著者 : 清岡卓行
猫町 他一七篇猫町 他一七篇
東京から北越の温泉に出かけた「私」は、ふとしたことから、「繁華な美しい町」に足を踏みいれる。すると、そこに突如人間の姿をした猫の大集団が…。詩集『青猫』の感覚と詩情をもって書かれたこの「猫町」(1935)をはじめ、幼想風の短篇、散文詩、随筆18篇を収録。前衛詩人としての朔太郎(1886-1942)の面目が遺憾なく発揮された小品集。
萩原朔太郎『猫町』私論萩原朔太郎『猫町』私論
本書において著者は、詩人でありかつ作家であることがもたらす繊細でやわらかな感受性をはたらかせ、朔太郎の内部と外部をどこまでも正確な緊密さをもって追いかけている。『猫町』を糸口にすると朔太郎はどのように見えてくるか?
ヒロシマ私の恋人ヒロシマ私の恋人
原子爆弾の惨害を正面にすえ、人間の愛欲の最も深い場所から戦争を批判するという困難な作業に挑み、全世界に衝撃を与えた映画『二十四時間の情事』の映画の母胎となったシナリオとダイアローグを収録した本書は不思議な魅力をたたえた作品となっている。
アカシヤの大連アカシヤの大連
美しい港町、アカシヤ香る大連。そこに生れ育った彼は敗戦とともに故郷を喪失した。心に巣喰う癒し難い欠落感、平穏な日々の只中で埋めることのできない空洞。青春、憂鬱、愛、死。果てない郷愁を篭めて、青春の大連を清冽に描く芥川賞受賞の表題作及び、6編を収録。
PREV1NEXT