小説むすび | 著者 : 津原泰水

著者 : 津原泰水

羅刹国通信羅刹国通信

発売日

2024年4月30日 発売

十二歳で叔父を殺した。 その罪が、いまになって 現実を、夢を侵蝕してゆく。 亡者たちが〈恐怖〉と〈悪意〉に 分かれ争う羅刹の国の夢を共有する 少女と少年の魂の行方 並ぶ者なき幻視者が 若き日にものした幻の傑作、初単行本化 叔父を殺したことは固く秘しておくべきだった。 自殺するなんてと母が泣き続けるものだから、本当はわたしが崖から突き落としたのだとわかれば、すこしは気が楽になるかと思ったのだ。 震災で妻を失いPTSDに苦しむ叔父との同居に疲弊する家族のために、小学六年生の左右田理恵(そうだりえ)は叔父を殺した。 その四年後、理恵は奇妙な夢を見るようになる。 荒れ果てた灼熱の地で岩蔭と食糧を求める「鬼」の集団。 かれらは二つの勢力に分かたれ争い殺し合うーーその法則を理恵に教えたのは、同じ夢を共有する一人の少年だった。 鬼才の幻視文学の頂点となる幻の傑作、初単行本化。解説=春日武彦・北原尚彦 ■目次 「羅刹国通信」 「続羅刹国報」 「続々羅刹国ーー雨の章ーー」 「続々羅刹国ーー夜の章ーー」  「解説」 春日武彦  「津原国通信」 北原尚彦

エスカルゴ兄弟エスカルゴ兄弟

出版社

KADOKAWA

発売日

2016年8月3日 発売

〈問題の多い料理店、本日開店いたします!〉 唯我独尊の変人カメラマンと、巻き込まれ体質の元編集者、男二人の無謀な挑戦の行方は!? 笑いと感動で心を満たす、最高の料理&成長小説!! 出版社勤務の柳楽尚登(27)は、社命で足を運んだ吉祥寺の家族経営の立ち飲み屋が、自分の新しい職場だと知り愕然とする。料理上手で調理師免許も持っているし、という理由で料理人として斡旋されたのだ。しかも長男で“ぐるぐる”モチーフを偏愛する写真家・雨野秋彦(28)は、店の無謀なリニューアルを推し進め、前代未聞のエスカルゴ料理店〈スパイラル〉を立ち上げようとしていた。 彼の妹・梓の「上手く行くわけないじゃん」という嘲笑、看板娘・剛さんの「来ないで」という請願、そして三重の養殖場で味わう“本物のエスカルゴ”……。嵐のような出来事の連続に、律儀な尚登の思考はぐるぐるの螺旋形を描く。 心の支えは伊勢で出逢った、フランス女優ソフィー・マルソー似のうどん屋の娘・桜だが、尚登の実家は“宿敵”、讃岐のうどん屋でーー。 「いざという時は必ず訪れる。その時には踊れ」 真剣すぎて滑稽で、心配でつい目が離せない。凸凹義兄弟、ちっぽけで壮大な“食”の軌跡。 一気読み間違いなしの、痛快エンタメ作!! ★太鼓判! 津原泰水の料理を描く筆致は3D。味を伝える技巧は活字世界の美味しんぼなのである。 ーー豊崎由美氏(書評家)/「本の旅人」2016年8月号より 帯イラスト/松苗あけみ プロローグ 壱 1 フレンチトーストの夜 2 モツ煮込みの匂い 3 シビレに痺れ 4 冷蔵庫の名はグレー 5 油雑巾とは 6 ヘリックス・ポマティア 7 伊勢うどんに転ぶ 弐 1 エスコフィエのレシピ 2 八角とキツネ 3 おつまみ三種盛り 4 なにかグラタンのような 5 エスカルゴうどん 6 ウドネスカルゴへ 7 チーズに蜂蜜 参 1 美しきアーモンド形の 2 酒豪に捧げる天津飯 3 葱ぬたと日本酒 4 チキンラーメン三昧 5 稲庭の威力 6 磊磊なる料理たち 7 エスカルゴ尽くし エピローグ

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