著者 : 横山信義
連合艦隊が総力を挙げて臨んだトラック沖海戦は、米海軍の撃退に成功したものの被害は甚大であった。開戦以来、艦隊の主力を担ってきた空母「赤城」「加賀」、戦艦「長門」他多数の艦艇や航空機が失われてしまったのだ。 もはや彼我の勢力は完全に逆転し、連日の空襲に晒されるトラックの防衛は限界に達していた。 じりじりと戦力を削られ続ける状態に、連合艦隊は苦渋の決断を下す。トラックを放棄し、マリアナに集中させた全軍をもって米海軍との最終決戦の敢行。 果たしてこの戦いの先に講和への道は開けるのかーー
航空隊の支援を受けて海戦に勝利した連合艦隊は、根拠地トラックへの脅威を排除できたはずだった。だが、米国はニューギニア、アドミラルティ諸島へと進出。新たな航空基地を建設して再びトラックを脅かし始める。 海戦に勝利しても戦況は好転せず、講和への道筋も見えないままだ。 米軍の戦略目標はマリアナ諸島であることは確実。対する連合艦隊はこのままトラックを拠点に堅守するべきか。それとも撃って出て米軍根拠地を攻撃すべきか。 万一、マリアナが陥落するようなことになれば、日本は破滅する。 連合艦隊の総力を結集した第一機動艦隊が出撃する先はーー。
欧州で始まった戦争は日本やアメリカの参戦を誘い、ついに昭和一五年七月、日米の戦争が開始されてしまう。 苦闘の末に米太平洋艦隊を撃破した連合艦隊は西太平洋を制圧、ニューギニア、ラバウルへと前進。海上戦力の激減した米軍は航空兵力を集中しこれに対抗する。 連合艦隊は新型航空機を投入、飛行場攻撃と並行して補給線を脅かす作戦を用い、戦線は膠着状態となった。だが、艦隊の再建を急いだ米艦隊は、反撃の準備をも進めていた。 最初の攻撃目標はラバウルか、ニューギニアか。山本五十六は新鋭戦艦「大和」「武蔵」を以て米戦艦部隊を迎え撃つことを決断した。
昭和一五年、英仏との戦争に突入した日本に、米国も宣戦を布告。連合艦隊はマリアナ諸島において米太平洋艦隊と激突する。航空機の積極活用により勝利を得たものの、この勝利は逆に米国の戦意を高める結果となり、講和の道筋はまったく見えなくなった。 戦線の拡大を望まぬ山本五十六はトラック諸島を根拠地として守りを固めようとするが、米国は長距離爆撃機を繰り出しこれを妨げる。空爆を封じるためにビスマルク諸島ラバウルを押さえるべきとの軍令部の命令が下り、主力戦艦を欠いた連合艦隊は、空母を結集した機動部隊を編成した。対する米太平洋艦隊も空母を中心に据えた艦隊を送り出し、ここに、史上最大の海空戦が開始される!
昭和一四年一二月、日独伊三国同盟の約定により英仏との戦争に突入した日本は、インド洋攻略に乗り出す。連合艦隊は激戦の末に英国戦艦隊を撃破するが、突然、作戦中止命令を受けてしまう。南シナ海において日米の軍事衝突が勃発したのだ。やがてアメリカも参戦、日本軍はフィリピンへの攻撃を開始した。 一方、ハワイを出撃した米艦隊はマーシャル諸島を足がかりにフィリピン救援を目指す。だが、日本最強の戦艦である長門、陸奥が先の海戦での損傷故に動かすことができない。四〇センチ砲戦艦コロラド級三隻を押し立てて決戦を迫る米太平洋艦隊に対し、主力を欠いた連合艦隊に打つ手はあるのか!? 世界のビッグ・セブン、残る三隻も登場 「コロラド」「メリーランド」「ウェストバージニア」出撃!
昭和一四年、日本陸軍はノモンハンにてソ連軍に押されていた。このまま全面戦争に発展することを恐れた日本は、急ぎドイツ・イタリアとの同盟を締結。日独伊は、さらにソ連との相互不可侵条約を成立させた。だがドイツはポーランドを攻撃、イギリス・フランスと戦争状態に陥ってしまう。三国同盟の約定により参戦することとなった日本は、マレー・シンガポール・ビルマなどを占領、連合艦隊はインド洋へと進出した。だが、そこにはイギリス海軍の最強戦艦が待ち構えていたのであるー。新シリーズの開幕!
「最優先目標は『ヤマト』と『ムサシ』。この二隻に、雷爆撃を集中せよ」 フィリピンへ来寇した敵上陸部隊を撃滅すべく、連合艦隊の全戦力を投じる捷号作戦が開始された。開戦以来の連戦により、戦力の大半を失った機動部隊は囮となり、米海軍空母部隊を戦場から引き離す作戦を実行、甚大な損害を被りつつも成功に導く。一方、大和、武蔵ら水上砲戦部隊はレイテ湾を目指し進撃を開始。だがそれは、米海軍の新鋭戦艦が待ち構える阻止線の正面突破を意味していたーー。前衛隊として突き進む防空巡洋艦「青葉」の前に、米海軍の防空巡洋艦「アトランタ」が立ち塞がる!
「敵ハ全力デ我ヲ攻撃中ナリ」 自らを餌として、敵を釣り上げる作戦は、成功しつつあるーー マリアナをめぐる決戦に勝利を得られなかった連合艦隊は中部太平洋最大の根拠地であるトラックを失った。環礁を占領した米軍は大航空兵力を送り込み、難攻不落の航空要塞を建設する。次の戦場はマリアナかフィリピンか。おそらく、この戦闘で日本の命運は決する。だが歴戦の空母は撃ち減らされ、艦上機搭乗員の補充もままならない連合艦隊には米艦隊と正面から戦う力はすでに失われていた。新司令長官小沢は、わずかな勝機に賭けて、機動部隊を囮として砲戦部隊を突入させるという作戦を命じたーー。
「作戦名は『金床』--金床を思い切り叩くハンマーのように日本艦隊を叩き潰して貰いたい」 日本の機動部隊をウェーク島近海におびき出して殲滅するという米海軍の作戦は失敗に終わり、逆に米軍の空母部隊が壊滅してしまった。だが連合艦隊の損害も大きく、日米両軍ともに積極策を採れなくなり一年半余ーーついに米太平洋艦隊の再建は成る。新鋭空母エセックス級の群れが新型艦上機隊を搭載し出撃。マーシャル諸島を制圧し、勢いに乗る米艦隊は、マリアナ、トラックに攻撃を開始する。果たして米軍の主攻目標はどちらなのか。第一機動艦隊司令長官小沢治三郎中将は、ある決断を下す。
「プリンス・オブ・ウェールズ」を撃退し、空母防御の楯となり得る防空巡洋艦に注目が集まる。海軍中央も防空艦の積極的起用を推進するが、開戦より時を経た米軍の物量作戦もまた着々と進められていた。
「小沢長官と『鳥海』が助かっただけではない。我々は、歴史的な瞬間に立ち会ったことになる」 長年、列国の海軍において「航空機と戦艦はどちらが強いか」という論争が戦わされてきた。その決着が、たった今ついた。 洋上で作戦行動中の戦艦に、航空機が打ち勝ったのだ。 航空機による攻撃は、英国海軍最新鋭艦「プリンス・オブ・ウェールズ」を沈没せしめ、南遣艦隊は窮地から脱したかに見えた。しかし米太平洋艦隊の主力部隊が近づきつつある。勝敗の行方はまだつかないーー
昭和一六年、日米両国の関係はもはや戦争を回避できぬところまで悪化。連合艦隊は開戦に向けて防空巡洋艦「青葉」「加古」を前線に出す。主砲すべてを高角砲に換装し、空母機動部隊を航空攻撃から守るために改装された艦である。だが「青葉」「加古」両艦は真珠湾攻撃への参加を見送られ、マレー・シンガポール攻略を担当する南方部隊に配属される。果たして、南方作戦に防空巡洋艦の出番はあるのか…。その時、陸海軍、いや日本中を動転させる驚愕の情報が飛び込んできた!新シリーズ開幕!
連合艦隊は奇策により、ラバウルに迫る米艦隊に大打撃を与えて撃退することに成功した。戦力を整えるための時間を稼いだ日本軍は、「信濃」「陸奥」の両空母と新型戦闘機「陣風」を配備するが、この戦力で次なる来寇に抗し得るのであろうか。日本の完全屈服を目論む米国は、首相となった山本五十六の講和の申し出をも一蹴、かつてない大兵力をもって攻勢作戦を発動した。果たしてこれが最後の戦いになるのか?山本が目指した日米講和は結実するのかー。シリーズ最終巻。
零戦の優位崩壊。圧倒的物量で襲い来る米軍! 航空戦力を集中して守りを固めた連合艦隊は、再建された米海軍機動部隊の猛攻を辛くも凌いだ。だが、開戦以来敵機を圧倒していた零戦も新型戦闘機F6Fヘルキャットの登場によって苦戦を強いられるようになり、連合艦隊の戦力も次第に削られてゆく。一方、米国はその国力に物を言わせて艦隊を増強、マーシャル諸島メジュロ環礁に前進基地を建設し、要衝ラバウル、トラックをも脅かす。日本はこのまま米国の巨大な物量に押し切られてしまうのか!? その時、機動部隊の小沢長官が奇策を提案したーー
戦艦『大和』をもって英国最新鋭戦艦を撃破したものの、日本にはニューギニアを制圧し豪州を屈服せしめるまでの力はなかった。戦場での勝利を積み重ねて敵の継戦意思を折るという戦略に限界を感じた山本五十六は、講和に至る別の方策を探るべく、司令長官を辞して連合艦隊を去る。同時に、開戦以来攻勢を続けてきた連合艦隊は守勢に転じ、長期持久も視野に入れた艦隊編成と人事の刷新を行う。一方、米国は新兵器を装備した艦隊を珊瑚海に送り込んで来た。迎え撃つ新体制連合艦隊に勝算はあるのかー
第二次珊瑚海海戦に勝利し、米機動部隊を撃滅した日本軍。大きく継戦能力を落とした米国に対し、日本政府は水面下で早期講和の交渉を進める。しかし米国はこれを拒否し、モレスビー近海の日本軍補給線への攻撃を続行した。敗勢の米国が隠し持つ切り札、それは英国艦隊の豪州派遣であった…。英国M部隊の最新鋭戦艦「キング・ジョージ五世」「デューク・オブ・ヨーク」。対するは歴戦の戦艦「金剛」「榛名」、そして連合艦隊旗艦「大和」。珊瑚海にて、開戦以来最大の艦隊戦が幕を開ける!
珊瑚海海戦に勝利した日本軍はポート・モレスビーを占領。M0作戦の完遂という真珠湾以来の大戦果を上げた。その喜びも束の間、米機動部隊が日本占領下のツラギを攻撃。さらにガダルカナル島では米軍の飛行場が急ピッチで建設されていた。連合艦隊司令長官・山本五十六はM1作戦の中止を決定、標的をガダルカナル飛行場とソロモン諸島に変更する。だがその最中、米国はモレスビーへの輸送船団を強襲。対する日本軍は「蒼龍」「飛龍」ら機動部隊でケアンズ、タウンズビルの飛行場を攻撃し、米補給線の寸断を狙うのだがー。
日本本土空襲サル! これは訓練ではない、実戦だ。 房総沖にて演習中の呂号第四四潜水艦が、空母「ホーネット」率いる米国の艦隊を発見! 日本本土の奇襲を狙う「ドゥリットル空襲」の迎撃に成功し、敵艦隊を全滅させる大戦果を上げた。この結果を踏まえ、大本営は戦略方針の転換を決定する。ポート・モレスビー攻略を主眼とするMO作戦の完遂を目指し、空母「瑞鶴」「翔鶴」、戦艦「陸奥」「伊勢」ら艦隊を派遣。珊瑚海にて、雪辱に燃える米軍と激突するーー。 鉄壁の護りで敵国を迎え撃つ新シリーズ、開幕!
日本軍はニューギニアの放棄と引き替えに、米国との海戦に勝利。友軍の救出に成功した。米国は占領したニューギニアを前線基地とし、戦力を結集。フィリピン陥落を目標に定め、日本の息の根を止めんとする。 一方、グアムにも帝国海軍の最強戦力が揃う。その先頭には、奇跡の復活を遂げた戦艦「大和」の姿があった。皇国の存亡を懸けた最終決戦の時。「大和」は自らの借りを返すことができるのか。そして日本軍の仕掛ける、乾坤一擲の秘策とはーー? シリーズ堂々完結!