英連合軍はアメリカから購入した最新鋭兵器を装備し、悲願の英本土奪還作戦を開始。ドイツも海軍に編入した英国製戦艦を出撃させる。かくして、英国艦艇同士が争う前代未聞の英本土奪還作戦が開始されたー。
ドイツ・イタリア枢軸軍を打ち破り、紅海からスエズへと攻め上る日英連合軍。次の目標は地中海の制圧とイタリアの打倒である。まずはシチリア島を占領すべく日英の上陸船団が進出するが、枢軸軍がそれを座視するはずがなかった。イタリア海軍に加え、ドイツ海軍も強力な艦隊を差し向けてきたのだ。対する連合艦隊もついに切り札である戦艦大和・武蔵が地中海に進出した。果たして、地中海の覇権を握るものとはー!?
英本土奪回を目指す日本・イギリス連合軍はスエズ運河を押さえ地中海への航路を確保する必要があった。だがドイツ海軍との激戦を経て紅海を突破した連合軍の前に、北アフリカを堅守するドイツ・イタリア枢軸軍が立ち塞がり、欧州を席巻したドイツ装甲師団を相手に苦戦を強いられてしまう。強敵のさらなる増援阻止のためには、海上輸送路を断たねばならず、地中海を制するイタリア艦隊との激突は必至であった。連合艦隊はついに戦艦長門・陸奥の地中海派遣を決定ー。
亡命イギリス政府を保護したことでドイツ第三帝国と敵対することになった日本。第二次日英同盟のもとインド洋に進出した連合艦隊は、Uボートの襲撃により主力空母二隻喪失という危機に。さらなる被害拡大を阻止するには、紅海を封鎖しUボートの侵入路を塞ぐしかない。マンデブ海峡を扼する要衝ジブチに向け、航空戦力を結集した日英連合軍の機動部隊が出撃する。ドイツ海軍はフランス製の最新鋭戦艦を繰り出して迎え撃つ。想定外の強敵に、立ち向かう日英連合軍に勝機は…。
昭和一四年八月、ドイツはソ連との不可侵条約を締結し、日本が進めていた独伊との同盟は頓挫する。そこに接近してきたのはドイツと対峙するイギリス、フランスであった。やがて日英仏同盟が締結されるが、大陸を席捲したドイツ軍は英本土へ上陸。首都ロンドンは陥落した。英艦隊は東アジアに逃れ日本に亡命したため、ヒトラーの怒りは日本に波及、英仏政府の要請を受けた連合艦隊は、第一航空艦隊をセイロン島トリンコマリーへ派遣するが、インド洋海面下には牙を研いだ狼の群れが…!
トラック沖における連合艦隊の総力を挙げた海戦は、米海軍の撃退に成功するも被害は甚大であった。艦隊の主力を担ってきた空母「赤城」「加賀」、戦艦「長門」他、多数の艦艇や航空機が失われてしまったのだ。これにより勢力は完全に逆転した。連日の空襲に晒されるトラックの防衛は限界に達する。逼迫する戦況の中、ついに連合艦隊は苦渋の決断を下す。トラックを放棄し、マリアナに全軍を集中、米海軍との最終決戦に挑む。この戦いの先に、講和の道は残っているだろうかー。
ラバウルを巡る日米新鋭戦艦の激突に、連合艦隊は辛くも勝利する。これで根拠地トラックへの脅威を排除できたはずだった。だが、米国はニューギニア方面に進出。新たな航空基地を建設し再びトラックを脅かし始める。海戦を制するも戦況は好転せず、講和への道筋もまったく見えない。米軍の戦略目標は間違いなくマリアナ諸島だ。連合艦隊はトラックを死守すべきか?連合艦隊の総力を結集した第一機動艦隊が出撃する先はー
欧州で始まった戦争は日本を巻き込み、アメリカの参戦を誘い、ついに昭和一五年七月、日米間に戦端が開かれた。苦闘の末に米太平洋艦隊を撃破した連合艦隊は西太平洋を制圧、ニューギニア、ラバウルへと前進する。海上戦力が激減した米軍は航空兵力を集中し対抗。連合艦隊は新型航空機による飛行場攻撃および補給線寸断作戦を実施、戦線は膠着状態となった。反撃を目論む米艦隊の攻撃目標はラバウルかニューギニアか?山本五十六は新鋭戦艦「大和」「武蔵」の投入を決断する。
英仏との戦争に突入した日本に、米国も宣戦を布告する。マリアナ諸島において米太平洋艦隊と連合艦隊は激突、講和への道筋は遠のくばかりであった。戦線の拡大を望まぬ山本五十六はトラック諸島を根拠地として守りを固めるも、米国は長距離爆撃機を繰り出し攻撃を続ける。空爆を封じるためラバウル進攻命令が軍令部より下り、主力戦艦を欠いた連合艦隊は空母を結集した機動部隊を編成。米太平洋艦隊も空母を中心とした艦隊を送り出した。ここに、史上最大の海空戦が開始される!