著者 : 浅田次郎
清朝最後の皇帝・溥儀は、紫禁城を追われながらも、王朝再興を夢見ていた。イギリス亡命を望む正妃と、史上初めて中華皇帝との離婚に挑んだ側妃とともに、溥儀は日本の庇護下におかれ、北京から天津へ。そして、父・張作霖の力を継いだ張学良は失意のままヨーロッパへ。二人の天子は塵をかぶって逃げ惑う。ラストエンペラー・溥儀と二人の女。時代の波に呑み込まれた男女の悲劇と壮大な歴史の転換点を描く。
1932年、喜劇王チャップリンが来日した。歓迎ムードの裏でひそかに練られる暗殺計画。彼の命を救うため、安吉一家が動き出す! 仁義を重んじる伝説の夜盗たちの痛快ピカレスクロマン。(解説/水谷 豊)
往時の姿をとどめる貴重な街道風景、古き良き旅籠の情緒、旅人の心を躍らせる豊かな食文化ー。中山道の魅力を、時代小説『一路』の世界とともに紹介。取材執筆秘話から中村獅童、渡邊あゆみ両氏との対談など、様々な角度から作品を繙いていく。本書を片手に、いざ、浅田次郎を唸らせた中山道の旅へ!
失火により父が不慮の死を遂げたため、江戸から西美濃・田名部郡に帰参した小野寺一路。齢十九にして初めて訪れた故郷では、小野寺家代々の御役目・参勤道中御供頭を仰せつかる。失火は大罪にして、家督相続は仮の沙汰。差配に不手際があれば、ただちに家名断絶と追い詰められる一路だったが、家伝の「行軍録」を唯一の頼りに、いざ江戸見参の道中へ!
中山道を江戸へ向かう蒔坂左京大夫一行は、次々と難題に見舞われる。中山道の難所、自然との闘い、行列の道中行き合い、御本陣差し合い、御殿様の発熱…。さらに行列の中では御家乗っ取りの企てもめぐらされー。到着が一日でも遅れることは御法度の参勤交代。果たして、一路は無事に江戸までの道中を導くことができるのか!
大手デパートに勤める椿山課長は、気付けばあの世の入り口にいた。かけられた生前の邪淫の嫌疑を晴らし、やり残した想いを果たすため、椿山は姿を変えて再び現世に舞い戻る。(解説/カルーセル麻紀)
時は、明治元年暮。火の手の迫る伝馬町牢屋敷から解き放ちとなった訳ありの重罪人たちーー博打打ちの信州無宿繁松、旗本の倅岩瀬七之丞、夜鷹の元締め白魚のお仙。牢屋同心の「三人のうち一人でも戻らなければ戻った者も死罪、三人とも戻れば全員が無罪」の言葉を胸に、自由の身となった三人の向う先には……。幕末から明治へ、激動の時代をいかに生きるかを描いた、傑作時代長編。
五・一五事件の前日に来日した大スター、チャップリンの知られざる暗殺計画とはー粋と仁義を体現する伝説の夜盗たちが、昭和の帝都を駆け抜ける。人気シリーズ、9年ぶりの最新刊。表題作「ライムライト」ほか5編を収録。
沖田、土方、近藤ら仲間たちとの永訣。土方の遺影を託された少年・市村鉄之助はどこに消えたのかー維新後、警視庁に奉職した斎藤一は抜刀隊として西南戦争に赴く。運命の地・竹田で彼を待っていた驚愕の光景とは。百の命を奪った男の迫真の語りで紡ぐ鮮烈な人間ドラマ・浅田版新選組三部作、ここに完結。
昭和三年六月四日未明、張作霖を乗せた列車が爆破された。関東軍の暴挙に激怒した昭和天皇の密命を受けて、若き軍人が綴った「満洲報告書」で明かされる「真相」とは? 該博な知識と丹念な取材に裏打ちされた浅田史観で、闇に葬られた昭和史最大のミステリーを追う。絶好調『蒼穹の昴』シリーズ第4部。(講談社文庫) これを読まずして昭和史は語れない! 張作霖はなぜ爆殺されたのかーー瞠目の新史観で、闇に葬られた「真相」に迫る! 昭和三年六月四日未明、張作霖を乗せた列車が爆破された。関東軍の暴挙に激怒した昭和天皇の密命を受けて、若き軍人が綴った「満洲報告書」で明かされる「真相」とは? 該博な知識と丹念な取材に裏打ちされた浅田史観で、闇に葬られた昭和史最大のミステリーを追う。絶好調『蒼穹の昴』シリーズ第4部開幕。 序章 満洲報告書 第一信 鋼鉄の独白 1 満洲報告書 第二信 鋼鉄の独白 2 満洲報告書 第三信 鋼鉄の独白 3 満洲報告書 第四信 鋼鉄の独白 4 満洲報告書 第五信 鋼鉄の独白 5 満洲報告書 第六信 鋼鉄の独白 6 終章 満洲報告書 第七信
なぜか懐しい。懐しいばかりか、少しも古びてはいない。風景描写などはことさらないのに、ありありと時代の景色を読み取ることができるー浅田次郎。松本清張を文学史上の「怪物」として敬愛する短編小説の名手が選んだ、卓抜した人物造形と生の悲哀ともに描かれた7つの名編。
「沙高樓へようこそ」女装オーナーの言葉で、今宵もめくるめく百物語が始まる。日本刀の真贋をめぐる真実、かつての日本映画界の伝説、やくざ渡世の内幕ー巨万の富と名誉を得た者が胸に秘めてきた驚愕の光景が、鮮やかな語り口とともに展開する。ストーリーテラー・浅田次郎が本領発揮した超贅沢な短編集。
東京の片隅で、中年店主が老いた父親を抱えながらほそぼそとやっている中華料理屋「昭和軒」。そこへ、住み込みで働きたいと、わけありげな女性があらわれ…「夕映え天使」。定年を目前に控え、三陸へひとり旅に出た警官。漁師町で寒さしのぎと喫茶店へ入るが、目の前で珈琲を淹れている男は、交番の手配書で見慣れたあの…「琥珀」。人生の喜怒哀楽が、心に沁みいる六篇。
爆殺ーーその朝、英雄の夢が潰えた。 『中原の虹』完結から3年。 剛胆にして繊細。優しくて非情。 流民の子から馬族の長にのしあがり、 ついには中国全土をも手に入れかけた 稀代の英雄・張作霖の、壮絶なる最期。 浅田次郎、14年ぶりの書き下ろし長編小説。 昭和3年6月4日未明。張作霖を乗せた列車が日本の関東軍によって爆破された。 一国の事実上の元首を独断で暗殺する暴挙に、 昭和天皇は激怒し、誰よりも強く「真実」を知りたいと願ったーー。 「事件の真相を報告せよ」。昭和天皇の密使が綴る満洲報告書。 そこに何が書かれ、何が書かれなかったか。 いま解き明かされる「昭和史の闇」。 息を呑む展開、衝撃の「真相」、限りなく深い感動、 ーー傑作長篇小説の誕生!
恋する男に身請けされることが決まった吉原の女が、真実を知って選んだ道とは…。表題作ほか、ワンマン社長とガード下の靴磨きの老人の生き様を描いた傑作「シューシャインボーイ」など、市井に生きる人々の優しさ、矜持を描いた珠玉の短篇集。著者自身が創作秘話を語った貴重な「自作解説」も収録。