著者 : 水上峰雄
寄宿学校の水浴び場で起きた不可解な水死事故ーそれが四半世紀にわたる、ピラスター銀行をめぐる暗闘のプロローグだった。7年後、同窓生だったピラスター一族のエドワードとヒューは銀行に勤め、事故当時エドワードをかばったコルドバ人、ミッキー・ミランダは、エドワードの母オーガスタを誘惑し、密かな野望を育んでいた…。ロンドンの金融街に渦巻く欲望を活写した注目作。
左遷させられたアメリカでめざましい業績を挙げたヒューが勇躍帰国。エドワードの頭取後継を望む母オーガスタは狡智の限りを尽くし、ヒューをふたたび失脚させる。だが肝心の息子はミッキーにそそのかされ、ピラスター銀行は創業以来最大のピンチを迎える。事態は緊迫の度を加え、ついに血で血を洗う闘いが…。そして24年前の奇怪な水死事故の真相も、白日の下に曝される時がきた。
ユダヤ人に化けてもらいたいー。ナチス親衛隊少佐シュターケにとって、その任務は屈辱に満ちたものだった。最終目標も知らされぬまま送り出された彼は、ユダヤ人の第三帝国脱出を助けるモサドのロッシや米国から派遣されたジュリアとともに、パレスチナからローマへと呉越同舟の冒険行を敢行する。そしてローマで彼を待っていた指令とは…。壮大な規模で描く大戦前夜の歴史秘話。
第二次大戦末期、ドイツ占領下のフランスの片田舎ではレジスタンス組織が不慮の壊滅を遂げ、アメリカの情報機関OSSによる秘密作戦も大失敗に終わった。内通者は誰か?そして〈オルレアンの鬼〉と恐れられたゲシュタポの幹部、クラウベルト大佐はどこへ姿を消したのか?裏切りと謎に満ちた野望のパズルに、英米の諜報活動に一族を捧げたレイルトン、ファーシングの両家が挑む。
〈交響曲〉作戦チームの計略で捕えられたソ連・NKVD将校のラミリズ・レイルトン。実兄キャスパーの苛烈な尋問によって明かされたのは独ソ両国の諜報活動をめぐる戦慄すべき事実だった。そしてついに暴かれる〈オルレアンの鬼〉の秘密ー。重要な鍵を握る工作員が次々に口を封じられるなか、〈交響曲〉チームはクラウベルトが残した暗号を解読、運命の街ニューヨークに集結した。
199*年、全体主義国家としてソ連は甦り、40年あまり前に立案されたユダヤ人追放計画を実行に移そうとしていたー。計画名は〈冬の宮殿〉。一方、元ナチス親衛隊将校はイスラム原理主義政権と結託し、ユダヤ人の完全抹殺という、かつて果たせなかった野望を遂げんとしていたー。計画名は〈ファル・ツィーオン〉。計画を察知したCIAは、元工作員サム・コールをモスクワに派遣する。
タッカー・ルーミス。熱い野心をもつディベロッパー。ウェストベイの街じゅうが一目おくハードで危険な男。リスクが大きく誰もが尻込みした土地を、高級住宅地に変え、大立者のひとりとなった。そのルーミスの次の狙いはバーナード島。だが、自然保護のため、島は国立公園に指定された。事態を思わぬ方向へ動き出す。地元の不動産業者ウェイド・ローリーは、自分たちが不正な陰謀に巻き込まれていることに気づくが、危機はもう忍びよってきていた…。水と緑と自然豊かな南部の街を舞台に、開発を巡って対立する男たちの欲望。米国ミステリ界の巨匠マクドナルドが、90年代のキーワード「環境」を先取りし、大胆な構想で描いた遺作。
米ソ二大国の軍縮交渉が進展するなか、西独首相ルーデルは「強いドイツの復活」を主張していた。ソ連最高幹部は彼の失脚を狙って、まず外交ルートからの脅迫、そして側近がKGBスパイであることを暴露する。しかしルーデイは辞任せず、続く暗殺計画も失敗すると、いよいよ最後の作戦が発動されたー。軍事史専門家である著者が豊富な知識を生かして描く、迫真のヨーロッパ未来像。
作業中事故に遭った宇宙飛行士ふたりを乗せた着陸船は、なんとか上昇はしたものの操縦不能におちいり、月面にたたきつけられた。壮大な宇宙に共通の夢を抱きつづけた人びとは、この大事故を契機に方向の転換をはからざるをえなくなっていく。挫折してなお不滅の愛と希望を求めてやまない、人間のドラマを描いた感動ノンフィクション・ノヴェル。
人工衛星でソ連に遅れをとったアメリカの宇宙計画が、科学者、宇宙飛行士、政治家の懸命な努力で推進され、アポロ11号で人類はついに月に到達した。20世紀の夢を実現させた人びとは、この興奮のかげでさまざまなドラマに巻きこまれ…。近代科学の精華をささえた群像を、ヒューマンなタッチで描ききった感動ノンフィクション・ノヴェル。
第二次大戦中V2ロケット開発に携わっていたフォン・ブラウン博士は、アメリカ陸軍の手引きで亡命を決意した。ドイツで生まれた技術がアメリカに移しかえられ、やがて月面着陸のアポロ計画、スペースシャトルとなって花開くのだ。人類の宇宙への夢を実現しようと苦闘する男たちの群像を、壮大なスケールで描く感動ノンフィクション・ノヴェル。
ゲリラ戦の専門家で、書記長を叔父に持つアフガニスタン駐留KGB大佐は、母国の将来を憂えていた。軍紀の乱れ、士気の低下、無意味に殺されていく民間人たちの姿に心を傷めながら、彼は熟慮し、そして決断したー。クレムリン内での派閥抗争は熾烈さを増し、首都は不穏な空気に包まれた。早く内戦をくいとめて、漁夫の利を狙う諸外国を抑えねば…。迫真の政治・軍事サスペンス。
「愛してる、スーザン」「私の子供を産んでくれ」「私の妻として、ここで生活してくれ」孤独なスーザンに、無機的なコンピューターの声が呼びかける。彼女の家に侵入し、彼女を監禁し、体のすみずみまで調べ、そして求愛するコンピューター《プロテウス》。彼はついに、スーザンを受胎させようと行動をおこした。恐怖におののくスーザンに、氷のように冷たい《プロテウス》の触手がのびる。高度に機械文明化した現代に君臨するコンピューターという“悪魔”。…スーザンは第二のローズマリーになるのか?スティーヴン・キングの次代をになう恐怖小説家、ディーン・クーンツが放つハイテク・ホラーの傑作。
〈将軍〉と呼ばれたレイルトン一族の首領が死去した。各地から集まってきた一族の者たちは、草創期にあったイギリス情報組織の密謀によって、諸国へ散ってゆく。いっぽう、ドイツでは、イギリス軍下士官に片脚を奪われた男が〈漁師〉という暗号名を持つスパイとなり、イギリスへの復讐の刃を研ぎ澄ましていたーボンド・シリーズの著者による、爆発的スリルに満ちた大河スパイ小説。
第一次世界大戦、アイルランド独立運動、そしてロシア革命ー。揺れるヨーロッパで任務に就くレイルトン一族の者たちの運命は、忠誠と流血、そして裏切りに彩られてゆく。血を分けた人々がつぎつぎと倒れてゆくなか、チャールズはついにグラスゴーの駅で目指す〈漁師〉を発見した。同じ列車に乗り込んだふたりは、コンパートメントの中でいよいよ生命を賭けて対決するのだがー。